第五章 暗躍する異端魔法士 第三話 商工会の闇

そびえ立つ遥か高い時計塔。

少年はその前にたち上を見上げる。

ここにいるんだね、、、行ってくるよ、、、父さん

少年は時計塔の入り口の門を開け、中に入っていく。


頭の中に優しい力が流れてくるような感覚。

リークは静かに瞼を持ち上げる。

目の前にあるのは美しい白髪の女性、シルファの顔だった。

シルファは目を閉じ、自分のおでこを僕のおでこに充てている。

恥ずかしくなり、ついに声が漏れる。

「あ、、、あの」

するとシルファは意外にも冷静に返してくる

「もう少し、、、じっとしてて」

すぐ目の前で目が合う、その真剣な眼差しに

「わかった。ありがとう」

再び目を閉じしばらく経つと、僕のおでこからシルファのおでこが離れる。

シルファは僕の隣に横になると

「あなたの魔法は、どういうものなの?」

そう聞いてくる。

「魔法、、、ね、難しいな。とにかく僕は他の魔法使いたちのような魔力がない。

容量が少ない、、、というところかな」

そういうと隣に向きシルファを見る。

「綺麗だ」

思わず声に出してしまう。

するとシルファは

「今はだめよ、、、」

静かにそう呟くと、リークの方を向く。

見つめ合いながらも僕は、シルファの言葉の意味を考えていたが

他にも気になることがあるので聞いてみる。

「他のみんなはどうしてる?」

「下でご飯を食べてるはずだけど、少し時間がかかりすぎね」

シルファは僕の体に手を回すと、

「もう少し、休んでなさい」

そう言いながら目を閉じる。

ドキドキしながらもシルファの顔を見つめ続ける。

まだ目が少し霞んでいるが、かなり回復している。

シルファといると落ち着き、力が安定するのだろうか。

「ありがとうシルファ」

そう言いながらシルファの頬にそっと手を添えると

シルファは目を開き、

「あら、、、ありがとうは私たちの言葉だわ」

にっこり笑うと僕の胸に顔をうずめ、足を絡ませてくる。

密着状態でも、穏やかに感じられるのはなぜだろう。

そんなことを考えていると、僕の体に回している手が服の中に入って、背中をさすりながらシルファが

「肌、、、すべすべなのね」

僕もシルファの服の中に手を入れると背中を撫でる。

「ん、、、」

シルファが少し声を漏らす。

途中下着がひっかかりもぞもぞしていると、下着の留め具が外れてしまう。

「あ、、、わざとじゃないよ。

シルファの肌もすべすべだよ」

そう言うとシルファはクスクス笑いながら答える。

「わざとでしょ?まだ休んでなきゃだめよ。少し寝ましょう」

シルファはそのままスースーと眠り始める。

僕も目を閉じると、ふと考える。

さっき夢に出てきた少年は、あの時計塔は、、、、、、。

徐々に意識が遠のいていく。


ピリッ


不意に何かがリークの魔力に干渉してくる。

知っている魔法使いのものではない、、、

「シルファ、起きて」

そう言いながらシルファの頭を撫でると

「ん、、、どうしたの?」

眠そうにリークの顔を見る。

至近距離で見つめられると理性が飛びそうになる。

「知らない何かが魔力に触れた。まだ他にも魔法使いがいる」

そう言い、起き上がろうと思ったが

シルファが絡み付いているので動けない。

「あん、、、急に動かないでよもう」

シルファが足をほどくと、リークに馬乗りになる。

「ちょっとシルファ、、、」

「待ってリーク。話を聞いて」

真剣な顔のシルファは続ける。

「無茶はだめよ。もう力は使わないこと!

ルーシュがしばらく見えないと言っていたわ。

その力はあなたの目を壊しているのよ?

その力はもう使わないで」

「わかった。なるべく、、、」

そう答えると、シルファは立ち上がりベッドから降りると、

自分の服の中に手を入れもぞもぞしながら

「外したらちゃんと着けてよね」

リークを少し睨みながら言う。

「ごめん、みんなは出掛けてるのか?

ご飯て言ってもさすがに時間かかりすぎだよな」


「そうね、みんな出てるかもしれないわ」

そう言うと、シルファはリークの隣に座る。

ベッドに座ったまま少しずつ魔力を上げていく。

「主街区の方からだ。行こう」

立ち上がり、部屋を出て階段を降りる。

一階には誰もおらず、厨房で音がするので呼び掛ける。

「サリアさーん」

しばらくして厨房から出てくる

「どうかしたかい?お連れさんたちは出掛けたよ?

なんか、貴族がどうとか聞こえたけど」

「ありがとうサリアさん。僕たちも少し出掛けてくる」

「気をつけてね。ご飯用意しとくからね」

そう言うと、サリアは厨房に戻っていった。

シルファは背中にピタッと密着してくると小声で

「なんか、、、仲良すぎじゃないかしら?

名前とかいつ聞いたのよ、、、」

「そんなんじゃないって。さあ行くよ」

苦笑いしながら答えると、外に出て主街区に向かう。

「貴族がなんとかって言っていたけど、大丈夫かな?」

隣を歩くシルファを見る。

「とにかく二人を探しつつ、その別の魔法使いを探しましょう」

シルファもリークを見ると少し顔が赤くなる。

「さっきの続き、、、また、、、ね」

そう言うと、前に向き直る

「もうすぐ主街区かしら?」

「そうみたいだな。あの建物からだ!」

建物の前に着き見上げると、看板には商工会と書いている。

「商工会、、、まさかカルシアさんが?」

「あのおじさんがそうなの?魔法使いには見えなかったのだけど」

リークは扉に近づきノックをする

中から足音が聞こえてくる。

「シルファ、僕の後ろに隠れてて」

「わかった。気をつけてね」

足音が近づいてくる

それに合わせて二人の鼓動も高まっていく。





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