不死鳥1/2



不死鳥を模した焔に康太は包まれ、次に姿をあらわす時には先ほどの学生服とは違った服装をしていた。

赤い外套を羽織り、右腕と右足に甲冑をはめている。

そして右手に持つ剣は先程まで康太が持っていた剣とは全く別物で、先程より一回り小さい黒刀を携えていた。


「君は一体......!?」

「おいおい、何だそれは?」


弾とヴォイドがその光景に驚きを隠せない。

弾はそれを始めて見る現象に驚く。

ヴォイドはそれを脅威と捉え驚く。


「悪いっスけど悠長にしてる時間はないんスわ」


康太は黒刀を天に掲げ、師であり父である光一との会話を思い出していた。




ーーーーー





「ここまでが限界だな」

「いやまだっス!もうちょいで掴めそうなんだ!」


奏の研究室、もといそういう名の別次元のような地下空間で康太と光一は「纏い」の修行をしていた。

地面には修行の成果と呼んで良いのか、炎がメラメラと燃え上がっている箇所や、黒く焦げっている箇所が見受けられる。


「どんなけ足掻こうが底が見えた」


光一が冷たく突き放すように告げる。

息を荒げながら康太は目を閉じ、肩を落とした。

だが、次に告げられた父の言葉は康太にとっては思いもかけなかった言葉だった。


「まあ及第点だ。今後は一日一回は纏いの練習をここでしろ」

「えっ!?」

「なんだ、見切りを付けられたとでも思ったか?」

「いやだって、底が見えたって」

「ああ、現状のな」


何という紛らわしい言い方をするんだこの男はと康太は睨み付けてやった。

しかし、同時に安心感と認められた嬉しさがこみ上げて口元がにやけていた。


「一応わかってると思うが、「纏い」は「武器化」と違ってお前自身の魔力を使う。今まで精霊達の魔力を当てにしてた分、だいぶ錆び付いてるだろうから、纏いの持続時間を意識しながら修行することだな」


父のその言い方に違和感を覚えた。

それが顔に出ていたのか、光一は笑ってその違和感の正体を答えた。


「俺は忙しいっつってるだろう?今から仕事に行くから後は自分自身でコツを掴め」

「....また行くのかよ」


いつも戻ってきてはすぐに姿を消す。

彼はそんな男だ。


「次会うときまでには、そんな半分じゃなく、ちゃんと完成させておけよ」

「はっ!もう一週間もあれば完全な「纏い」を出来るようにしてやるっスよ!」

「覚えておけよ康太。今のお前が「纏い」を使える時間は.....」

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