闇の中を求める
夜の帳が落ちて、しばらく経った頃。
暗闇の静寂を破る音が辺りに木霊していた。
がつ、がつ
岩と岩がぶつかり合う音だ。荒々しい息遣いも聞こえてくる。
その音を鳴らしていたのは、一つの人影だった。灯りもなく、ただ無心に岩を砕こうとしている。
がつ、がつ、がらがら
砕け落ちた音が響き渡る。現れたのは空洞だった。奥は外よりもさらに濃い闇が広がっている。
人影はじっと闇を見つめた。その目には、恐怖も好奇心も感じない。ただ虚ろだった。
「あるかな、あれ……」
人影は砕け落ちた岩の欠片を踏みしめ、ゆっくりと闇の中へと吸い込まれて行った。
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