横恋慕は洒落にならないマッチポンプを呼ぶ3

(一体何なんだ。〝とんち〟か? そうのか?)

 今朝登校した時には框が手袋をしっかり身に付けているところを見た。今現在も制服姿で下校そのまま軒下家へ行ったのだからまだ持っているはずだ。手が冷えるなら自分の手袋を使えばいいだけの話で、結局何が正解だったかは今もってわからない。

(しかも俺の手袋返してくれない。ならせめて使えってんだよな)

 帰途を進む道すがら框が「手が冷たい。あんたも寒いでしょ」としきりに聞いて来てくるので、塀二は曖昧な返事しかできずにいる。

「とりあえず夕ごはんと朝ごはんは仕込んで行くから、ちゃんと食べなさいよ」

「ん、おう……」

 釈然としない気持ちが晴れないまま家が近づいて来て、塀二の注意は框から逸れた。

「嘘だろ」

 室倉家の方向に感じる濃厚な気配。これは依霊のものだ。前回の狼と違って害意は無い。だからといって安心はできない。

「うん? どうしたの?」

 隣で足を止めて小首を傾げる框に様子を窺われ、塀二は弱り顔をする。

「ついてくるな、って言ってもお前はどうせ聞かないんだろうな」

『悪いことは言わぬ。く遠くへ離れよ』

 珍しく闇渡と一致した意見をぶつけると、框は口を開け察した風にフンフン頷きつつ先を歩き出した。

「また嫌なことが起きてるんだ? だったら急がないとだね」

 危険があると知って躊躇ためらうどころか框は早足になった。予想できていたことなので塀二も驚かずにその横を付いていく。

「お前、この間あんな酷い目に遭ったのに全然怖気づかないのな」

「今危ない目に遭ってるのはノーニャたちなんでしょ」

「お前は自分が一般人だってことを忘れてないか?」

「なに? 一般人は心配もするなっての? そんな〝自分は特別〟みたいな痛々しいこと思ってないでしょうね」

「ここで大引先輩の悪口は要らないだろ」

 框がどう理解していようと妖部は特別だ。そして依霊は妖部以上の、完全に振り切った化物と言える。だからこそ危険だと言うのに怯むどころかどんどん加速していく。

 塀二も競って急ぎ、体当たりで室倉家の門を押し開けた時には息が切れていた。

「お前は何もしなくていいから俺に任せとけ。前回と違って今度のは敵じゃない」

「そんなに弱いんだ」

「そういうことじゃねえよ! いやお前ホントに余計なこと言うなよ?」

 緊張しながら我が家に上がり込むという不思議な体験をすると、問題の気配の主は居間でくつろいでいた。

 見た目は十才程度の少年が炬燵に足を入れ行儀よく背筋を伸ばして座っている。帰ってきたふたりにいかにも「今気が付いた」という風に顔を向け、色の薄い金の毛先を揺らした。

「やあ、お邪魔していますよ」

 外見には不似合いなくらいに落ち着いた口調。それはそうだ。人間ではない。

 すかさず塀二は両掌を開いて見せ、室倉家に伝わる降伏の姿勢を取った。手の内を晒し道具を握り込んでいないことを示す。

「ようこそ、裏方の最前線へ。……けど来るなら事前に連絡をください。こう何度も結界を素通りされたら室倉一族の面目が立たない」

「それはいけませんね。術士は自信過剰なくらいであるべきと聞いたことがあります」

 ニコニコと微笑んでいるのを見て、とりあえずやはり敵意は無いと確信していいのかを迷う。

 塀二が逡巡する間にさっさと結論を出したらしい框がいつものトーンで前へ出た。

「またガイジンだ。なに、地球守り関係の子? お菓子食べる? うち今洋菓子はないんだけど、しょっぱいのより甘いやつがいいよね」

「馬鹿お前! 失礼なこと言うな!」

 完全な子供扱いに塀二は顔を青くした。どうか笑顔が崩れてくれるなと祈る。

「いえいえお構いなく。用事が済めばすぐに出ますので。……お嬢さん、あなたとは一度電話でお話をしましたね?」

 言われてもピンと来ない框が眉を寄せるのを見て、少年は立ち上がり恭しく一礼した。その姿勢のまま顔だけを上げ、笑みを強める。

「地球守り所属依霊、信憑しんぴょう懇情こんじょうの化身――サンタクロースと申します」

「え? あー、電話で天気予報してきた……? 吹雪ふぶきはしたけど嵐なんて来なかったんだけど。それにサンタクロースって、まだ時期早いでしょ。赤くないし、子供だし、トナカイいないし」

 自分のペースを崩さない框を塀二はハラハラしながら見守った。もし逆鱗に触れるようならなんとしても守る覚悟はあるが、何分なにぶん相手が悪い。

「お客さんならお茶出すから飲んでいきなさいよ。……それで、あんたたちは何やってんのサ」

 框は呆れ顔で、部屋の隅にいたノーニャと春日居を見やった。どちらも壁にへばりつくようにしてサンタクロースを警戒している。というよりも怯えている。ノーニャは過呼吸を起こし見てわかるほど冷たい汗をかき、春日居は「春日居は大丈夫、必要だから大丈夫」と譫言うわごとのように繰り返している。

 サンタクロースは笑みを苦笑に変え「危害を加えるつもりはありませんよ」と呟き炬燵に戻った。

 彼が温厚な人格だということは塀二も知っていた。しかし気安く接するには依霊は強力過ぎる。圧倒されてしまう。気にならないのは実体を知らない框だけだ。

「あたし早く猫美のとこ行ってあげたいしご飯の支度もしないといけないから、お茶とお菓子出す以外はおもてなしできないけどいい?」

「ああ、頼む。……ノーニャ、春日居さん、悪いけど框を手伝ってやってくれないか」

 框が特に助けを求めていないことはわかっていたが、この窮状から逃がしてやるつもりでそう告げるとふたりとも我先にと慌てて居間を出て行った。

 その様子を見届け、サンタクロースが肩をすくめる。

「おやおや、怖がらせてしまいましたね」

「そりゃ依霊が直接出張でばってくるんじゃ、そうなるでしょうよ。ノーニャは特に、逃亡兵なわけで。……それで、何の用です?」

 気持ちを改め、塀二は炬燵を挟んで腰を下ろし向かいを見つめた。

 サンタクロース。現在は地球守りの日本にある支部に所属。信仰心や親切心を力の源とし、その名の逸話が示す通り家屋侵入などはお手の物。結界を本分とする室倉としては分の悪い相手だ。

「あなたのほうこそ何か悩みがあるのでは? 室倉は不健康が常と聞きますが、それにしても顔色が良くない」

「すべての悩み事は『依霊がここにいること』に負けますよ」

「いや失礼。話を聞きたがるのは前職の癖でしてね」

 意思エネルギーの集合である依霊にはその基盤となるものがある。サンタクロースの場合はそれが人間で、生前――と呼ぶのも超常の存在では妙な話だが、かつて人間だった時には神父見習いだったという。大昔にバイキングの襲撃を受けて殺され、その後依霊として目覚めたと室倉家に伝わる資料に載っていた。

「では本題に、と言いたいところですが、ここへ来て用件が増えてしまいました」

 茶を運んで来た框が卓に湯呑みを置くと、サンタクロースはおもむろにその手を握った。ぎょっとする顔をどこか含むものを感じさせる笑顔で見つめる。

「あなた、地球守りに参加しませんか? 実は今大変な人手不足で困っているんです」

 スカウト。これだけ瘴気を放っていれば闇渡が取り憑いていることも知られて当然だ。戦闘に特化した妖魔を瀕死の地球守りが戦力として期待するのも頷ける。

「……それだけは勘弁してください」

 塀二はすぐさま炬燵から足を抜き、敷布に手を付いて頭を下げた。

「こいつは巻き込まれただけなんです。うちに出入りはしているけど、いつかは普通の人間の生活に戻してやらないといけない。それを諦めるようなら俺は室倉を名乗れない。……頼みます」

 体を起こした塀二は懇願の言葉とは裏腹な構えを取った。緩く握った手を前へ倒し左右を上下にずらす。手の内を隠し多段の準備があることを表した、室倉家の戦闘姿勢、宣戦布告だ。

「これはまた、大した覚悟です」

 サンタクロースは目を細めたまま口元からのみ笑みを消した。途端に部屋の温度が下がったような錯覚を起こす。

「依霊に戦意を示せばどうなるか、わかっていますよね? 現にあなたは依霊を二柱、既に倒している。洒落では済みません」

 もちろんわかっているから塀二の膝は震え、構えているだけで呼吸は乱れた。サンタクロースにはなんの緊張も無い。

 その間にいる框は向かい合うふたりを見比べ、嘆息した。

「なんか知らないけど――初対面で女の子の手を気安く握るな」

 言うなりサンタクロースの頭にゴツンとゲンコツを落とした。瞬間、框の顔が歪む。

「――いった! かった! 何この子? 岩?」

 実体化するほどの濃度を持つ依霊は、強力であるほど物理的にも硬度を増す。素手で殴れば痛めるのは当然のことだ。加減していたから大したことにはなっていないだろうと見切りをつけ、塀二は框を労わらずに正面を注視したままにする。

 依霊に殴りかかったのだ。粛正されてもおかしくない。

「いやはやなるほど。これはまた守り甲斐のある人ですね」

 サンタクロースは後ろへ手を付いて、やはり笑った。温厚というのが相当なレベルで真実だったと、安心していいのかどうかは判断がつかない。

「お前って奴は……! 無茶するなってあれほど……!」

 塀二は驚きで胸を撫で心臓が動いているのを確かめずにはいられなかった。框の足元からの情けない悲鳴は聞かなかったことに決める。

 框は悪びれず腕組みでフンと鼻息を吹いた。

「急に手なんか握られて嫌だったんだからしょうがないでしょ。あんたこそ怒りなさいよ! あたしあんたがこういう時何も言わなかったらすごく腹立つんだけど」

「お前の手の諸事情で俺が何を言うんだよ」

「だってあたしはあんたのものなんでしょ? なのに勝手なことさせるなっつーの」

 滝箕祢が乗り込んで来た際に「闇渡が取り憑く框は室倉の管理下にある」と主張したことを言っているのだろうが、それを言うなら室倉は地球守りの管理下にある。サンタクロースが框を好きに扱ったとして文句は言えない。

「あのなあ、俺はお前を守る為に戦おうとしてたんだぞ?」

「あんた変なポーズしてただけじゃないの」

「『変なポーズ』って……これは室倉うちの伝統だぞ! ――ああ、わかったよ。じゃあこうすりゃいいんだろ!」

 命懸けで望んでいるというのにあんまりな物言いをされ、いい加減に塀二は苛立った。身を乗り出し框の手を取るとぐっと引き寄せ、サンタクロースを見下ろす。

「こいつ俺のなんで! 構わないでもらえますか!」

 どうだこれで満足かと抱いた肩を離すと、間近にある框の顔は真っ赤に染まっていた。ギョッとするうちにその場でヘナヘナと座り込んでしまう。

「……今夜猫美のうちに行くの惜しくなってきたかも」

 なに言ってんだこいつは、と塀二が思っている間に台所から恐る恐るやって来た春日居が框を脇から抱えて連れて行った。

 よくわからないがこれでまともな会話に戻れる。

 ふたりきりになった居間で、サンタクロースは満足そうに頷いた

「そういうことなら勧誘は諦めることにします。彼女は地球守りの為には戦わなくても、あなたの為になら戦うのでしょう。それだけで充分ですから」

 そのセリフは聞き捨てならない。

「室倉は後方支援どころか備品管理の裏方ですよ。それを矢面に引きずり出すつもりですか。地球守りはそれほど切羽詰まっているとでも?」

 皮肉が皮肉にならないことは、言ってから気付いた。サンタクロースはあっさりと肯定する。

「とっくのとうに致命的危機ですよ。この国でも四妖よんようの内、赤月八あかがつはち日陰菱木田ひかげひしきだのふたつを失っている時点で分かり切っていることじゃないですか」

 日本国内の四大妖部、その半分は現在襲撃を受けて以後行方を掴めていない。

「……『失った』かどうかはまだハッキリしてないはずですが」

「いっそそのほうがいいと思っていますよ。特に日陰菱木田の能力は地球意思マザーとは遠い無関係なところにありますから、裏切っている可能性のほうが高い。蔵を守る為に土地を離れられない都合が無ければ室倉も滝箕祢同様使い倒したいところです」

「……そろそろ本題に入りましょうよ」

 単なる現状確認の会話がじれったく感じる。蔵の妖魔や呪具を完全に掌握したことで、その気になれば蔵を移せることも知られたくはない。

「依霊様がわざわざここへ来るような事情があるんでしょう? 『とっくのとうに致命的危機』な状況が変わるような」

 おそらく悪いニュースだ。予感はサンタクロースが茶を飲んで間を取っている間に確信へと変わった。

「今この家に滞在しているノーニャ・ツィーグラフダフ。彼女が所属していた支部が壊滅したことは聞いていますね?」

 自爆命令を無視して自分ひとり生き残ったので逃亡した。そう聞いている。もしノーニャを連れて行くことが目的なら反抗したいところではあるが、滝箕祢に語った時よりも現在は理由付けが難しくなっている。

 しかし事態は塀二の確信よりも絶望的だった。

「実はここしばらくの期間に他の支部も次々と潰されています。地球守り離反者の仕業としか感がられない」

「……冗談だろ」

 つい敬語を失念してしまう。

 そのことは指摘せず、サンタクロースは長く首を振った。

「現状機能を維持しているのは最早この国の〝オトギ〟だけです。〝マザーグース〟〝アンデルセン〟〝ジャータカ〟〝イソップ〟〝アルフライラワライラ〟。ほとんどの支部を徹底的に叩かれました」

 地球守りの支部というものは室倉やノーニャのような妖部だけでなく、主には依霊によって構成されているものだ。

「……弱った依霊が自然消滅した、とかではなく?」

「世界規模で同時にというのは不自然です。地球守りを離反した依霊の仕業でしょう」

「待てよ。そういやバートは? あんたらコンビなんじゃないのか」

 達観と喜戯の化身、バート。チムチムチェリーと言えば誰もが知る、多面性の中では煙突掃除屋の印象が強いキャラクターの名前だ。その名を持つ依霊がサンタクロースと行動を共にしているはずだった。しかし今ここにはひとりしかいない。

「死にましたよ」

 人間よりも強靭な妖部よりも、更に遥かに強力な依霊。塀二はペストや狼を倒したとはいえ、どちらも切り札が無ければどうにもならなかった強敵だ。それが支部単位で消えている。思わず身震いが起きる。

 サンタクロースは続ける。

「おわかりですか? 地球守りは既に風前の灯火です。何があったかはわかりませんが、反・地球守りは勢力を増しています。追手として滝箕祢を出してはいますが、現在これも連絡が途絶えています。彼は根っから風来坊の性質がある点を踏まえても、もしかすると――という考えも捨てきれません」

 滝箕祢が裏切りを疑われている。塀二は緊張で乾いた唇を舌で潤し唾を飲んだ。

「……滝箕祢が地球守りを潰して回ってるって? そんなことはありえない。そんな目的があるなら光烏をうちに置いて行ったりしてない。どちらかと言うと奪われることを危険視したんだと思う」

 初代室倉が大妖を二振りの刀に封じたと言われるうちのひとつ、光烏ひかりがらすはあらゆる無形を切り裂いて霧散させる。風も火も、意思エネルギーもだ。依霊に対してはこれ以上ない対抗手段となる。元はかつて国を滅ぼしかけた大妖魔を封印した形だというから、もしそのつもりならば抜いたまま放置して封印を脅かせばそれで済む。

光烏ひかりがらす無しじゃいくら滝箕祢でも依霊を束でやっつけるなんて不可能だ」

 知った顔が疑われ粛正されてしまうのは忍びない。そう思って出た言葉が藪を突いて蛇を出すことになった。

「では室倉なら可能ですか?」

「それは……!」

 否定はできない。あらゆる切り札を抱え込んだ室倉ならば、時間と備えさえあれば依霊の束もなんとかできる。

「――いや不可能だ! 室倉は――俺は蔵を離れられない。世界中の地球守り支部を潰して回るなんて無理だ!」

「大仕掛けの術や呪具があれば長距離移動も一瞬でできるのでは?」

「……そうだな。大地の龍脈を人の気脈と連結すれば方法は――いや無い無い無い!」

 誘い言葉に乗って真剣に考え始め、我に返り慌てて首を振り必死に否定する。

「あんな巨大なエネルギー流に晒されたら人間なんて一瞬でズタズタになる。妖部だって生身なんだから同じだ」

「緩和できる呪具があるのでは?」

「もう勘弁してくれ!」

 しつこい追及に、塀二は根を上げて天を仰いだ。

「無理だって! もし瞬間移動ができたら俺だって修学旅行参加してるって!」

「修学旅行というと、意思エネルギーが豊富な歴史的拠点を巡る……?」

「回収とか細工とか、なんも企んでねえからな? うちを反逆者に仕立て上げるのやめてくれよ! 確かにさっきちょっと反抗しちゃったけども!」

 抗議を続けるうちに涙目になった塀二を見てサンタクロースはカラカラと笑った。

「そうですね。その気があるなら問答無用で始めていますよね」

「……お互いに」

 笑みが動かなかったので冗談として伝わったと理解し、やっと肩の力を抜くことができた。改めて炬燵へ足を入れる。

「それで、地球守りがピンチだっていう情報を伝えに来たんですか?」

「ええ。それと裏切りを防止する為に釘を刺し来たのは本当です。ですがあなたはどうやらそれどころではないようだ」

 苦笑を返すしかない。

「あなたが室倉の家業の他、人生も豊かなものにしようとしているのは聞いています。術士の力は想いの強さ。ならば人との関わり合いは多く持った方がいい。あなたは歴代室倉最強の術士になれるかもしれない」

「……自惚うぬぼれは術士の素養。そう思って真に受けることにしますよ」

「願わくばその意志が、地球意思と共にあることを望みます。どう伝わっているかはわかりませんが、私はあなたのことを結構気に入っているんですよ」

 数度会っただけの依霊に言われて、くすぐられたような気になる。

「とは言え室倉は戦士ではない。そこはわきまえて、できるだけあなたが矢面に立つことが無いようにしたいですね」

 サンタクロースが腰を上げたので玄関まで見送りに出ると、框が台所から顔を出した。まだ少し顔が赤い。

「手土産も無くて申し訳ない。それでは、聖夜にまた会いましょう。……良い子にしていたらね」

 伝説通りでもないくせにそんな冗談で微笑んで、サンタクロースは戸を開けた先でフッと姿を消した。

 塀二がほっと息を吐くと、隣で框が顎に手を当て唇を歪める。

「あたし、なんかあの子……嫌だな」

 恐るべき超常の存在に馴染み過ぎている框が、今更そんなことを言うのはなんだかおかしかった。

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