不死鳥2/2

「3分で終わらせるっスよ!」


康太は黒刀を振りかざし、素早くヴォイドの懐に飛び込む。

咄嗟に反応してヴォイドはレーヴァテインを盾にして黒刀を受け止める。

しかし、ヴォイドの抵抗は虚しく、激しく吹き飛ばされた。

黒刀がレーヴァテインに接触した瞬間。

まるで爆発したかの如く、康太の持つ黒刀から焔噴出された。

それにより康太の放った一撃は威力が倍増し、ヴォイドを吹き飛ばす形となった。


「いってえな!ちくしょう.....!?」


すかさず康太はヴォイドの後ろに回り込み斬撃を繰り出す。

ヴォイドはそれを槍で受け止めず躱した。

まともに受け止めてることはできないと判断したのだろう。

連続で繰り出される太刀筋をギリギリの所で躱し、大振りになった瞬間を見逃さず、槍をつき穿つ。

だがその槍は康太を貫くことはなかった。

銃声と共に放たれた弾丸が槍を弾いたのだ。


「なに!?」


弾は康太のその姿に困惑しつつも、康太とヴォイドの攻防を瞬きをせず、隙を伺っていた。

そして、弾はその隙を逃さず、考えうる限り最高の結果を導き出した。


「くそっ!」

「はあああああ!」


康太が下から上に剣を切り上げる。

それに対して、ヴォイドは身体中から黒炎を放った。

その熱風で康太は後ろに吹き飛ばされるもギリギリの所で体勢を保つ。

ヴォイドはすかさずレーヴァテインを康太に向けて投擲した。


「レーヴァテイン・アブソリュート!!」


渾身の一撃をヴォイドが放つ。

無数に分裂するその槍の雨に康太は包み込まれた。

だが、それも時間にして僅か3秒程度。

投擲された槍達は盛大に吹き飛ばされた。

中から現れたのは片翼の橙色の焔の羽を持つ康太だった。

見るからにその焔の羽が康太を守り、そして槍を吹き飛ばしたのだろう。

ヴォイドは直感した。

あれはまずいと。

手元に自動的にレーヴァテインが戻り、それを掴み取ったと同時に黒炎をレーヴァテインに纏わせた。

地面に勢いよく突き刺すと、そに衝撃でセントラルタワーに縦に亀裂が走る。

とてもではないが屋上にいる全員が立ってはいられないほどの揺れが襲いかかった。

崩れ始めるセントラルタワー。

ヴォイドはそれに乗じて康太かヴォイド、どちらかを仕留めるつもりだった。


「おいおい、冗談だろ!」


ヴォイドは康太の方を見ると宙へ浮いていた。

正確には片翼の焔の羽を羽ばたかせて飛んでいる。

正直なところ、風の魔術を用いても自分の意思で宙へ浮かべる魔術師など世界に片手で数えられる程度しかいない。

だからこそ、このセントラルタワーを崩し、混乱に乗じて戦いを優位に進めようと思ったヴォイドの策略は崩れ去った。

だがまだ弾がいる。

揺れ動くセントラルタワーの屋上で、彼はなんとかバランスをとって座り込んでいる状態だ。

康太と弾の距離を考え、先程までの康太のスピードを考えても間に合わない距離と踏んで、ヴォイドはレーヴァテインを投擲する。

無数に増殖する槍の投擲を前に弾は弾を1発取り出し、それを銃に装填した。

ヴォイドは口角を上げた。

弾に放った槍が命中すると確信したからだ。

だがそれは慢心だった。

康太が左翼を手で掴み投げるようにして弾と槍の間に羽を伸ばした。

ゴムのように伸びたその焔翼は鋼鉄のように地面に突き刺さり、弾を守る壁となった。

槍は翼に突き刺さり、弾のところまで届くことはなかった。


「リカバリーバレッド」


弾はセントラルタワーに向けて銃弾を放った。

着弾と同時にセントラルタワーが大きく揺れる。

しかし、それは崩壊する予兆ではない。

これまでの戦闘で崩れそうになっていたセントラルタワーが見事に傷一つない状態に戻っているのだ。

まるで建設したてのように新品同然のようだ。

ヴォイドは予想外の揺れに体勢を崩す。

そしてそれのせいで同時に後ろに回り込んでいた康太の姿に気がつかなかった。


「しまっ....!?」


気がついた時にはすでに遅かった。

直感で避けられないと悟ったヴォイドは小さく舌打ちをする。

何故だか口元がニヤついていた。


「これで終わりっス!」


康太は下から上に黒刀を切り上げ、ヴォイドの胸部に黒刀で深く斬りつけた。

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