第2話 飛翔編 1「彼に勝つには何が必要か?」

以下、彼とClaudは私の思い出の中の存在であり、他のものと物理的な繋がりは存在しないことを断っておきます。



飛翔編開始


前話により、片翼の天使のスペックと技の傾向が洗い出された。以下にまとめる。



「速度重視の連撃剣士、長大なるマサムネブレードの遠心力を支配して相手の全てを切り刻み、滅ぼす。」


「技が始動してからは遠心力がそのままカタナに宿っていることから、その剣閃は凄まじく早い。」


という事が分かった。


そして、前話の最後に相手の技の性質について示唆も行った。

「遠心力を支配して振り回し続けるが故に、刀を振るエネルギー供給が道中の遠心力をリサイクルする事でまかなっているため、振り回し始めにはエネルギーを自前で調達する必要がある」

「上記の理由から、エネルギー調達に時間がかかるならばその分だけ時間が発生する。少なくともなんらかのコストは払わなければならない」


今回は、上記から発展して考察を行い、

実際に彼と戦い、勝つことを想定した「倒すための手段」について考察する。




イマジナリーシミュレーション開始

空間設定「地上、退廃都市広場 天井は無限遠」

***

TAKE1


「セ○○○ス、思い出の中で、ね


「切る!」マサムネ構え


「え、ちょま


ざしゅしゅしゅ!!「消え去れ!!」


***



ダメだね、カッコつけていいのはファーストソルジャーだけだ。「無駄な会話を戦闘中にしてはいけない」

とはこういう事でもあるね

それ以前にテメェが勝てる訳ない、話す以前の問題だ? すみません。


さて、それはさておきさっきの技は彼の代名詞である神速の8連撃だね。

非常に速い。速すぎる。全く見えなかったし、八回振った音がしてなかった。音速軽く超えてるね。

そして地上で戦うイメージでやったのに、全く地面に刀が当たってなかった。やっぱり得物の空中制動は万全だね。



とりあえず情報整理できたからつぎは少し強めに自キャラを設定してみる。


イマジナリーシミュレーション開始

空間設定「退廃都市広場 天井は無限遠」

自キャラ設定「常人の3倍の能力、武器は日本の戦国時代基準の日本刀。」


ーとりあえず、今回は最初から集中するとする。

***

TAKE2


…(中段に正眼の構え)


「恐れるな…」マサムネを体ごと流れるように翻す


(来る!回避は…)


しゅんしゅんしゅん!!


「イヤーっ!?アガガグゥッ!」


***


うん、頑張ったんだよ?最後のは悲鳴じゃないんだよ?剣道式シャウトってやつだよ?

「避けれない速度だから攻撃防ぐしかなかったから受けるために技を放とうとした」

全部思い出でしかないし、願望であり嫌な思い出だ。

んで、このザマだよ。


無理、受けれない!そもそも音速以上の太刀を常人の3倍()ごときの力で受けようと思うことが間違いだった。

一撃すら捌けずこのザマだよ。

そもそも斬撃飛ばすってなに?いみわかんないもう




ーいや、音速を超える太刀筋ならなんとかできるのか?というか、そもそもそれについて考えなければいけなかったな。切り替えよう。


とりあえず、前提が

「音速で風を切る太刀筋」

「太刀に内包されたエネルギーを自在に操れる」

とする。

これが複合されると、風を切る、という過程に変化が現れうる。

何故なら、風を切るものは太刀であるためだ。そのままの意味だね。


そして、「風をどう切るかの過程」が変化するとなにが起きるか?

これを(無残な)結果から、「斬撃のエネルギーが乗った衝撃波を生む」と推察する。


では、衝撃波はどうやって生まれるか?風が切られることは分かったが、ちゃんとそのエネルギーが前に飛ぶ原因は何か?

この根拠が、彼が最初に「マサムネを巻き上げるように体ごと回転した」ことの中にあると私は考える。

この時、彼はマサムネをどう扱ったか?最初に巻き上げた。


衝撃波は、風を切るだけでは発生できない。

厳密には風を切るだけだとその周囲の空気が切られた方向に裂けるため、周りに風が荒れ狂うことになるだけである。

このとき、風を切る要因になったものの周辺は空気が押し出されたために、いわゆる真空状態が発生する。


真空状態が発生した。ここにポイントがあると考える。真空の状態で音などは伝わらない。伝える媒体としての空気がないからだ。だが、凄まじい速さで伝達されうるものが一つある。

空気である。

ただ、単純な事実だ。空気が無くなったから、それを補うために空気が流れ込む。



技の動作に戻るが、彼は、

「剣閃としての衝撃波を放った、だけのように見えて、

実は最初に巻き上げる段階で一度空気を切り裂いて、その後マサムネを空気が切り裂かれた分の空間に振り抜いた」

という二段構えの技を一段に見せて放っていた。と言える。

更には、剣閃が数度飛んでいる。つまりはそういうことだ。一回振ったようにみえて、実は何回も振りました、という事だ。

だが、疑問に思うことがある。

どのようにあの長大なるマサムネを折り返して振り回すというのか?

全くわからないし、先程の試行でも分からなかった。


ここは、推察のために既成事実をやむなく受け入れるとする。

彼の納刀姿勢が逆手にマサムネを流れるように持ちかえて切っ先を上向きにする、という事実をだ。


先程は戦闘(にさえならなかった)であったため分からないのは仕方ない。見ることが出来なかったから尚更だ。

つまり、逆手に持ち替えたり入れ替えたりを駆使して幾度も斬り返している、と仮定する。故に、地面に当たることがなく振り回す事が実現されている。


なんたる凄まじき技の冴え!これが業前(ワザマエ)というものか。



だが、そうであるが故に、この技の対象にされたら うっ、頭が…





休憩は終わったので次の段階に入る。

とりあえず、「倒すための手段」と言ってもぶっちゃけて全く分からないから、いきなりシミュレーションしてみたが、

とりあえず、相手の技前が更にヤバすぎる事だけはわかった。この地球人類には、よく知られている人達に限定しているけれど、絶対に勝てないね。

俺が弱すぎるだけ?やめてくれよ…()



クックックッ、ファンタジーにはファンタジーだなぁ?(真黒目)

あぁもういいわーせっかくイマジナリーでシミュレーションしてるんだし。めちゃくちゃやってやるよもう



空間設定「星内部 終点 1km球状ステージ 900m四方以降に奈落あり、天井100m上にあり。」


キャラクター「Claud」

*なお、周囲に巻き起こる烈風は一部無視するものとする。

彼のマサムネは、右手持ちとする。



…俺は、俺の現実を生きる。

イマジナリーシミュレーション開始

***


TAKE3


「Sep〜s。ここで決着をつけてやる。」脱力した正眼の構えで相手を注視!バスターソードが正式な正眼の構えより右斜めになっており、袈裟斬りがすぐにでもできる構えだ!


「ククッ…… 許しを請う姿を見せてくれ。」マサムネを両手で上段に、カタナの切っ先が相手に向き、刃が右斜め上に向くようにして、左足を先に、右足を後ろになるように構える。

いつでも、相手に突撃できる構え。だが、彼はすぐに動かない。



…そして、しばらくの時と錯覚するほどのほんの僅かな時間が流れた。


時間が動き始める!!



先手を取ったのは彼。マサムネによる「飛ぶ斬撃」だ!

「舞え…」

一段で技を放っているような、二段構えによる神速の剣閃光だ!ほぼ真上にマサムネを跳ね上げ、そのまま僅かに正中線をずれながらほぼ同じ軌道に「1度」振るう!


Claudはそれを見るが速いか、左側に僅かに動き、右上水平45度程に振るったバスターソードで斬撃を受け流す! 凄まじい圧力だ。万全な体制でも迂闊に何発も受けることが出来ない!

だが、二発分に打ち勝ち、左にブレるように動いた上でその勢いのまま真前に弾丸突撃!

Claudのフィニッシュブローの一つの、

剣の刃を上向きにぶっ刺した上で弾丸突撃の勢いを乗せて跳び上がり引き裂く無慈悲なる技だ!


対して彼は、何事か技を放ったまま動かない!このまま決着がつくというのか?


「…ッ!」


「クク…恐れるな。」墓標めいて突き立つべく襲い来るバスターソードに、マサムネを凶刃の下側から刃が左水平20度上向きに向くように差し込み、次第に角度が45度程に変化するよう、ぞっとするほど優しく突き、添える。

Claudは技の結末をいち速く察知するや否や、バスターソードの持ち方を刃と背が逆になるように入れ替え、そのまま左上からの袈裟懸けに刃と刃が静止しているが如く振るう!

否!止められているのだ!


ーそのまま力は一瞬拮抗したかに思われ、

Claudは左斜め上、水平から30度程横に吹き飛んだ。

「ぐうっ…!」



次回に続く。

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