20.Le venœta

次の日、バイトに行くと田中がいた。

相変わらず店長に小言を言われていたりもしたが、今日は様子が違っていた。なんだか楽しそうな、希望に満ち溢れた雰囲気があった。

何かいいことでもあったのか?なんて思っているとバイト終わりに話しかけられた。俺に何か話したいことがあるらしい。ちょうど終わる時間が一緒だった俺は田中に連れられて駅前のファミレスに入った。

ちょうど人の混みそうな時間帯だったが幸いにもピークを逃れたらしく、俺たちは手際よく窓際の席に案内された。夕暮れ時の店内では学校終わりの高校生たちが有り余る時間を弄ぶように、机に座って駄弁っている。

「バイト終わりにすみませんね」

田中は浮き足立った口調でそう言いながら、カバンから大事そうに何かを取り出した。

「別に大丈夫だけど……どうした?」

俺の目の前に差し出されたのは宝石だった。店内照明から降り注いだ光がオレンジ色の玉の中を屈折しながら通り抜けて行くのが見て取れるくらいには綺麗に透き通っている。

「これ、琥珀って言うんですよ」

「琥珀か。名前は知ってたけど初めて見たな。誰かにあげるの?」

「いや……違うんです」

田中は一枚のパンフレットを俺に渡した。嘘だろ、と思った。パンフレットに書かれているのは宝石のパワーだの、天空に繋がるエナジーだの、胡散臭い言葉のオンパレードだった。

「パワーストーンってやつらしいんです。胡散臭いと思いましたかね?でもすごいんですよ。これ身につけてから世界が違って見えたんです。運気が上がるだけでなく、生きる気力を与えてくれるって言うか。で、今度セミナーがあるみたいなんで佐藤さんにも来て欲しいと思っているんですが……」

行き場に困った視線を窓の外に移すと、オレンジ色の太陽の光に伸ばされたビルの影の縞模様を遮るように人の群れがその上をせわしなく移動していた。

「……田中、申し訳ないけどそれには行けないよ」

「そうですか……。でもまぁ、気が向いたら!」

「いや、違うんだ。頼むからこんなのには手を出さないでほしいんだ……」

「でも、実際に良いことが起きましたし、パワーを実感してるんです」

「それでもだ」

実際にそれが運用されている世界を見て来てそう言っているんだ、とはさすがに言えなかった。裏面には『神楽教』なる文字があった。

「この『神楽教』ってのから勧誘されてるのか」

田中は戸惑い気味に「……ええ」と言った。

「頼む。この通りだ。何か力になれることがあるなら言ってくれ」

俺が頭を下げると、今度は田中が「いや、そんな大袈裟に……」と言った。

少し気まずい時間が流れた。数秒が後を引きずっていやらしく時を伸ばしていく。話題を変えよう、そう思ったとき、横に置いてあったカバンの奥からなにやら不思議な気配がした。目を向けると、念のためと持って来ておいた久遠石が光っていて、そこからホログラムのようにサキの姿が浮かび上がっている。

「琳乃介!いるなら返事して!」

サキが大声を出すので、咄嗟にカバンを閉めて田中を見る。

「どうしたんですか?」

田中はキョトンとした顔でこっちを見る。幸い、サキの声は他の人には聞こえていないみたいだ。

「ごめん、急用ができた」と田中に告げ、「ちょっと」と呼び止める田中に代金を押し付けてファミレスを出た。路地に入って、そっとカバンを開けるとまだサキの姿があった。

「ちょっと、返事してよ」

「いや、あんなところで急に話しかけられても困るんだけど!」

「緊急なんだからしょうがないでしょ」

「緊急って?」

「裁きの守護の依頼。この前の話、覚えてるよね?忘れたとか言ったら承知しないよ」

「覚えてる……でもちょっと急すぎない?」

「は?そんなのんびり準備できるわけないでしょ。来ないんなら他の救援呼ぶけど」

「……行くよ」

「言ったね?」

「当たり前だろ。約束したんだ」

「おっけー。じゃ、地図送っとくから」

そう言って通信は切れた。



俺は急いで家に戻るとそのままアパートの前に停めていたバイクに跨った。

なぜだかあの水晶、久遠石をバイクのハンドルの間に据え付けたくなった。

ハンドルの間に久遠石を置くと、マナの姿が浮かび上がった。

「どこかへ行きたいの?」

俺はその姿に圧倒されながらも「サキのところへ」と言った。するとマナは「では、このまま走らせて」と言った。

俺はエンジンを捻った。

「このまま進めばいいのか??」

「そう、迎え入れられるよ」

「このまま進めばいいのか?」

「うん」

マナは無邪気に答える。俺はマナの言う通りにバイクを発進させた。俺を拉致したあいつらのようにこのまま走らせればアマガハラに行けると言うのか。

「このまま壁にぶつかるぞ」

「大丈夫。ぶつからない」

「適当なことを言ってるんじゃないだろうな?」

「ふふ、怖いの?」

その途端、コンクリートブロックの塀が俺の身体をすり抜ける感覚があった。

「ね、行けたでしょ?」

気づけばあたりの景色は鮮やかな群青色の世界に変わっていた。

「あとはこれに従って」

マナの姿が消え、水晶の上に半透明の矢印が浮かび上がった。

この方向を目指せと言うことか。



矢印の指し示す場所に向かう。しばらくバイクを走らせていると、矢印の示す向こうに薄い霧が張っているのが見えた。

誰かがが霧の上で別の人影をかばうようにして立っている。サキか?

その時、その二人の上を何者かが飛び越えた。バイクに跨り、手に持った何かを投げつけ、煙の混じった爆風と共に大きな炎が巻き上がった。

そしてそれに続くようにまた一人、また一人と二人に向かって何かを投げつけていく。

その度に乾いた音が響き、光を放った。すでに裁きが始まっているみたいだ。早くしないと……。ハンドルを握る手に力が入る。

戦場の近くまで来ると、白煙の中からサキと一人の女の子が現れた。

そしてその向こうには目玉の付いた骸骨たちが対峙していた。骸骨たちは白い服を羽織ってバイクに跨り、威嚇するようにエンジンをかき鳴らしている。

「サキ!」

サキは俺の姿に気がつくと「遅い!」と叫んだ。

「しょうがないだろ」

「早くマナを呼んで!」

俺は急いでマナを呼ぶ。現れたマナに戦いに加わりたいと告げ、戦場の中に入った。

「どうすればいい」

「わたしは前線にでるから、琳乃介はその子を守って!」

サキが指し示したのは女の子だった。

「わかった。バリアで守れるかな」

「こいつらが放つ火砲は攻撃力が高い。だから一度壁を作ってもすぐ壊されちゃう。連続攻撃に持ち込まれるとキツいから、敵の少ないところへ逃げるように動いて」

「わかった」

「死なないでね」

「そっちこそ」

サキは大きく飛び上がって敵の群れの中に飛び込んだ。

それと同時に一台のバイクが俺の上に飛び上がった。敵だ。跨った骸骨が黒いものを手にとってこちらに投げるのが見えた。

来る……!

Khapi imāsiカピーマースィ!」

轟音とともに爆煙が舞う。見ると今度はまた別のバイクが飛び上がり迫って来る。

「またかよ!」

俺は女の子の手を引いて駆け出す。その数秒後、背後で爆音が鳴った。振り向くと白い煙が上がっている。

ダメだ。壁は作れば作るほどオルゴンを使ってしまう。その前に俺が力尽きれば終わりだ。奴らはひっきりなしにこっちへ向かって来るし、女の子を守らなくちゃいけないことを考えると攻撃を仕掛ける余裕もない。サキが早く仕留めてくれているといいけど。

Dhyācivaデャーチヴァ yaciharāyaヤチハラーヤ!!」

サキの声がする。地面に放たれた炎が独りでに這い回り、骸骨たちの足元やバイクに絡みついた。たちまち大きな炎が巻き起こり、一面は火に包まれた。

サキはうまくやってくれているようだ。このまま敵が焼きつくされれば。その思いで駆け回る。火を逃れた別の骸骨が俺の後ろに迫るのが見える。

Khapi imāsiカピーマースィ!」

骸骨がバイクに乗って上から火を浴びせる。が、どうにか壁に当たって防げたようだ。白煙が立ち込めていて視界がよく見えない。視界が少し開けると、上から再び明かりをまとった火がこちらへ振り下ろされるのが見えた。

Khapi imāカピーマ……!」

呪文を唱える前に火の玉が俺の胸に命中した。物凄い熱さと痛みが胸を包む。ちくしょう、負けてたまるか。サキはこの今も戦っているんだ。悲鳴が出そうになるのをどうにかこらえながら「Khihtamayaキハタマーヤ」、あの書に載っていた消火の呪文を叫ぶ。

「うぐっ……」後ろから女の子の声が聞こえる。

黒い煤に覆われた女の子がぐったりと横たわっている。

「大丈夫!?」

「う、うん……」女の子がゆっくりと起き上がる。

「それよりサキさんは……?」

辺りを見回す。襲って来ている敵は今のところいない。サキが焼き払ったところからは骸骨たちが身をよじりながら戦場を出て行くのが見える。

でもサキはどこだ。

「あれを!」

女の子が斜め上を指し示した。敵の軍団が空中に一斉に飛び上がる。向かう先にはサキがいる。

Hīyara imāhyayaヒーヤレーマーヒャヤ

あの呪文は……。サキが唱えると、空中に飛び上がった何台もの敵のバイクにサキの放った大量の火の矢が降りかかる。矢の当たったバイクはどれも燃え上がりながら霧散し、乗っていた骸骨頭たちはそのまま地面に叩きつけられていく。

そのとき、こちらに近づいて来るエンジンの音が聞こえた。

一台のバイクがサキの攻撃を掻い潜り、奥からこちらへ向かって来ている。

「こっちへ!」

俺は女の子の手を取り走り出す。十メートルくらいの距離か、後ろからエンジンの音が迫って来るのがわかる。

このまま壁ばかりではオルゴンを使い果たしてしまう。ならば……!

エンジンの音がすぐそばまで迫っている。

振り向くと、バイクが地面を蹴って空中に飛び上がった。今だ!

Hīyara imāhyayaヒーヤレーマーヒャヤ!!」

肩のあたりから大量の矢が放たれる。バイクは一瞬にして燃え上がり、乗っていた骸骨頭が地面に目の前で叩きつけられた。

Srji imasiスルジーマースィ

俺は慌てて剣を出現させる。

起き上がった骸骨は俺の姿を見ると、一目散に戦場の外へと逃げていった。

「もしかして生身じゃ攻撃できないのか……?」

「あのバイクの中に弾薬を積み込んでいるみたいです」

サキの方を見ると、一進一退を繰り返しながら敵のバイクに向けて矢を放つようにして戦っているのがわかった。

そうか。だからか。

体感だけど、この攻撃は壁よりもオルゴンの消費が少ないように感じる。

サキの方を見る。もう残っている敵は数えるほどとなっていた。

「敵が減った。こっちで動くよりサキの近くにいた方がいい」

俺がそう言うと女の子が頷く。

サキのところに駆け寄ると、サキはこっちを振り向いて「行くよ、何かあったら頼んだよ」と言った。

「わかった」

サキは勢いよく飛び上がって、最後に残った敵の中に斬り込んだ。

しかし、一つ気になることがあった。さっきから敵の様子がなんか変だ。

俺たちに襲いかかってくることもなく、じっと俺たちから遠いところでバイクに跨りながら佇み、口元に手を当てて何かをぶつくさ言っている。

Nūhina thāhīrahyaヌーヒナターヒーラヒャ chūseyaチューセーヤ, lākanya arabaritamāyaラカーニャーラバリタマーヤ……」

サキが着地しようとしていたその下に、黒い物影が見えた。

「サキ!危ない!!下だ!!」

俺はサキに向かって叫んだ。サキが下に顔を向ける。異様な姿をした巨大な何かが、ものすごい勢いで戦場の霧の中からせり上がって来た。

サキはそれを躱そうと身を翻したが、その巨大な何かは毛むくじゃらの腕を伸ばしてサキに掴みかかろうとする。それは巨人だった。

Hīyara imāhyayaヒーヤレーマーヒャヤ!!」

俺の放った矢が怪物の腕に直撃する。怪物が低いうめき声を上げた。

サキは怪物の横に着地したようだった。

地の底から浮き上がってきたのは毛むくじゃらで単眼の巨人だった。

「大丈夫か」

「うん……琳乃介はその子を守って。こいつはわたしが相手する」

「わかった。けど、いけるのか」

「やるしかない」

サキはそう言って怪物に目掛けて飛び上がった。怪物はこちらを向いておどろおどろしく目を輝かせる。

そのとき、エンジンをかき鳴らす音が二つほど聞こえた。

音のほうを見る。骸骨頭たちがこちらに向かってきている。

同時にサキの悲鳴が聞こえた。サキが巨人に掴まれてしまっている。

「サキ!!」

俺の声も届いていないのか、サキは苦しそうに表情を歪め続けるだけだ。

エンジン音が左右からかき鳴らして迫る。骸骨たちが火の玉をこちらに投げるのが見えた。

Hīyara imāhyayaヒーヤレーマーヒャヤ!」

それぞれの火の玉に矢が当たり、火の粉が舞い上がる。

「あああああっ!!」

サキの声だ。怪物は手を力を込めサキの体を握りつぶそうとしている。

「やめろ!!」

その時、再びエンジン音を立てて怪物たちが俺の頭上に飛び上がった。

間に合わない!

Khapi imāsiカピーマースィ!」

間一髪、火の玉が弾ける。

このままではサキが死んでしまう。

思い出せ。思い出すんだ。あの呪文を。

女の子の手を取り、走り回りながら必死に思い出した呪文の断片を、少しづつ口から吐き出す。

Nūhina thāhīrahyaヌーヒナターヒーラヒャ……」

目の前にバイクが見える。こちらに向かおうとしている。

Hīyara imāhyayaヒーヤレーマーヒャヤ!!」

矢が放たれる。しかし、骸骨頭はそれを難なく躱してしまった。

くそっ。

「後ろ!」

女の子が声を上げた。

振り向くともう一台のバイクが俺の上に飛び上がる。骸骨頭の放った火の玉が目の前に迫る。

Srji imasiスルジーマースィ!」

火の玉を剣に当てると、大きな轟音とともに煙が舞い上がった。その勢いで身体が投げ飛ばされる。激痛が身体を走る。必死に顔の煤を払って顔を上げた。女の子はどこだ。振り向くと、横たわった女の子の首元を骸骨頭が掴み、無理矢理に持ち上げている。

「もう諦めろ」骸骨頭が言った。

Nūhina thāhīrahyaヌーヒナターヒーラヒャ……」

「は?」

Nūhina thāhīrahyaヌーヒナターヒーラヒャ chūseyaチューセーヤ, lākanya arabaritamāyaラカーニャーラバリタマーヤ……」

それを聞いて骸骨が吹き出した。

「おいおい、バカじゃねえの。それは俺たちにしか使えないんだよ」

Nūhina thāhīrahyaヌーヒナターヒーラヒャ chūseyaチューセーヤ, lākanya arabaritamāyaラカーニャーラバリタマーヤ……」

骸骨は飽きたような声でそう言うと俺から目を背け、傍から取り出した刀を嫌らしく見つめた。女の子は涙を流し、悲鳴を上げようにも上げられないといった絶望の表情を浮かべ苦しそうにジタバタと空中をもがいた。

「残念だったな、あばよ」

刀を女の子の首元に差し込もうとしたとき、別の骸骨頭が声を上げた。

「おい!!」

彼らは視線を戦場の真ん中に集めた。その視線の先では、大きな毛むくじゃらの怪物が地下から湧き上がってくる。

Mayatamāyaマヤタマーヤ!」

火の玉が油断していた骸骨頭の乗るバイクに当たった。それとともに大きな火をあげて燃え始める。

女の子は奴の手から投げ出され、地面に転がる。急いで駆け寄り、「大丈夫?立てる?」と声をかけた。女の子は苦しそうに「うっ……ええ、なんとか」と言ってよろよろと立ち上がった。さっきの骸骨頭は「くそっ」と言いながら戦場から苦しそうに這い出て行く。が、再びエンジンの音がする。骸骨頭はまだ何人かいる。女の子の手を引き、もう一度走り始める。やつらの攻撃を避けるには、近づいてきたところを迎撃するしかない。

そのとき、ドン!と大きな音が鳴った。俺の作り出した怪物の拳が、もう一人の怪物の顔面に命中したのだ。怪物は怯み、手からサキが投げ落とされた。慌てて駆け寄り、手を広げる。なんとかサキの体をキャッチすると、その上に何台かのバイクが飛び上がってきた。

「しつこい奴らだ。Hīyara imāhyayaヒーヤレーマーヒャヤ!」

そいつらは矢を躱したものの、タイミングを失ったのか火の玉を投げて来ることはなく、そのまま遠くの方へ離れて行った。

「サキ、立てる?」

「う、うん。やらなきゃ」

サキは俺の腕から降りると、すぐに表情を変えて言った。

「ありがとう」

「礼はやっつけたあとでもいいよ」

サキはふん、と笑い、全部仕留めてやる、と静かに言った。

バイクの隊列軍団が二手に分かれた。一つは右からもう一つは左から、俺たちの方に迫ろうとしている。

「琳乃介、右を守って。斬り込みに行くよ」

「この子は」

「大丈夫。アレが守ってくれるでしょ」

サキは俺の作り出した怪物の方を指差し、「Cigāmyaチガーミャ, maritamāyaマリタマーヤ」と言った。すると怪物の目が動き、頷くように首を縦に動かした。

大体百メートルくらいだろうか。敵のバイクが二台、目の前に迫る。サキの方は三台、エンジンの音が威嚇しながら近づいてくる。五十メートル、二十、十、今だ。

Sīhスィーハ, māyaマーヤSrji imasiスルジーマースィ!」

勢いよく飛び上がる。同じく飛び上がった骸骨頭たちの首元を目掛けて剣を振る。前の一人の首を掻っ切ると、その剣をもう一人のわき腹に差し込む。やった。

しかし、そいつの持っていた火の玉が俺の後ろへ投げ出されてしまった。まずい、あの子が。

後ろを振り向く。火の玉が女の子の頭上に降りかかる。女の子が為すすべもなく手を挙げた。その時、何かがその上を通り、火の玉に当たって燃え上がった。

それは俺の作った怪物の足だった。

「よかった……」

しかし、脚を上げたその怪物の隙を狙ってもう一人の巨人が蹴りを入れた。怪物は、そのままゆっくりと倒れてしまう。

Sīhスィーハ, vī, māyaヴィー マーヤSrji imasiスルジーマースィ!」

サキの声だ。飛び立った横には、亡骸が三体、無残に転がっている。

サキは勢いよく空中に舞い上がり、掴みかかろうとする怪物の腕を避けた。

「喰らえ!!」

彼女はそう言って、怪物の目に剣を突き立てた。怪物は大きな咆哮を上げてその場に倒れた。地響きとともに怪物の身体が四方に砕け散り、煙を上げて消え、それとともに戦場に広がる霧が消えていった。



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