第五章 暗躍する異端魔法士 第四話 セイレーンの執行人

ガチャ


ゆっくりと扉が開かれる。

人一人通れるほど開くと、目の前に立っているのは

髪は美しい水色の肩くらいまでの長さ、瞳がブルーで上半身が水着、短いスカートを履いた露出の多い服装で、紺色のコートを羽織っている女性。

女性はリークを見ると、微笑み口を開く。

「お初にお目にかかりますわ、、、クロノス塔の覇者よ」

そういうと女性はお辞儀をしながら続ける

「私はセレネ、セイレーンから参りました。

この度はテムプスのミラリカに審判を」

そういうと顔を上げ、リークを見つめる。

「初めまして、リークです。

今の話何の事だかわからないんだけど。

クロノス塔とかテムプスとか、ミラリカって誰なんだ」

険しい顔でセレネを見つめる。

セレネは目を細め小声で呟く、

「やはり、父君があなたを守りましたか、、、」

「何でもありませんわ。中へどうぞ、私も今きたところですし座ってお話し致しましょうか」

セレネは近くのテーブルに歩いていく。

「僕の事を、父さんを、、、知っているのか?」

リークの鼓動が高鳴る。

自分の過去を知るかもしれない人が目の前にいる。

「まぁ、父君は知っていますよ。あなたを見るのは初めてですけど」

そう言いながら椅子に座ると、リークにも促す。

リークはゆっくりと歩いていく。

「後ろの彼女も座りなさい。怯えることはないわ」

リークの後ろをシルファもぴったりついてくる

「あら?あなたは、、、

ふふ、、、運命とは残酷ね」

セレネはクスクス笑いながら呟くと、

リークを見て話始めた。

「まず私の事とここにきた理由を話しましょうか。

私はこの大陸の最も東に位置する国、海沿いにあるセイレーンという国の水の魔法使いであり六賢者のうちの一人です。

ここには、テムプスを闇に陥れようとしたテムプスの守護賢者ミラリカの制裁に伺いましたが、、、

テムプスとはここから北東にある森を抜け、荒野を過ぎたところにある国でございます。

ですが先ほど、ミラリカの気配がパッタリと消えましてね。

大図書館の魔女の気配もしましたので、調査しようとしていたところです」

「大図書館の、、、ルーシュ師匠ですか」

「そうです。あとはまぁ気になる人も見つけられましたし、私はミラリカを追うとしましょう」

「待って。まだたくさん聞かなきゃいけないことがある」

僕はそういうと立ち上がろうとするセレネの腕を掴もうとする。

「あら強引なのね。またいずれ会うことでしょう、その時はゆっくりお話ししましょう。

ではまた、光の女神の申し子よ」

リークが掴む直前透明な水に変わり、うっすらと消えていった。

リークはゆっくりと椅子に座り直すと、深くため息をつく。

「まったく、、、何がどういうことなんだ」

隣に座るシルファが、リークの膝に手を置くと、

「落ち込まないで、ゆっくりでいいのよリーク」

「レーネとアラムスを探しましょう。

何かに巻き込まれていないといいけど」

そういうと心配そうに壁にかけられている時計を見る。

「そうだね、一応町の裏まで行こう。

僕が戦った場所だ、何かあるとしたらそっちかもしれない」

「わかったわ、急ぎましょう」

そういい二人は立ち上がると、出口に向かって歩き出した。

不意にシルファが背中にひっつくと、

「あなたはずっとそのまま、、、変わらないでいてね」

小声で囁く。

「どうしたんだ?」

「ううん、、、何でもないわ。」

二人は建物を出ると、主街区を東に歩き始めた。


東に回り歩いていると、建物の雰囲気が高貴なものに変わっていく。

「ここら辺が貴族の住まいなのかな?」

リークは辺りを見回してからシルファを見る。

「そうね、見て。あの向こうに草原があるわ」

「誰かいるわね。二人、いや三人だわ」

リークは目を凝らして見る

「あの鎧は、、、急ごう!」

リークが走り出す

シルファも後を追う

草原に見える人影がどんどん近づいてくる。

三人は立ち止まっているようだ

「無事でいてくれよ、、、」

リークとシルファは草原に向かって走り続けた。

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