犬の気分

@az___

糸の話

河川敷に犬がいたそれを見て肉まんを食べた

ああ、まただ、逃げ込んだ先が、穴のない、洞穴

常同行動は、紫の雫にも似た糸だ

実際には誰でもない、訪れるのは沈黙


ひとしきり泣いた後、濡れたシーツに謝る

明日こそはと願いながらも、人生は長い

切っ先まで磨かれたパイプオルガンから流れ出る鼻血

もう二度と、もう二度と、と繰り言が漏れる小部屋


犬の鳴き声にも満たない、枯れ果てた喉仏

起き上がり、また眠る、目をあけて、また眠る

繰り返される日々は、紫の雫にも似た糸だ

実際には何でもない、流れ出るのは緊張


水音が興奮したのは明日の天気予報が外れたとき

見違えたように、見える雫は、まぶたにも満たない

たどる、たどる、きらい、すき、うちやぶれた未来

ひとときの興奮は旅先にさえ嫌われる

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