第2話 星空の紙コップラーメン

1.

 遠慮気味に開けた引き戸の隙間からこちらの様子をうかがってから、その老人は食堂の中へと足を踏み入れた。

 立て付けの悪いガラス戸に手間取ったことを恥ずかしそうに振り返り、そして、店主と先客の顔を見た。

 彼はことのほか落ち着いていた。

 だが何か腑に落ちないようで首を傾げた。

「どうしたの?」

 と店主が尋ねると、

「ああ、まあ、」

 と言ってから我が身に起きた出来事を、ゆっくり丁寧に話し始めた。

「どうやら俺は死んだようなんだ」


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