第10話 装備

 昨日と同じ箱(コックピット)に入る。立ち上げは、横でサポートしてくれる副部長さん。でも、なんとなくは覚えてきた。

 『ガラガラ』と閉まる音。そして、パネルの明かりが引き立つ。

「昨日と同じ機体を選んで。」

 モニターの小窓から部長さんの指示。

「はい。」

 カチカチと。

「選びました。」

「では、昨日は選ばなかった武装を選択しましょう。」

 小窓の部長さんが横を向いた。

「何かいいかしら?」

 スピーカーの向こうで、ちょっとした会議は昨日と同じ。

「スタンダードのAパックでいいんじゃないですかね?」

 オペレーターさん。名前、覚えてない事に気が付く。ごめんなさい。

「日向さん。選択肢、最初の武装を選んでください。」

「はい。」

 これだな、緑のワイヤーフレームで描かれたロボットに、赤のワイヤーフレームで描かれた武装が付け加えられた。

「右武装が、右手のライフル、右肩のミサイル、背中のソード。左武装が、右手のシールド、頭部のバルカン、腰の対アーマーダガー。スタンダードのセットになってます。」

 一気に言われた。えっと、えっと、聞いたことはある程度の名前がいっぱい。

「武装の特性は使っていれば覚えでしょう。上げてください。」

 部長さんの合図。

「了解です。リフトアップします。」

 オペレーターさんが、エンターキーを押す。

 メインモニターの景色が、下へ下へと流れるのは昨日と同じ。


 地上の風景が見えたところで、ガックンとリフトが止まる。そのタイミングで

「日向さん。今日は武器の使用を練習します。」

「はい。」

「まず、正面のモニターが昨日と違う事に気が付きますか?」

 えっと…。あっ、これだな。

「赤と青の丸に漢字の十を組み合わせた様なものが映ってます。」

「赤が右、青が左のターゲットマーカーになりす。操縦桿の上部にオレンジのボールを半分にしたモノが付いているとおもいます。」

 昨日から気になっていたやつだ。

「はい。付いてます。」

「それを親指で前後左右に回すと、其々が連動して動きます。」

 早速、やってみた。グリグリやるとモニターの赤と青のマーカーが、ツツツーと動く。

「其々の赤トリガーを引くと、ターゲットマーカーの位置を攻撃、又は装備しているものの挙動をします。」

 とりあえず右の赤トリガーを引いて見た。

 モニターの右側から、ぬっとロボット(なんだっけ、ロボットの名前? まあ、いいか、その内で…。)が手にしていたライフルが映り込んみ、構えて撃った。

 『ダッ』とスピーカーから発射音、映っているライフルの先からは火が出た! メッチャリアルだ。

 次に、左の赤トリガーを引いた。すると、四角い(?)影が左側から現れ、モニターを半分程遮った。

「今、左腕はシールドを装備しているので、ターゲットマーカーの位置を防御しています。」

 部長さんの説明を聞いて頭の中で、ロボットの動きを考えてみる。もやもや…っと考え、なるほどと。

「赤トリガーの下の位置に、少し形の違う青トリガーがあるでしょ。それは、副武器のトリガーになります。今は、ミサイルと、頭部バルカン。」

 えっと、最初に言ってた武装の種類にあったな。

「ミサイルに関しては、少し違った操作もありますが、今は使わないでおきましょう。」

 後のお楽しみかな?

「後、オレンジボールの内側になる方にある黒いボタンは、武装交換に使いますが、これも今は使わないで、ライフルの使い方を中心に練習しましょう。」

「はい、解りました。」

「的を出してください。」

 地面から、あの胴体に白黒の丸が連なったものが描かれた人形(ひとがた)が、数個上がってきた。

「順番に撃っていってください。」

「はい。」

 右の親指でグリグリとボールを回して、十字を合わせて赤トリガーを引く。 

 ダッ! と撃ち出された弾が的に穴を空けていく。私が狙ったと思っていた場所じゃないけど!

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