第1章ー7 親

「あとは俺だけか…」


「チェルノ!俺がまだ戦える!!」


「あぁすまねェー晃孝あきたか…加勢を頼む…」


チェルノボグと晃孝で最後の子供のケートスを倒そうとしていた。


「こいつもこいつで弱点が見つからねェ…なにか策があるかチェルノ?」


「犬だから正面が見えねェらしい…ただそれだけでどう倒せばいいか分からない…」


「くそ!!あと1体なのに…」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスが吠えて氷柱を飛ばしてくる。


「うぉぉい!!あぶねーこの攻撃厄介だなー!!」


「晃孝!あとマシンガンの様なもの飛んでくるからな!!」


「はぁ!?死ぬぞ!!てか胴体鯨なら海の中入ってろよ!!」

「海の中……そうか!!分かったチェルノ!!ひらめいたぞ!!」


「どうした何がひらめいたんだ!?」


「海に沈めちゃおう!」


「はぁ!?何言ってんだよ……そうか!!」


「そうだ!今の海は火の海!!火の海なら氷属性っぽいこいつに火が聞くはずだ!!」


「よし!その作戦のった!!」


晃孝とチェルノボグはエキドナの子供が海から出てきた時に変わった火の海を利用してケートスを倒すようだ。


「でもどうする?どうやってケートスを火の海に沈めるんだ晃孝!!」


「それなんだが…お前が棍棒で火の海までかっ飛ばすってのはどうだ!?」


チェルノボグは晃孝の作戦を口をあんぐり開けてバカみたいな顔をして聞いていた。


「....................はぁ!?そんなん無理に決まってるだろうが!!こんな重そうなやつどうやってかっ飛ばせばいいんだよ!!お前無茶言ってんじゃねェーぞ!!」


「お前だってでかいだろうが!!握力使え!!木偶の坊!!」


「さらっと傷つくこと言ってんじゃねェー!!誰が使えないって!?」


そんなやり取りを見ていたケートスが2人に向けて水のマシンガンを発射させた。話に夢中だった2人は気づかず直撃した。


「ぐはぁ!!痛てェなんだよこの水鉄砲!!」


「遊んでるからだ!!違う作戦はねェーのかよ!!」


「ねェーよ!!これしかねェーよ!!あとは諦めて死ぬしかねェーよ!!」


「それだけはやだな!!」


「あと1回美味しいものを食べたかった…」


「死ぬ気満々じゃねェーかよ!!まだなんかあるだろ!!」


「お前に俺が言えることは…」


「なんだよ」


「俺はお前に負けてる…だから信じてる」


「ふっ…これしかねェーんだよな。よし行くぞ!」


チェルノボグは棍棒を持ってケートスに向かって真ん中で真っ直ぐに走り出した。


「チェルノ!!俺が囮になって火の海まで誘導するからそしたら殺れ!!」


「了解」


晃孝はケートスの正面ではない少し右の場所に立ちケートスの気を引いた。ケートスは晃孝に気づき晃孝を追い始める。


「きたきたきたきた!!このまま火の海まで行ってドボンだ!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスは逃げている晃孝に無数の氷柱を飛ばしていく。それを晃孝は右左に避けようとするが上手く避けることができず当たってしまう。


「ぐぁぁ、くそ!もっと近づかないと…」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスは大木の様な水鉄砲を晃孝に向けて打ち込む。


「あぁーやばいやばいやばいやばい!!」


大木の様な水鉄砲は晃孝に直撃した。


「っ............................」


晃孝は食らって動かなくなってしまう。

ケートスはまた水鉄砲を打つ準備をし始める。晃孝は目を覚ましケートスを見る。


「くそ…動かねェ…ここまでか…いやだめだ!!まだ遠い!!もっと近づかないと…」


ケートスは大木の様な水鉄砲をまた晃孝に向けて打ち込んだ。


「くそ!!動け!動け!動け!動けェェーーーー!!!」


間一髪晃孝は寝返りの様に体をくるりとさせ水鉄砲を避けることができた。


「くそ!!体が動かない…行かないと…行かないと…俺が海まで…」


晃孝は立つことが出来なかったが必死の思いで倒れたまま手だけで前にゆっくり進んだ。


「動け…動け…まだ足りない…まだ…まだまだ…俺が囮に…火の海を…」


晃孝は手を何度も何度も使い前に進んでいく。


「目指して…あいつを…倒すため…礼羽を…助けるため…」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスが晃孝に向けて氷柱を何個もうち放った。晃孝は勿論避けることができず直撃してしまう。当たって煙が舞うがその中から晃孝はまだ手を止めず前へ前へ進んでいた。


「こんな攻撃じゃ…俺はくたばらねェ…あと少しあと少し…」


「あいつ大丈夫かよ…」


チェルノボグはボロボロな晃孝を見て心配していたが自分の役割も相当なものだったので願うことしか出来なかった。


晃孝の体は段々と熱くなってきた。それは晃孝が火の海へ近づいてきた目印になった。


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスはまだまだ晃孝に氷柱を狙って当てる。だが晃孝は何回やられても手を休めることはなかった。そして何回か氷柱の攻撃があったが晃孝はついに火の海の目の前の所まで来ていた。


「ついた…ついに…つい…」

晃孝はたまらず倒れてしまった。


「よし!晃孝上出来だ!!あとは俺に任せろ!!」


ケートスは動かない晃孝に最後の攻撃で無数の氷柱を打ち込んだ。晃孝は気を失っていて避けることは出来ない。


「晃孝は充分に働いた!もうこの戦いから降りたんだよ!!」


チェルノボグは晃孝が倒れている前に立って飛んでくる氷柱を全て棍棒で叩き割った。


「こいつにはもう攻撃は当てねェー!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

とケートスは吠えて今度はチェルノボグに向けてさっきよりも量を増やして氷柱を飛ばした。


「だから効かないっていってるだろ!!」


チェルノボグは棍棒を振り回し少林寺拳法の様に体を動かしまた氷柱を全て割った。


「もうお前は追い込まれてることを知らねェーのか!?あとは俺がお前をかっ飛ばしてしまいなんだよ!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスはチェルノボグに向かって猛スピードで突進してくる。ケートスは自分がやられる前にチェルノボグを落とそうとしているようだ。

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ


「くそ!!落とされたら終わりだ…来いよ!!受け止めてやる!!」


ズドン、両者がぶつかり合い物凄い突風が吹いた。チェルノボグはケートスの突進を両手で受け止めた。だが突進の威力はとても強くチェルノボグは段々と後ろへと押されていってしまう。


「クッソ!!馬鹿力が!!このままだとやばい!!俺が落とされる…」


どんどん火の海まで押されていってしまう。チェルノボグは改めて足を踏ん張る。足を踏ん張った痕は物凄い掘られていた。


「くそ!!くそ!!くそ!!押される!!負ける…いや…このままお前を投げ飛ばしてやる!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスが吠えて氷柱を飛ばす。チェルノボグは両手がふさがれていて氷柱に直撃してしまう。


「ぐあぁぁぁぁぁ」


チェルノボグの手が離れかかるが両手を後ろから前へと張り手の様に引き戻した。


「いくぞ!!うおォォォォォォォォォォ!!」


ケートスは突進の威力が弱まって来てそのままチェルノボグに持ち上がられる。チェルノボグはその持ち上げたケートスをしっかり掴む。


「よし!落ちろよ!!ケートスもうこれで勝負は終わりだよ!」


チェルノボグは持ち上げたケートスを火の海の方へ投げ飛ばした。そしてチェルノボグはその場からジャンプして火の海のケートスの上へときた。チェルノボグは棍棒を握りしめてグルグル回転しながら勢いを付けそのままケートスを棍棒でかっ飛ばした。そしてその反動でチェルノボグは陸の方へと戻る。


「いけェェェェェー!!!!!」


ケートスは火の海へと落ちた。


「やった……やったぁ…ケートスを倒した…」


エキドナの隣で捕まっていた礼羽れいはが喜んだ。


「やったか…?やったのか…」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


チェルノボグはケートスの様子を伺う。しかし、火の海が泡を噴き始める。そしてケートスはそのまま何事も無かったように火の海からあがってくる。


「くっ………だめか…くそ!!くそ!!」


「うそ…どうして?倒せたと思ったのに」

礼羽は火の海から上がってきたケートスを見て驚く。


「フゥーふっふっふっふっふっフゥーふっふっふっふっふっ、なんて学習能力がないのォォォォォォ!!ケートスちゃんの氷は溶けないのよぉ?火で溶けると思ったのかしらァァァ!?はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ、絶望ね」


「そうか…こいつにとっては普通の海ってことか…だがもう俺の勝ちだな!」


「何故ぇぇぇ!?何故なのよォォォォォ!?これからどう倒すっていうのぉぉぉ?ハッタリはやめなさいよぉぉぉぉぉ!?はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」


「ハッタリだと思って見てればいいさ…来い鯨野郎!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスはまたチェルノボグへと向けて突進してくる。


「ケートスちゃん!!あの大男を火の海へと落としなさぁぁぁぁい!!はぁはぁ」


「もうその突進にもなれたんだよ!!俺は異世界人だからな!!」


ケートスは突進してきたがチェルノボグはそれを両手で受け止めた。


「本当にこれで最後だからなしぶてェェー鯨が!!」


チェルノボグはケートスをまた火の海の上へと投げ飛ばした。そして棍棒を握りしめながらケートスの真上までさっきよりもより高く飛んだ。


「ほらほら!!見せて見ろ最後の足掻きになるぞ!!お前の最大火力今なら俺に当たるぞ!!」


ケートスは震え始めまた怒り始めた。そしてケートスは真ん中に氷の粒を集め始める。


「さっきよりも強いの頼むぜ!?最後の最後で弱っちいのとかきたら笑うぜェ!?」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスは震えを強くしてもっともっとさっきよりも大きい氷の塊を作り出した。


「よし!こい!これが最終決戦だァァァ!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスは大きい氷の塊をチェルノボグめがけて飛ばす。その勢いはこれまでとは比べものにならないくらい速かった。チェルノボグはその飛んできた氷の塊を両手で受け止めた。


「なんだこの威力!!くそ!!だがもう何回も喰らってるんだ!!こんなんで俺が負けるかァァァ!!」


チェルノボグはその氷の塊の威力を弱めた。


「おい!蛇女!!ケートスの氷は解けないんだよなぁ!?こいつに火の海は効かないがこいつは海からすぐ出てきた!!てことはこいつは犬の方で呼吸をしてる!!こいつは水の中じゃ息は出来ない!!」


「まさかァァァァァァァァァ、はぁはぁはぁはぁ、そこからどきなさい!ケートスちゃァァァん!!」


「氷の塊を使って敵を踏み潰して沈める!!晃孝の作戦がここでも使えるとはなァ!!沈めェェェェェェェェェェーーーー!!」


チェルノボグはその氷の塊をそのままケートスめがけて押し返す。ケートスは避けようとするがあまりにも氷の塊がでかく避けることは出来なかった。


「いけェェェェェェ!!!!!追い撃ちだァァァ!!」


チェルノボグは追い撃ちとしてぶつかった氷の塊の上から押してそのまま海へとケートスを沈める。ケートスはそのまま火の海へと沈められた。チェルノボグは氷の塊の上に立って様子を伺う。


「この作戦は上手くいったな!!」


海から泡が沢山出てくる。そして氷の塊が揺れ始める。


「おいおいおいおい!!まじかまじか!まだ生きてんのか!?」


チェルノボグは氷の塊の上から改めて押し返す。次第にその泡と揺れはおさまった。


「よし!勝った!!勝った!!勝った!!」


チェルノボグは火の海に浮かんだ氷の塊の上で勝利を喜んだ。


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ、許さないィィィィィィィィ許さないィィィィィィィィ子供達ィィィィィィィィ」


「くそ…そうだな…まだ残ってたよ1人だがもう限界だ…」


晃孝達はエキドナの子供を全て倒し今エキドナとの最終決戦が幕を開ける。


「ああァァァァァァァァ、はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」


エキドナは目が白くなっていき黒の部分が無くなるところまでいっていた。


「晃孝…大丈夫かい?」


気を失っている晃孝に声をかけたのはボロボロなベリトだ。


「あ、あぁすまん…大丈夫だ」


ベリトは晃孝に手を貸し立たせる。


「お前ら無事か!今からあの蛇女倒すぞ!!」


チェルノボグは2人に気づき2人に近づいた。


「ああ!チェルノ!やっとあいつを倒せる!!礼羽は返してもらうぞ!!」


「もう許さないィィィィあなた達は全員皆殺しよォォォォォォォォォォォォォォ!!!」


エキドナは下半身がどんどん膨らんでいってエキドナとても苦しみ始める。そして蛇の部分が下半身から上半身へと増えていく。そしてエキドナはとてつもないでかい大蛇へと姿を変えていた。


「全員皆殺しよォォォォォォォォォォ、はぁはぁはぁはぁはぁはぁ、しゃァァァァァァァァ!!」


「馬鹿でけェェ蛇女だァァァァァァァァ!!」


晃孝は驚いて腰を抜かした。

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