第8話 鍵はハンターハンターにあり!?

鉄朗「なぁ…この前の、ハンターハンターの話なんだけどさ…」


沙和「うん?」


鉄朗「俺さ、昔、子どもの時は、ハンターハンターすごい好きで、結構読んでたんだ。

ワンピースと同じくらいか…いや、それより好きだったかもしれない。」


沙和「へぇー、そうだったんだ!」


鉄朗「すごい引き込まれるストーリーで…毎回楽しみに読んでたよ。

でも…うちの姉貴がさ…」


沙和「へっ?鉄朗くんお姉さんいるの?」


鉄朗「ああ、いる。」


沙和「あれっ、だって前、兄弟は?って聞いた時、『いや…』とか言ってたじゃん。てっきり一人っ子なんだと思ってた!」


鉄朗「あー、ごめん、なんかあんまり話したくなかったから…。


まぁ、その、姉貴がさ…

いわゆる、腐女子ってやつなんだよ。

BL?ばっかり読んでやがって…


で、姉貴もハンターハンター好きで、一緒に読んでたんだけど…

ハンターハンター楽しく読んでる俺の横で、『クラピカとヒソカが♡♡』だの、『ゴンとキルアが♡♡』だの、キモいことばっか吹き込んできやがるんだよ!

俺もまだ子どもだったし、そんなことばっか言われると、だんだん『うわー、なんか気持ち悪ー』って、ハンターハンター自体に拒否反応示すようになっちゃって…

それで結局…、読めなくなったんだ。

それ以降、俺はワンピースを愛読するようになった。」


沙和「………へ、へぇ……



そんなことが…フフッ、あったんだねー、フフフフッ…(笑)

それは、まだ幼い鉄朗くんには災難だったねぇ…

可哀想だったね、大好きなマンガ読めなくなっちゃったなんて…(笑)


そうだったんだぁ。鉄朗くんが子どもの時のこと話してくれるの、なんか珍しいね。嬉しい。」


鉄朗「えー、そうだったかなぁ?

まぁ沙和ほどは…あんま俺、昔のことって覚えてねぇし…」

(お…?なんか沙和が久しぶりに、柔らかな笑みを浮かべてくれたぞ…?

よく分かんないけど、話して良かったかも…嬉)


沙和「お姉さん、何歳なの?」


鉄朗「えーと、俺の四つ上だから、31。」


沙和「へー。今は、どちらに?」


鉄朗「んー、実家にまだ住んでるんじゃない?地元で働いてるし。」


沙和「結婚はまだなんだ?」


鉄朗「あいつと結婚する物好きなんかいねぇよ。」


沙和「えー?ひどい…BL、いまだに好きなのかな?」


鉄朗「重症だよ。コミケだのイベントだの舞台だの、しょっちゅう上京して来てる。」


沙和「へー、しょっちゅう来てるんだ?あ、じゃあよく会ってたり?」


鉄朗「いや、それが、長年全然付き合い無かったんだが…

俺、去年から、会社の寮を出て一人暮らし始めたのね?」


沙和「あ、それまで寮だったんだ」


鉄朗「うん…そしたらあいつ、格好の宿ができた!と思ったみたいで…それからしょっちゅう泊まりに来んだよ!」


沙和「えーっ、あの(狭い)部屋に?

…布団二つ敷ける?」


鉄朗「いや、敷けるも何も、そもそも布団だって俺のぶん一つしかねぇ…

仕方ねぇから、布団の端と端に、出来る限り離れて寝たよ!」


沙和「へぇー、仲良いね。」


鉄朗「良くねぇ!それで、ウチに泊まるのは不可能だから、頼むからもう来んなって言ったのに、あいつ『大丈夫大丈夫ー』とか言って…こないだついに、パジャマまで置いていきやがったんだぜ!?信じらんねー…」


沙和「パジャマ……




それって、白地にピンクの水玉のパジャマ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る