6.
俺には、なんにもないんだ。
たくさん考えて、小さいころから今までとか、いろんなことを振り返ってみたんだけど、やっぱりなんにもなかった。
やりたいこととかもなかったし、心から楽しいって思うようなこともなかった。ただ毎日学校行って、家帰ってご飯食べて寝るってさ。
自分にとってもまわりにとっても、当たり障りのない毎日って言うの?
人生、そんなものだと思ってた。
これからも、ずっとそんなものなんだろうなって、なんとなく思ってた。
でも、こんなのがずっと続くんだとしたら、生きている意味があるんだろうかと考えたことがあったんだ。
不満があったわけじゃないと思うんだけど、でも、こんな人生になんの意味があるんだろうかって。
まあ、考えてみただけで、答えを見つけようとはしなかったけどね。え? だって、見つかるわけないもの。そうでしょ?
転生して異世界で冒険三昧、みたいなことも用意されてなかったみたいだし。
だから。
もう一度人間やりたいかって言われたら別にいいかなって。
だからといって動物とか虫とか植物とかは生存競争とか大変そうだからイヤだし。
そういうわけなんで、俺、次の人生とか生まれかわるとか、パスだわ。
まるで昨日見たテレビの感想でも話すように、崕はよどみなく淡々と打ち明けた。最後には、あっけらかんと笑ってみせた。
そこに悲壮感のようなものはいっさい存在しなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます