第13話 箱根駅伝予算委員会発足
鉄朗(うーむ…
しかし、俺は言っても地方大出身だからな…
正直あんまり関東の大学の偏差値だの、ヒエラルキーだの、よく分かんねえんだよな。
東京もんの中には、少なからずそういう見方をして楽しむ者もいるということなのかもしれん…)
沙和「まぁ、ヒエラルキーストレスが解消されない件は、ひとまず置いておいて…
もし、各大学の大学力の差が、そのまま箱根駅伝の結果に繋がってしまっているとしたら…?
これはゆゆしき問題じゃないかしら?」
鉄朗「大学力…?(次から次に聞きなれない単語繰り出してくるな…)」
沙和「大学力…各大学の持つ地位、偏差値、権力、ブランド力、そして何より…
経済力!!
例えば、箱根駅伝にかけられる予算て、各大学の裁量に委ねられているのかしら?」
鉄朗「あー、俺もよく知らねえけど、何となく…そんな感じがするよな。」
沙和「そうだとすると、経済力のある、つまり大学力の高い大学は、潤沢に資金を使えて、逆に大学力の低い大学は…そういうことになるわよね?」
鉄朗「まあな。」
沙和「そうして、大学力の高い大学が、うちもうちも、って箱根駅伝に本腰を入れてきたら…
上位は必然的に大学力の高い大学に独占され、そうしたら箱根駅伝は、ただ単に大学力の高さを示すだけの大会になってしまうじゃない!」
鉄朗「うーん、そんな単純なもんかなぁ?
資金が潤沢に使えるからって、必ずしも強くなるとは限らねえぞ。
まぁ、有利ではあるだろうけど。」
沙和「絶対有利に決まってるわよ!
そうやって強者は全ての権利を独占し、弱者は全ての権利を失っていく…
格差社会…まさに現代の縮図だわ…
伝統も美徳も忖度もへったくれもない。
爽やかな箱根駅伝が、そんな世知辛いものになっていってしまって良いの!?
スポーツって、もっと夢を見させてくれるものじゃないの?
年の始めから、国民達のヒエラルキーストレスは、晴らされずに溜まっていくばかりよ!」
鉄朗「結局ヒエラルキーストレスの話に戻るのかよ。
つうか、別に誰かの鬱憤を晴らすために開催されてる大会じゃねぇからな!」
沙和「分かった、ヒエラルキーストレスのことは、今度こそ置いといて。
勝負として、公平さはやっぱり重要じゃない。
だから私考えたんだけど、毎年予算委員会を開くのはどう?
そこで、その年箱根駅伝に使って良い予算を一律で決めるの。
もちろん予算額は、大学力の低い大学の方に合わせること。
予算をオーバーした大学は、出場停止。」
鉄朗「ふむ…」
沙和「そうでもしなきゃ公平じゃないよ。
あとは、シード権以上の大学と、それ以下の大学とで、予算に差をつけるのもアリね。
シード権以下の大学の方が、予算を多く設定するの。
何ならもう、優勝校以下、順位が一つ下がるごとに、予算を多くしていくのでも良いわ。
それにより、大学同士の力の差が縮まってレースが白熱し、大会自体の盛り上がりも期待できる…
もう、『〇〇大学が復路独走!』みたいな、素人から見たら正直『つまんねー』という展開にはならないわ。
視聴率だって上がるんじゃない?」
鉄朗「ふむ…」
沙和「じゃっ、村上くん、この提言書を上にあげといてくれたまえ。」
鉄朗「どこにだよ。」
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