第4話 飛翔編3 「俺は、俺の現実を生きる」
「……全てに滅びを…!」
Claudがようやく磔から解放され、堕ちていこうとしている最中、
彼は、最初からマサムネを左腕一つで振り抜いていたまま静止していたかのようだった。
この小さな世界は、紅き亡びの災厄の炎に包まれる。
「クククク……!」彼は、最初からそこに何もいなかったかの様に、一瞥さえ無く前方に背を向け、マサムネを逆手に持ち収めた。
そして、彼はただ眼を閉じ、天を仰ぐばかりであった。
いずれ天より来たる救いの「死者」を、待ち望んでいるかのように。
「時は、満ちた。 今、迎えに行くよ。」
***
傷だらけのClaudは真っ白な世界で、淡い緑色の光に包まれていた。
「お前の分まで生きようと、そう、決めたんだけどな…」
彼は、倒れたまま動けない体を確認すらせず、バスターソードの感覚しか確認できず、そっと眼を閉じ「なら、生きてみせろよ」
「Zaaxusか…俺もいよいよ終わった、か
「こおぉら〜ぁ何言ってるのチョコボ頭!」
「ぐっ」
背後から絶妙な力加減で放たれた地味に痛い右ストレートを受け、Claudは僅かに呻く。
世界は、いつしか半回転し、彼らは白い空間で立っていた。
「さて、何の冗談だ?Sep〜sのくだらない幻覚とやらか?」
「ハハハッ、もう大丈夫そうだな。」
そっけない態度と裏腹に軽い口が叩かれる。
「時間がないから一言。俺たちは、英雄だろ?」
Claudは碧き海に堕ちて行かんとする自分をはっきりと、確かに自覚する。
彼は、静かすぎる優しい流れの中、か細く確かなる螺旋を描く風に乗り、激しく浮上した。
「…興味ないね……!」
彼が感じた事は、厳密に何だったかは考えれば考えるほど分からない。だから、考えなくても構わない。
大切な事は、「そこに何があったか」なのだから。
彼の傷は今や完全に癒え、彼の手には「蒼き英雄の剣」が握られている。
「………力を借りる‼︎」
そして、彼はSep〜sの背後から舞い上がる!
***
「…ッ‼︎」
「彼」は背後から舞い上がりし粉々に砕いたはずの人形を振り返る。
彼は決して認めないだろうし、彼に問うものはその前に撫で斬りにされるだろうが、
ニヴルヘイム魔光炉で「母」を感じている最中だというのに、背後から刺されそのまま地殻に落下し、あの人形ごときに負わされた傷を癒す為に時間をかけた事実は最大の屈辱である。
故に、奇しくも同じ轍、今度は立場が逆でもあるが
同じ目にあうことを許容できるはずもない。
「…Sep〜s!決着をつける‼︎」
「図に乗るな……‼︎ お前は、人形だ。 永遠に時を消し去ろう…。」
彼は真の力を解放し、黒き片翼を広げた。
そして、最期の戦いが始まった。
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