第3話 ペガサス馬車の中で
「くそっ! なんなんだ、あの名前は!?」
俺は馬車の中で頭を抱えていた……
転生士とかいう奴らのことを電波だなんだと蔑んだが、俺も大して変わらねえ…… 「神水学園初代風紀隊長」ってなんだよ…… 中二病全開じゃねえか……
「おい、風紀隊長殿! 話を聞いているのか?」
第七十五転生士のおっさんが俺を茶化してくる。完全に面白がっていやがる……
「聞いてるよ! 今からアティーナとかいう女神様に会いに行くんだろ?」
「そうだ! くれぐれも無礼なことをするなよ? お前なんかアティーナ様がその気になったらあっという間に消滅だ!」
物騒なことを言ってくれるな……
「ところで風紀隊長殿、結局、自分のことはその変な肩書と名前しか思い出せないのか?」
「ああ、今の所は……」
結局俺が思い出したのは、中二病全開の初代風紀隊長とかいうワードと「イカルガ ヤマト」という自分の名前だけだった。どこに住んでいたのか、何をしていたのか、全く思い出せないままであった。
「いやはや、レアなケースもあるものだ。名前ははっきりと思いだすのに、以前居た世界のことは全く思い出せないとは……」
おっさんが言うにはこの白界は神の使いが生まれる場所らしい。詳しいことは女神様が直々に説明してくれるということだが……
「普通は自分の居た場所、何をしていたかってのを思い出して、自分の名前は断片的にしか思い出さないんだがな」
「そんなことを言われても思い出せないもんは思い出せないからな」
「それにしても、話しかける姿勢がなってないみたいなことを俺に言ってたくせに、お前こそ全く敬語を使わないじゃないか。容姿は俺の方が年上だってのに」
「まあ、いいじゃねえかよ、そんなことは」
「ははは! まあ、俺はそれくらい生意気な方が好きだがな」
「好きとかいうなよ。気色悪い」
「さて、そろそろ転異場所に到着するぞ」
ペガサスに牽引されていた馬車が地面へと着地する。なんだろう、ペガサスがいて、馬車が空を飛んでいる、という状況に対して俺はもっと驚かなければならない気がするのだが……記憶が無いので、その理由が分からない。
「よし、降りろ。これから神界に転異する」
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