第1章―6 大作戦

チェルノボグは棍棒を持ちケートスに対抗するにはどうすれば良いか必死に考えていた。


「この硬ェ皮膚を崩すにはどうすればいいんだ!!しかもこいつの氷溶けねェーな」


さっきから飛ばしている氷柱はあちこちに散らばっている。


「フゥーふっふっふっふっふっフゥーふっふっふっふっふっ、そうよそうよそうよそうよぉぉぉぉこの氷は溶けないのぉぉぉぉ要するに天才よぉぉぉぉぉぉ」


「くそ!!邪魔でしょうがねェー!!」


ケートスはまたチェルノボグを狙い、でかい大木の様な大きさの水鉄砲をポンプの様にケートスの犬の口から吐き出してくる。しかも何気にスピードと威力が高そうだ。


「は!?でかすぎんだろ!!避け切れねェー!!」


スピードに慌てながらもやっとの思いで避けるチェルノボグ。


「おいおいおいおい!!まじかよ!!」


狙って打たれた水鉄砲はチェルノボグの後ろの景色をまっさらに変えた。少し盛り上がっていた地面さえも真っ平らにするぐらいの強さだった。


「でも今ので氷ほぼ無くなったな…動きやすくなった!覚悟しろよぉ!!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスが咆哮を上げる。その咆哮は今にも吹き飛ばされそうなくらいでかい咆哮だった。犬の頭部は、疲れているチェルノボグめがけて氷柱を休ませないよう飛ばしてくる。

チェルノボグは1本1本を棍棒で叩き割り進む。


「お前の攻撃パターンは読めたんだよ!!もう終わりだ!!」


チェルノボグはついにケートスのすぐ目の前まで来ていた。チェルノボグはケートスの頭部めがけて飛び上がる。それを見たケートスはチェルノボグめがけて水のショットガンを出す。チェルノボグには全て命中した。


「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!痛てェーけどここで引いたらもうチャンス回ってこねェー!!さっきは胴体に打ち込んだが犬の頭は固くねェーだろ!!」


チェルノボグは血まみれになりながら棍棒をケートスの頭部めがけて振り落とした。ケートスはそのままその衝撃を受け地面に潰れた。だがすぐにケートスはその場に起き上がった。


「くそぉタフだな…やる気失せたぜぇ…」


攻撃が効かないことに戦意喪失した。


「でも今の攻撃で分かったぞ。こいつは完全遠距離で戦う敵だ。こいつの近くに行ったら完全に動きが鈍くなったからな」

「後ろにまわって一気に詰めよれば絶対に勝てる!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスは吠えている。

だがチェルノボグは走りながらケートスの後ろへと回り込もうとして横に行く。だがその瞬間からケートスの攻撃ラッシュが始まった。それはさっきの水鉄砲の細いバージョンを的確にチェルノボグの場所へと打ち込んで来るのだ。


「くそ!!何でだ!!さっきより勢いがました!!こいつも焦ってるてことかよ」


完全に必勝法を見つけたと思うがなかなか正確に打ち込んで来るので全く自分の思っている様な行動が出来ない。それまで必死に避けていたチェルノボグだったがケートスは避ける先までにも攻撃をしてきてチェルノボグに直撃してしまう。


「な、何でだ…あぁくそ!!必勝法が間違っているのか…」


ボロボロになりながらも必死に立ち上がる。

それを見かねたあいが遠くの岩陰に隠れていたが出てくる。


「危ねェーだろ!!出てくるな!!」


「わかった事があるの!!この怪物は犬の性質と一緒よ!!私ペットに犬を飼っているけど、この怪物も犬と同じ性質を持っているわ!!」


「なんだ!!早く教えてくれ!!」


「犬は……」

その時ケートスの飛ばした氷柱によって愛は吹き飛ばされた。


「な……おい!!大丈夫か!!!!」


吹き飛ばされた愛を助けに行くチェルノボグ。だがケートスはそうはさせなかった。

大木のような水鉄砲をチェルノボグに向けて放った。愛に気を取られていたチェルノボグは反応が遅れ避けることが出来なかった。全てが吹き飛んだ。だがチェルノボグは地面に付くことが無く血まみれのまま服もボロボロになりながら立っていた。


「死ねないんだよなぁ…俺は…こんなんじゃ死ぬことも許されねェーんだよ!生かされておいて死んで活躍出来ねェーんじゃカッコ悪いだろ…俺はこんなんで倒れることは許されてねェーんだよ!!」

「俺の仲間に何したんだ!?俺とお前で戦ってただろ?許さねェーからな…覚悟しろよぉ!!!」


「犬………犬は……………」

吹き飛ばされた愛が倒れながらもやっとの思いで声を出す。


「おい!!大丈夫か!なんだ犬がなんだ!!」


「犬は……正面は見えない………だけど見える範囲は大きいの…鼻が邪魔でね…鼻がものすごくいいだけだから」


愛は苦しくて言葉が上手くまとめる事が出来なかった。だがチェルノボグはしっかりとそれを理解した。


「そういうことか……ありがとよ。やっと必勝法にまとめがついたぜ!つまり、犬の目は人間と違い、横までしっかり見えてるのか…正面はこのデカイ鼻が邪魔してるって訳だな。だから目の前に行った時は鼻の嗅覚だけで俺を感じていて鈍くなったのか、それなら早いスピードで目の前から一気に後ろにまわらないと負けだって…あぁーーー!!!もう考えても始まらねェーー!!」


チェルノボグはボロボロになりながらケートスの元へと走り出す。その間チェルノボグはケートスの真正面を走っていく。だがケートスは鼻で場所を確認し氷柱で狙ってくる。


「よっ!やっぱり鈍いな!完全に必勝法通りだ!!そのまま沈めよ!!」


チェルノボグは氷柱を避け、また真正面に立ちを繰り返しながらケートスの目の前に来てそのままの状態で上へと飛び跳ねケートスの真後ろへとまわる。ケートスは獲物が急に後ろに行き匂いを必死に辿る。


「何回でも同じ場所殴ってやらぁぁぁ!!硬ぇなら同じ場所叩いて脆くさせるまでだ!!!!」


後ろからチェルノボグは棍棒で耳と耳の間を叩き続ける。だが皮膚はものすごく硬くケートスはそれを黙って見ているわけでは無かった。ケートスはいきなりかなり強い水しぶきを上げた。噴射された水しぶきは上へと上がりそのまま水ショットガンが降ってくる。ケートスの後ろで攻撃していたチェルノボグはひとたまりもない。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「痛てェー…くそ…」


チェルノボグはもう立つことが出来なかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


チェルノボグがボロボロになって倒れている時晃孝あきたかは何本もの毒針を食らったが立っていた。さっきから頭痛は続いている。だがさっきとは違い声は出る。


「くそぉ……死ぬ…だけど体が勝手に動いてる…頭くそいてェ…」


「どうすればあいつ倒せんだよ…あんな無敵なやつ倒せねェー!!倒せない………………そうか!!倒さなくていいんだ!!」


なにか思いついた晃孝。体は自分が思った通りに勝手に動いてくれている。晃孝は氷柱を持ってヒュドラの方向へと進む。ヒュドラは首を伸ばし晃孝の進撃を阻止する。だが晃孝はそれを全て見切り体が勝手に避ける。


「なんだこの感じ…体が勝手に全て避けてくれてる!!行ける行けるぞ!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉとヒュドラは吠え、また晃孝に向け毒針を飛ばす。

晃孝はそれを全て受ける。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

「ぜってェーーーー!!!倒れねェー!!」


晃孝はそれを全て受け、意識を保ちながらヒュドラの首1本を叩き斬る。


「よっしゃーァァァァァ!!!」


「何を喜んでいるのぉぉぉぉ、はぁはぁはぁはぁ、何も変わらないわ、学習能力皆無なのね、はぁはぁはぁはぁ」


「そうかい、俺は学習能力皆無なんだな!!」


その直後晃孝は斬った首の所に氷柱を刺す。


「刺したままだったら再生もできねェーだろ!!思いっきり刺してやったからな!!!あと8つだ!!!」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーはぁはぁはぁはぁ、なんてことぉぉぉぉぉぉ、はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」


「ふ、どうだ俺はガリ勉だったろ」

「とはいえあと8つも首がある。体力がもう持たねぇ…今の状態でも人間としておかしいのに…全く奇跡って凄いぜ…でも氷柱が無くなったからチェルノのとこいってみるか…」


晃孝はチェルノボグの方へと走って向かう。ヒュドラもそれを追いかけるようについて行く。


「おーーいチェルノ!!」


晃孝は手を振りながらチェルノボグへの元へと走ってくる。チェルノボグはボロボロになり倒れていた。


「なんだ……………っておい!!!!!!!」


「どうした?」


「どうした?じゃねェェェェ!!!!!後ろから要らねェもんついてきてんだよ!!!」


チェルノボグは晃孝の後ろをついてくるヒュドラを見て後ろへとケートスを無視して一目散へ体を起こし逃げ始める。ケートスもそれを見て追いかける。晃孝はそんな逃げているチェルノボグに追いついた。2人で2体の怪物に追いかけられている。


「なに怪物しれっと連れてきてんだァァ!!」


「そっちも相当の怪物なんだろ!?」


「何で俺が逃げなきゃ行けないんだよ!!!俺はもう体動かねェーんだよ!!」


「嘘つけ!!こんな必死に逃げてんじゃねェーか!!俺だって死んでもおかしくねェー体だよ!!」


後ろから来るヒュドラとケートスの攻撃を2人で飛び上がりながら避けて逃げる。


「で、どうしたんだよ!!!何でこっちきたんだよ!!」


「お前の所の氷が必要なんだよ!!」


「少ねェーけどさっきの場所に転がってんぞ!!」


「分かった!!俺はそれでこの勝負勝てる!!」

「お前も絶対に勝てよ!!チェルノ!!」


「あぁ負けねェーよ!」


そう言い合って晃孝は右へチェルノは左へと別れた。


「今はあの氷を集めるんだ!!」


晃孝はケートスが飛ばした氷柱の所まで逃げながら戻る。そしてその氷柱を持ちヒュドラへと向かっていく。ヒュドラは全ての首をムチのようにして晃孝を狙ってくる。晃孝はそれを避け、氷柱で真ん中以外の首を斬り落とし氷柱を刺していく。


「どんどん弱体化してるんじゃねェーか!?ヒュドラお前に俺は勝つ!!」

「最後は真ん中のその首だ!!最後の楽しみに取っておいたんだからな!!」


晃孝は真ん中の首を斬り落とす。そして氷柱を刺す。


「よっしゃァァァァァ!!!この勝負貰ったぞ!」


勝ちを確信した晃孝だった。が、そう上手く行かなかった。斬ったヒュドラの真ん中の首は下に落ちたがそこから体を形成し始めたのだ。


「おいおいおいおい!!どう倒すんだよ!!こんなんチート級じゃねェーかよ!!こいつらがボスじゃないのが不思議だよ!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

と吠え続けている。完全に怒っているようだ。


「フゥーふっふっふっふっふっフゥーふっふっふっふっふっ、倒せないのよぉぉぉ、はぁはぁ、どう?いま困ってる?不快になってる?はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ、最高…最高よぉぉぉぉぉぉぉ」


「くそ!!どうすれば…何も思いつかねェ……」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ヒュドラは体が形成されていたが1つの首を除いて後の八つの首は再生されていなかった。


「本当に不死身なのはあの真ん中の首だけみてぇだな」


ヒュドラは、ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉとまた吠え始め次第に体が紫色になっていく。


「フゥーふっふっふっふっふっフゥーふっふっふっふっふっ…はぁはぁはぁはぁ、ついに怒らせたようねぇ~」


「こいつ怒ってんのか…くそ!!強くなるんだろどうせ!!」


「はぁはぁはぁはぁ、強さは変わらないわ」


「エェェーー!!変わんねェーのかよ!!もっと何かあるだろ!!」

「でも強さが変わんねェーんじゃまだ勝てる!!何かを絞り出せる!!さっきからそこの岩の上で観察してる奴を早く引きずり下ろしてやりたいぜ!!」

晃孝はなぜか体が軽かった。しかしそれは自分の思いどうりには動かない言わばオートなのだ。


「今は逃げて観察だ!きっと何か勝利への道が開かれる!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ヒュドラが逃げて行く晃孝を追いかけていく。ヒュドラは残り1本の首を晃孝の後ろから狙っていく。だが覚醒している晃孝にはそんなへぼっちい攻撃は全く無意味だった。


「いつもの俺じゃないみたいだ!」

「こんな攻撃全てよけれるぞ!!後はこいつを倒す方法だけ!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ヒュドラの方も負けじと口から毒針を飛ばす。それを晃孝は知っていたかのように飛んで逃げるがヒュドラの首が襲いかかる。


「くそ!!そんな簡単にはいかないか…くそ!!もうあとが無い!この状態もいつまで続くか分からないし…」

「どうすれば…よく周りを見て今の状況を整理しろ!!」


そして晃孝は周りを隅々まで見渡し始めた。

「まず大沼、手頃な石が沼近くにある、そして建物…あぁなんにも勝てそうなもんがねェーよ!!」


ヒュドラの攻撃は止まず晃孝を追い詰めていった。そしてついに晃孝は沼の所まで追い詰められてしまった。


「くそ!!いつの間にか沼の所まで!!もう逃げられねェ…」


コロン…晃孝の足で何かに触れた。


「小さな氷の塊…」


それはチェルノボグとケートスが戦っている時の氷だった。


「小さな氷…小さい…………………………」

「そうか!!分かったぞ!!これならヒュドラを倒せるかもしれない!!」

「ケートスの氷は溶けないんだよな…なら小さな氷じゃなくて大きな氷でこいつの首斬ったあとを押し潰せば復活しないんじゃないか!!」


「はぁはぁはぁはぁ、何を言ってるのぉぉぉぉそんなこと出来るわけ無いでしょぉぉぉ」


「やるさ!!やってやるさ絶対に!!礼羽を助けるためなら!」


「なぜ、なぜなのぉぉぉぉなぜあなたはこの女に固執するのぉぉぉ」


「困ってる奴がいたら助けてやる!!なぜなら俺は人助けが大好きだから!礼羽を助けるって約束したから!!」


「私の大好きなヒュドラちゃぁぁん!!返り討ちにしぢゃぁぁぁいなさぁぁぁい!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ケートスはさっきよりも強く殺気を強くしていた。


「くそ!!こいつに勝つにはケートスの氷が沢山必要だ!!早くチェルノのとこ行かないとな!!」


ヒュドラは勢いよく晃孝を追いかけていく。

ヒュドラは晃孝の後ろから突進した。


ぐはぁぁぁぁ、「くそ…いてェ…」


晃孝は耐えられなくなり倒れる。

「クソぉぉぉぉぉぉ」

「なんだよ!!さっきまでは何だったんだよ!!くそ!!くそ!!くそぉぉ」


「はぁはぁはぁはぁ、もう限界みたいねぇ、

はぁはぁ、でもよく戦った方だわぁぁぁ」


晃孝は悔しくて地面をボロボロになりながら何回も何回も叩く。


「立たなきゃ…立たなきゃ…」


「もう無理よぉぉぉぉぉぉぉ、はぁはぁはぁはぁ、立てるわけないわよぉぉぉ」


「立てなくなったって…何があったて…助けてやる…」


「ヒュドラちゃぁぁぁぁん!!とどめさしなさぁぁぁい!!」


ヒュドラは晃孝を足でプレスした。

その時エキドナの所で気絶していた礼羽れいはが目を覚ました。


「うぅぅ…これは…えっ……」


礼羽が見た光景は非常に酷い地獄の様なものだった。奥ではケートスとチェルノボグが血まみれになりながら戦っていた。左ではベリトがボロボロになりながらケルベロスを倒していた。そして右のすぐ近くでは晃孝がヒュドラに踏みつけられていた。愛や了もボロボロになっていた。


「えっ……なんで……みんな…」


「はぁはぁはぁはぁ、目が覚めたのねぇぇぇぇぇ、フゥーふっふっふっふっふっ、あなたを助けるためにあの子達は死ぬのよぉぉぉ」


そんなの嫌だ…そう思った。みんながボロボロになりながら戦っているのに自分は何もすることが出来ない。


「私は何も出来ない…役立たずだ…私に出来ること…」


礼羽は必死に自分のやれることを探した。


「このままじゃ…晃孝が死んじゃう…私に出来ることは…」

「みんなの勝利を願うこと…絶対に勝てるって信じること!!みんなを応援すること!!!」


ボロボロになった仲間に向けて礼羽は叫んだ。


「負けるなぁぁ!!みんな!!負けるなぁ!私を!!助けて下さい!!」


「礼…羽…あいつ目を覚ましたのか…この上にあるのは足か…カッコ悪いなぁ俺は……」

「あいつが助けてって言ったんだ…だったら…死んでも助けるだろ!!」


晃孝はヒュドラの足を持ち上げ始めた。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ヒュドラは負けじと足で踏み潰そうとするが晃孝は前の覚醒状態に戻っていた。


「あいつは礼羽か…起きたのか…俺もこんなケートス相手に手こずってる場合じゃねェ!」

「助けてってよく言えたじゃねェーか!!」


ケートスは氷柱をたくさん飛ばしてくる。

チェルノボグは棍棒を握りしめて全ての氷柱を物凄い速さで叩き割っていく。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!いいか!!鯨野郎!!俺にさっきの攻撃は全て効かねェーぞ!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ


「仲間のためなら俺だって強くなる!!」


チェルノボグはさっきとは違う力を出していた。


「晃孝!!大丈夫か!」


晃孝にそう声をかけたのはベリトだった。


「あぁぁ!!もう倒れねェ!!あいつが助けてって言ったからな!」


「このドラゴン倒す方法は分かってるのかい?」


「あぁやってみたいことはある」


晃孝はベリトに倒す方法を全て話した。


「そういう感じか…じゃあチェルノの助けが必要なんだね…分かった俺がチェルノを呼んでくる!」


「あぁ頼んだ。俺はこいつに精一杯のようだ!!」


ベリトは戦闘で消耗していたので物凄いスピードは出せなかったがチェルノボグの所へ急いで向かった。


「晃孝…目が違かったな…覚醒か…僕も役割を果たさないと」


チェルノボグはケートスと攻防戦になっていた。


「おりゃァ!!喰らわねェーんだよ!!氷柱何て砕いて砕いて出てこなくさせてやる!!」


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ


ケートスも段々消耗してきたようだ。


「喰らわねェーって言ってんだよ鯨やろう!!もう終わりかよ!!」


その時ケートスの目が真っ赤に充血し始め背中の穴から熱そうな煙を何回も噴き出し始めた。


「お怒りか!?」


ケートスは震え始め上を向き震え始めた。

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

段々と小さな氷の粒が真ん中に集まっていく。どんどんと集まって最後にはどでかい氷の塊へと粒は進化していた。


「おいおいおい!!こんなでかくなるなんて聞いてねェーぞ!!」


ケートスはそれを勢いよく飛ばしてくる。


「くそ!!速い!!よけれねェ!!」


どでかい氷の塊はチェルノボグへとぶつかった。ぶつかったチェルノボグは吹き飛ばされた。


「くそ!!結構飛ばされたなぁ…まだこんな力を隠し持ってたなんて…」


その時後ろから声が聞こえた。


「チェルノ!!」


「え!?お前はベリトじゃねェーか!どうした?」


ベリトは来たわけを全て話した。


「おぉ丁度どでかい氷を見たところだ…よしじゃあこのままこの鯨連れてぐぞ!!」


チェルノボグは急いで晃孝の方へ向かった。それにケートスも獲物が逃げたと思い追いかける。


「はぁはぁはぁはぁ、あの子達ぃぃ何を考えているのよぉぉぉぉぉぉぉ」


「チェルノ!!僕はもう体が限界だ…この辺で僕は退場するよ….」


「あぁ分かった…お前もお疲れ様だ!」


ベリトは今までの疲労が一気にきたのか近くに倒れる。


「晃孝!!きてやったぞ!!」


「おぉぉ助かった!!これでヒュドラをぶっ倒せる!!」

「どうすればでかい氷だせるんだ!?」


「あぁそれなら心配ない…今、こいつのどでかい氷喰らったんだから」


「おぉありがてぇ!!じゃああとはヒュドラの首を斬れば!!」


晃孝はヒュドラ向かって走っていく。

チェルノボグはケートスを煽り始める。


「鯨やろぉ!!お前のどでかい攻撃も全然効かねェーな!!もっとでかく出来ないのかよ!?全く弱いやつは心も弱いんだなぁぁ」


ケートスはまた震え始め蒸気を噴き始める。

そしてまた真ん中に氷のつぶてが集まっていく。


「よし!こっちは準備万端だぞ!!」


晃孝はヒュドラの首を避けながらヒュドラの目の前まで近づいた。


「もう首の攻撃は効かねぇーよ!!」


ヒュドラは悪あがきで口から無数もの毒針を吐き出す。晃孝はそれに直撃した。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!こんな攻撃!!!!」


晃孝は毒針が刺さったまま首を斬る。

その間にケートスの氷もさっきのどでかい氷よりもどでかいものになっていた。そしてそのどでかい氷はチェルノボグめがけて発射されていた。


「きたきたきた!!」


発射されたどでかい氷はチェルノボグめがけて飛んでいくチェルノボグはその氷を両手で受け止めた。


「くそぉ重ぇ…どこ飛ばすんだ!?」


「チェルノ!!こっちに飛ばせェェ!!」


「いくぞぉぉ」


チェルノボグは首が無くなったヒュドラめがけてどでかい氷を反らせてやった。


「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」


チェルノボグと晃孝で声を合わせて希望のどでかい氷を見る。


「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ、まさかまさかァァァ!!やめて!!やめて!!やめてェェェェ!!!!!私の大好きなヒュドラちゃぁぁぁぁん!!」


どでかい氷はヒュドラの首をつぶした。ヒュドラはまた体を再生させようとする。


「どうだ!!もう再生できないだろ!!」


ヒュドラの首は再生しようとするがどでかい氷が邪魔で再生が止まってしまう。


「再生…しないな…」


「よし!よし!よし!勝ったぁぁぁぁ!!!」


晃孝は礼羽に向けてVサインをしてニッコリ笑う。


「やった!晃孝が勝った!」


「はぁはぁはぁはぁ、何故なのよ何故なのぉぉぉ、あとはケートスちゃぁぁぁぁん!!」


「鯨倒したあとはお前だからな!!蛇女!!」


ヒュドラと晃孝の闘いは晃孝が勝利をおさめた。

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