とある女の独自

 ねぇ、    。


 私は    を愛しているの。


     のその髪も、私の手を包み込む手も、太い指も、逞しいその腕も、大きな背中も、引き締まった足も、人よりも濃い眉毛も、きりっとした目も、高い鼻も、かさかさした唇も。


     を形成する、全てのものが愛おしくて、同時に憎らしいの。


 嗚呼、    。


     こそが、私の全て。    がいたから、私は生まれてきたのよ。


 私の目は、    を見るために。足は    に近付くためにあって、手は    を捕えるためにあって、唇は    を呼ぶためにあったの。


 それなのに、    は私を措いて、黄泉の国へ旅立たれてしまった。


 私は    のために、生きてきたというのに。


     のいないこの世界で、私はどうやって息をすればいいの?


     ……    ……。


 私は、もう一度、    に会いたい。


 もう一度、会えたら。


 私は、    を殺して。


 私も死にます。

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