4、人の温もり
うぅ・・・ん・・・?
なんかふかふかしてて気持ちいいな・・・
このまま起きたくないくらいに寝心地がいい・・・
「ほら、いつまで寝てんの!起きなさい!」
あれ?母さんの声が聞こえる・・・もう学校の時間かな・・・?
起きなきゃ・・・
「わかったよ起きるよ・・・」
*********
パチッ!
目を開けるとまさかの女の子のドアップ。
「うわぁぁああああああああっっ!?!?」
俺は驚きすぎて反射的にベッドの端まで飛び退いた。すると途端に全身に激痛が走り、その場に
「だだだ大丈夫ですか!?」
「うぐぅ・・・・スミマセン・・・・ダイジョウブ・・・デス・・・」
「大丈夫じゃないやつです!はい!ゆっくりベッドに横になってください」
「ありがとうございます・・・」
俺は言われるがままに女の子の手を借りながらゆっくりベッドに横になった。
全身が楽になるのを感じる。女の子は胸を撫でおろす仕草をしてから俺に布団をかけなおしてくれた。
「まだ傷が
「す・・・すみません」
「わかればよし」
ニコッと笑う彼女は修道服を身に
にしても俺、どうしてここにいるんだろう。あの時絶対死んだと思ったのに。
「あの・・・」
「はい?」
「俺、何で生きてるんですか・・・」
「え!もしかして自殺しようとしてたんですか!?駄目ですよそんな命を捨てるようなこと・・・」
「違います違います!!いや、俺・・・確か崖から落ちて・・・」
「あ!ごめんなさい!早とちりしちゃって・・・驚きましたよ。モンスターじゃなく、人が落ちてくるんですもん。まさか人があんなところにいるなんて」
モンスター・・・?動物とかを外国の人はそう呼ぶのかな?
「すみません、驚かしてしまったようで・・・」
「いえいえ!ここ最近は村の方達も森に近づかないようにしていたので・・・」
「そうなんですか・・・」
「その後は私の持参していたポーションと回復魔法で応急処置をした後に、ここルーティア教会に運ばせていただきました」
「そう・・・ですか・・・」
ん?ポーション?回復魔法?何言ってんだこの人・・・めちゃくちゃ美人なのに頭ヤバい人なのかな。
いかんいかん。命の恩人に対してそんなこと考えちゃだめだよな。とりあえずお礼言おう。
「あの、助けて頂きありがとうございました」
「うふふ、私もあなたを助けられてよかったですよ」
うわぁ、天使のスマイル。この人に一生ついていきたい。あれ?でもこの人さっきモンスターって言ったよな?
仮にモンスターが動物だとしても、あの森に生き物自体見当たらなかったぞ?
「あの、もう一つ聞いていいですか。あの森に動物っているんですか?・・・俺2、3日森の中で過ごしましたけど生き物らしきものを見かけなかったので・・・」
「え?そこら中にうじゃうじゃいますよ。ここ数日なんてモンスターの動きが嫌に活発でモンスターが村に降りてきてしまう程なんです。死傷者が後を絶たなくて・・・」
「そうなんですか!?」
「うーん。たまたまモンスターエリアから外れた場所を拠点にしていたのかもしれないですね。何しろ幸運ですよ」
ガチャッ
突然ドアが開き、ゲームにでも出てきそうな鎧を着た大男が部屋に入ってきた。
「シスターネア!いつまでそうしてる!さっさと準備して出発するぞ。全く、依頼主は今頃カンカンだ。そんなガキ放っときゃよかったんだ」
「レクサさん・・・ごめんなさい。でも傷ついた方を放ってなどおけないのです」
「うるせぇ!口答えすんじゃねぇ!お前はただのモンスター除けなんだから黙ってついてくりゃいいんだ!早く準備しろ!」
「・・・はい」
バタンッ!
もの凄い勢いでドアを閉めていった大男レクサは随分イライラしている様子だった。女の子ことシスターネアにあんな暴言・・・少しカチンッときた。
「ごめんなさい。驚かれましたよね。今の方はレクサさん、冒険者の方です。昨日あなたを見つけた時、冒険者のレクサさん、ヒーラーの私ともう一人の冒険者さんの三人パーティーで森に探索に行っていたんです。そこで私が無理に引き留めたので・・・怒っても仕方がないと思っています。」
「そうでしたか・・・でも俺は心の底からシスターに感謝していますよ。見捨てないで助けてくれてありがとうございます」
「うふふ、傷ついた人を癒すのが私の仕事ですから。それでは、私は森へ行ってきますね。何かあれば神父様にお伝えください。」
「はい。お気をつけて」
シスターネアはドアの隙間から少し手を振り、小走りに外へ出て行った。レクサとやらが乱暴しないといいけど・・・少し心配だ。だが、あんな大男に勝てる自信もないから俺のブラックリストに書き加えておくだけにしよう・・・。
にしてもうーん、この・・・久しぶりに人と会話した感・・・最高に充実感を感じられるな。
でも、所々違和感というか・・・変な単語多くなかったか?シスターネアといいレクサといい日本人ぽくなかったし・・・。
せめて外の様子を見に行ければいいんだけど。さっきの激痛から察するに数週間・・・いや、下手したら数か月はベッドの上生活が続きそうだ。
話し相手がいなくなって暇になってしまった俺は黄ばんだ天井をボーっと眺める。
「まいったな・・・」
つい弱音がこぼれる。まさかこんなよくわからん土地でこんな大ケガをするとは思わなかったから驚き半分、不安半分かな。唯一の救いはシスターネアが眼福なことだ。マジで可愛かった・・・
「・・・あれ?」
俺はもう一つの違和感にやっと気づいた。
「・・・なんで俺の姿を見ても驚かないんだ?」
ガバッ!
どうしようもなく確認したくなって痛みを堪えて起き上がった。ぐぅ・・・!と悲痛な声が漏れる。
鏡・・・!鏡を探さないと!!
シスターネアもレクサも外国人だけど普通の人間だった。でも川で見た自分はハッキリ見えない水面でさえわかるくらい明らかに人外だった。
ドテッ!
焦ってベッドから降りようとしたら手を滑らせた。うぉおお・・・・いってぇ・・・・!!
痛みで一瞬意識が飛びそうになったが、気合で持ち
起き上がりながら周囲を見回すとベッドから少し離れたところにあるテーブルの上にボロい置き鏡があるのが見え、
やっと
「・・・!」
それはまさに普通の人間の顔だった。
「よかっ・・・」
安心したからか体の力が抜け、ズルズルと地面にへたり込む。
もう一度手に持ってる鏡を覗く。
確かに人間の顔だ。だが、元の俺の顔じゃない。
けど
「・・・誰だぁお前ぇ~(笑)」
知らない顔をした俺のほっぺをつつきながら自問自答する。なんか人間で嬉しかったから別人でもあまり気にならない。それくらいこの前は凹んだ。だってキモかったもん。
あのときはかなり疲れてたんだ・・・疲れすぎてバケモノの幻覚を見たんだ。
「ふぁ・・・・・寝よう」
この不安だらけの状況で多少の安心を得た俺は唐突な眠気に襲われた。
動くのでさえしんどい体でよくここまで来れたもんだ全く。
俺はまた
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