第17話 ファイル

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 ある日の事。


 日課のランニングから帰り、背中のタイヤを下ろしていると…。部員の皆が真ん中の大きな机の上に本らしきものを積んでいた。

 私に気が付き部長さんが、

「お帰りなさい。」

と、迎えてくれた。

「それ本ですか?」

「本と言えば本ですね?」

 部長さんの答えに【?】マークを出しながら近付くと意味が解った。

 本じゃなくて、ファイルだ。しかも結構、分厚いファイル。

「ファイルですか?」

「はい、ファイルです。機体、武器、装備の性能と解説が載っています。」

「へー。」

 結構な量の武器があるから、ファイルの量が多いだな…。楽しみになった。

「慣れてきたみたいなので、そろそろ他の機体、武器、装備を知っていた方が良いかと思いまして。」

「楽しそうですね。」

 ワタシ、ワクワクしてきたぞ!

「とりあえず今日は、武器だけ見ましょうか。」


 机に着き、手近なファイルを取り開いた。

 武器の写真に解説、そして何やら色々な数値が書いてある。


 一応、数値の説明をオペレーターさん…。じゃなくて、美星先輩がしてくれたが、なんの事かよく解らなかった。

 でも、写真を眺めているだけでも十分楽しい。


 ふと、疑問が

「あの部長さん?」

「何かしら?」

「このご時世に、紙のファイルなんですか? パソコンとかタブレットのデータじゃなくて?」

「それはですね。」

 凄い真顔。ちょっと身構えた。

「データだと、小さなメモリー一つで全データを持ち出せるでしょ。」

「そうですね。」

「使う方は、簡単で便利と喜ぶ。でも、一番喜ぶのは…。」

 ごくり…。

「スパイ等の盗む人! 直ぐに全データを盗み出されてしまうのよ。でも、分厚いファイルなら一度に全部盗むのは不可能に近い。そう言わば、究極のスパイ対策なのよ!」

 おーっ! そうだったのか。なるほど、スパイ対策だったのか。そこまで、リアルだったとは。

「それにね。ファイルだと、いきなりロボットに乗り込んでも直ぐに読めて、使い方解るでしょ。」

「確かに、そうですね! 特別な操作しなくても、開けば直ぐに読めますね。」

 納得だ。


 他の部員は、聞いてないふりして分厚いファイル読んでました。はい…。


「武器の特長を覚えておくと、相手が装備していた時に対応し易くなるでしょ。」

「そうですね。知っている武器なら使い方が解るかもです。」

「後は、状況に応じて武器を選択できる様になるのが大切です。」

「状況ですか…。」

「状況と言っても、関係するのは戦場の地形ですね。例えば、海へ行くのでしたら、水着とか浮き輪は持って行くのと同じ感覚です。」

 後は、何持って行くかな?

「その地形にあった装備を選択できる様になる。そういう事に役立つはずです。」

「なるほど。」

「武器の選択パターンを登録しておけば直ぐに呼び出せますし。」

「そんな事もできるんですね。」

 また、一つ勉強になった。でも、それはより深みへと足を踏み入れたと言う事に他ならない。


 この武器カッコいいな…。これってどう使うと良いのかな?

 想像している時が一番楽しい! って、誰かが言ってたけど、本当にその通りだと実感。


 部活終わりまで、読んでたけど…。ほんの一部だげだった。



 いっぱい武器の資料を見た、その夜。


 パンツァー・イェーガーの前に武器と弾薬を、これが装備の全て感じで並べ、更にその前で立っている私。


そんな夢を見た。


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