第5話 電話
家に着いた時には、もう辺りは真っ暗だった。
夕食に、お風呂。人心地付いてベットの上に倒れる。
反動でアカ助(猫)が飛び上がた。一瞬こっちを怒った目で見たが、また寝始めた。流石、猫!
何だか、長い様で短い1日だったなぁ、と染々と。
そこに、お母さんが
「葵ぃ! 実宏ちゃんから、電話よ。」
あっ! すっかり忘れていた。実宏とはぐれて、そのままだった。
「こっちで取るね。」
子機のスイッチを入れ、電話を受けた。
「無事?」
半笑いの実宏。
「何とか。」
私も半笑い。
「はぐれて何処に行ってたのよ。」
「うぅ。色々と。」
「あたしは、お料理研究会にたどり着けたわよ。」
「良かったじゃない。」
「予想に反して、ちょっと厳しそうだけどね。まあ、噂に聞いたあの部程じゃないらしいから…。」
私の中の何かが、音と光を額から出して、嫌な予感を感じ取った気がする。どうか、私の嫌な予感外れて。皆、優しかったし。
「あの部って?」
「何だったかな…。ロボットを操縦して戦う。何とかって奴知らない?」
当たらなくてもいい予感は、外れないジンクスは目下継続中らしい。
「パンツァー・イェーガー?」
「あっ、そんな名前の奴。それを部活動としてやっている部があるらしいのよ。」
もしかしたら、他にもあるのかも。 と、自分に逃げ道を作ってみた。
「へー。そんなのやっている部あるんだ。」
今日行った部じゃありませんように。
「何でも、校舎裏に建物があってそこでやってるらしいのよ。」
思いっきりハンマーで頭を殴られた様なショックを受けた。私の頭は光になってないかな?
「そこの部長がね。凄い美人らしいのよ。告白する男女が後を絶たないとか。」
ええ、知ってますよ。何故だか知らないけど。最後の方のおかしな言葉は突っ込まないでおこう。
「でね、その部長はね、『パンツァー・イェーガーが私より弱い人とは付き合わない!』宣言したらしいのよ。」
見える。私にもその時の状況が見える様な気がする。
「挑戦者は数知れずだったらしいけど、誰一人勝つ処か相手にならなかったとか。」
更に続け、
「軟弱者に用はない! と部活動も厳しくなって、ついには『強くなるなる為なら死んでも良い!』とか。」
実宏、興奮し過ぎ、
「地獄の特訓が一万通りもあるとか、付いていけないで、辞めた部員が千人以上いるって噂まで。噂が広がって誰も近付くなくなった部。」
千人は嘘だろうけど、辞めた人はいっぱいいそう。
「今、部員は地獄の特訓を切り抜けた猛者達らしいのよ。部の名前聞いただけで、男子は逃げるってさ。」
熱弁は終わったみたいだ。
「ねえ、聞いてる。葵。」
「う、うん。聞いてる。」
右の耳から入って、左の耳から抜けてるけど…。
「でね…。」
心の崩れる音が聞こえたのは、言うまでもないよね。
「あっ、実宏。ごめん。今日、疲れちゃって。」
「ありゃ。それは…。そういう時は寝るに限るね。じゃあ、お休み。また、明日ね。」
「うん。お休み。また、明日ね。」
三回程、ツーツーって音を聞いた後に切った。
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