第1章ー4 真っ赤な湖

電車の中で晃孝あきたかはまた頭痛に苦しんでいた。何度も何度も酒場のオヤジがフラッシュバックしてきてしまうのだ。


「何なんだよ何なんだよ!!痛てぇぇぇ」


そして違う場面もフラッシュバックしてきた。それは暗くてよくわからないが一瞬血が見えた気がした。でもそれは晃孝は見覚えが無かった。


電車は礼羽 れいはの出身の群馬県に着いた。全員無言で駅を出て礼羽の後をついて外まででた。

初めに声を発したのは晃孝だった。


「よし!!着いた!!礼羽すぐ向かおう!!


「晃孝…大丈夫?」

心配している礼羽が声をかける。


「今は悲しんでいられない!おっちゃんのためにも今は逃げて逃げて逃げてやろうぜ!!」


ニッコリと笑いgoodサインをする。

ただ強がっているだけだ。


「みんなに説明しておかなければならないことがあるの。」


そう言ったのは礼羽だ。これはとても重要な事だと伝えた。


「私は追いかけられているの…でも何故私は追いかけられてるのかは分からないの。おばあちゃんには逃げなさいとしか言われてないから…」


場面は変わり礼羽が酒場に行く3日前の事だ。礼羽は群馬の学校から帰ってきた。


「ただいま!おばあちゃん!」


「けえってきたのかい礼羽。少し話したい事があるからちょっといいかい?」


祖母は上州弁が入って少しなまっている。

礼羽の祖母はいつもと違うトーンで言ったので礼羽は大事な話ということがわかった。


「礼羽。今すぐ東京に行きなさい。」


「おばあちゃん急に何で?」


「行きなさいと言うより逃げなさいだね。

前に言ったよねうちは狙われてると、その理由はまだ教えることは出来ないことも。」


「分かったよおばあちゃん。でも私1人で大丈夫かな?」


「世話ねぇだいじょぶさ」


そしてその30分後には礼羽は支度をして家をでた。

ピロン…携帯にメッセージがきた。

それは親友の飯島愛いいじまあいからだった。メッセージの内容はこうだ。


「来週の日曜日遊べない?遊べたら連絡ちょうだい!」


来週までに帰って来れるだろうと思い、

「多分遊べると思うよ」と送った。

そして急いで駅に向かい東京へと向かった。


これを礼羽は晃孝たちに全て話した。


「礼羽にも追いかけられる理由が分からなかったんだな」


「でもこれじゃあどうすればいいか分からないよ晃孝!!俺は今日加わって、今まだ心が慣れていないんだ。」


「どうすればいいかは礼羽の家に行って見ればいいと思う。」


そうして晃孝はバスに乗り礼羽の家まで向かった。そしてようやく礼羽の家に着いた。礼羽が家の門を開け他のみんなも中へ入っていく。


「おばあちゃん!いる?」


礼羽が大きな声で呼んだ。そうしたら奥からゆっくりと出てきた。


「たくさんお客さんがいるね!上がって上がって」


「こんばんは!!礼羽のおばあちゃん!!俺は前田晃孝だ!!」


少し礼儀がなってないようだ。


「こういう時はしっかりとした言葉で自己紹介をするのが礼儀だよ晃孝!!こんばんは!ベリトと申します。お世話になります。」

ぺこりとお辞儀をして丁寧に挨拶をするベリト


「おぉチェルノボグだ!!そしてこっちのは高坂 了(りょう)だ!」


1歩前に出て自分の番だと思った矢先、自分の挨拶をされ了はびっくりして


「えぇ何で俺の名前言ったの!?挨拶させろよ!!!あぁよろしくお願いします。」


そんな感じで自己紹介をすました途端どこからかグゥーという鳴き声が聞こえてきた。


「聞こえたか晃孝!なんか獣の声がした…」

ベリトの顔が急に強ばった。


「あぁやばいなベリト確かに鳴き声が聞こえたよ……………………」

「…………俺のお腹だ…」


晃孝は笑って頭を掻いた。そしてすぐに礼羽の祖母は、


「夕飯を食べていないのかい?今うんまいご飯作るからね」


そうして礼羽の祖母の家でご飯を食べることとなった。家へと上がり礼羽の祖母は急いで夕飯の準備を始めた。晃孝達は畳の部屋で座布団の上で座ってお茶を飲んでいる。


「なぁー礼羽あいつら俺たちのところまで来るかなー?」


晃孝が心配の声を漏らす。本当はあれほど強い敵を見てしまい動揺を隠せない様子だ。


「たぶんそんなにすぐは分からないと思う。」


「でもいつバレるかは分からないそこの所はちゃんと用心しておこう。」


とベリトは心配しながらも少し気が楽そうな顔をした。

その後すぐに声を出したのは礼羽の祖母だ、夕飯の用意が出来たようだ。


「ほら夕食の準備が出来ましたよ!ほらほらみんな席についてたくさん食べな」


その日の夕食のメニューは白ご飯にお魚の鮭、トントン汁、こんにゃくを使った味噌田楽だった。

美味そうだなと晃孝達は話し、いただきますを言い一斉に食べ始めた。晃孝はご飯を持ち箸で勢いよく食べ始めた。


「そんなにかっこむと喉に詰まっちゃうよ…

まだまだあるからゆっくりと良くかんで食べなさい」


心配しながらもニッコリと笑ってみんなが食べている所を見ていた。そして楽しい夕飯の時間はゆっくりと終わった。そして夕食の後お風呂を済まし完全に暇になる。


「みんな!寝る前になにかして遊ぼうぜ!!」


そう言ったのは了だった。

それに「いいな!」とチェルノボグも賛成する。


「礼羽さんもするよね?晃孝もベリトも」


他の3人を誘う了。

「楽しそうだね!やりたい!」と礼羽も賛成する。

だが…


「悪いみんな…色々とありすぎて少し疲れたみたいだ体が少しだるいんだ…少し調子も悪いんだ…今は遊ぶ気分じゃないんだ…ごめんなもう休んでもいいか?」


そう言ったのは晃孝だ。義理父が殺されたのを見て遊んでられる気分ではないだろう。


そしてベリトもその言葉を聞いて便乗して答える。


「晃孝もかい?あの時は気が張っていたけど今になって疲れたよ…僕も少しだるいくて…僕ももう休むよ…」


「そ、そうかじゃあしょうがない…僕達ももう寝よう」


了もそれに納得し、全員で眠りについた。


そして朝になり皆目を覚ます。晃孝とベリトもすかっり回復した様子だ。


晃孝は祖母に話を聞き始める。


「なー礼羽のおばあちゃん!なんで礼羽は誰かに追われてるんだ?」


「それは本当は私にも分からないんだよ…分かってるふうに話をしていたけど私はなんにも教えて貰っていないんだよ…」

顔を暗くしてこたえる。


「え?おばあちゃんもなんにも知らなかったの?なんか知ってるかと思ったのに」


「ごめんよう礼羽…私は私の母が死ぬ時に礼羽は選ばれた子だから狙われたら必ず逃がして欲しい。礼羽が大人になったら地下室へ入る鍵を渡して欲しいと言われてるんだ…そしてその時真実を知り災いを止めてくれと」


「でも俺たちにも礼羽を助けられる事があるかもしれない!なんかできることあるか?おばあちゃん!!」


礼羽のおばあちゃんからただのおばあちゃんに変わったのは晃孝らしい。


「私がしっているのはポラプレスという多重人格を持った人を見つけること、その人は運命を変える助けになる人だと本に書いてあったんだよ。そしてその人も同様に大人になったらその本を読むことになると言っていた。その本はもう地下室においてあって一部だけなんだけどなぁ」


「ポラプレス…何だそいつ、多重人格者ってほんとにいたんだな…実例を初めて聞いたぜ」


マンガみたいな展開に驚きを隠せない晃孝。


「じゃあ礼羽を追っているあの奴らは誰なんだ?」


「あいつらはディアーブル族といってなっから前に異世界からこの世界に来た悪魔なんだ。」


「えぇぇぇぇ!?悪魔!?そんなん嘘だろぉぉマンガじゃあるめぇーし!!大体悪魔ってかなうわけねェーよ!!大体異世界から来たってどうやってだよ!!!」


「群馬には1つの異世界と繋ぐドアが20年に1度開くんだよ、次いつ開くかわ分からないけどね…異世界人はこの世界でひっそりと暮らしてきたが最近は多く面に出てくる異世界人が増えてきたよ」


「じゃあチェルノとベリトは異世界人なのかそれともこの世界の奴なのか?」


ややこしくなり2人に聞く晃孝。


「俺はディアーブル族だ、でももうお前達の仲間だ悪いことはしない!命を拾ってくれたからな」


「僕はね晃孝。シトヤン族なんだ、シトヤン族は普通に異世界に暮らしている一般市民のことをそう言うんだよ。だけど僕はね戦闘力だけはほかの人よりも自信があるんだよ」


「はぁぁぁぁぁぁ!?お前ら二人とも異世界人なのかよ!!!何で黙ってたんだよ!!そりゃそうだよな!二人ともくそ強すぎるもんな!!」


これで晃孝は戦った時背がでかすぎることも戦闘力が人とかけ離れてることも納得することができた。


「晃孝君他にもねさっきいったポラプレス族とサクレ族というものもいる。だがその二つは特殊で1人しか残っていなくてもう族とは呼ぶことが出来ないんだよ。だがその2つは何故か運命にあり必ず出会うことになると言っていたんだ。そしてそのサクレが礼羽なんだ…」


「礼羽がそのサクレ族いやサクレなのか!!!!」


礼羽が異世界人だと聞いてとてもびっくりする晃孝。だがそれと同時に1つの疑問点が浮かぶ。


「じゃあなんでおばあちゃんは家族なのにサクレ族にならないんだ?」


「それは違うんだ晃孝君。サクレ族はね昔に人間と結婚して子供を産んでしまったために3年に1度生んだ子にサクレの血が覚醒遺伝する様になってしまったんだよ。ポラプレス族も同様にね」


「へぇーそうなんだ難しいなぁー」


何とか理解して納得する晃孝。


「おばあ様それは僕も知りませんでした」


「俺もサクレ族とポラプレス族がいるっていうことだけは知ってたけどその話は聞いたこと無かったな」


とベリトとチェルノボグは初めての情報を得る。


「えっ??ちょっと待ってほんとに僕だけついて行けてないんだけど!?異世界人とか悪魔とかほんとに意味わかんないよ!!」


流れについてこれていないのは昨夜加入した了だ。


「了は馬鹿だもんなー俺は分かったぞ!まぁイコール礼羽は大切って事だろそしてそのポラプレスって言う奴もじゃあポラプレスを探しに行こう!おばあちゃんの話だと運命で必ず会うんだろ?じゃあ探せばきっと見つかるさ!」


朝になりおばあちゃんに元気よく行ってきますと言いみんなで急いで家をでた。初めに晃孝達はおばあちゃんが勧めた赤い山の大沼へと向かって人を探すことにした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

大沼へはすぐについた。それには礼羽は赤い山に住んでいて結構田舎の方に住んでいるからだった。大沼はとても広くそこらかしこに山囲まれていた。近くにある神社に訪ねお参りをしながらも多重人格者ポラプレスを探した。


「多重人格者いないな…やっぱり今群馬に住んでるとも限らないから結構きついな、いつ出会うかも分からないなんて…」

ちょっと疲れた様子でこたえる了。


「うん…もうちょっと探してみようかごめんねみんな私のために…」


礼羽は心配そうな顔をしてみんなに頼む。

みんなは全然平気な顔をして「おう!」と返事をした。その返事に礼羽はとても嬉しくニコッと笑いながら


「ありがとう!」と返事をした。


「いやでもみんな少し休憩してからにしよう。」とベリトが話す。ベリトの案に、


「あぁそうだな俺も少し休んだ方がいいと思う」と便乗するチェルノ。


「お前はただ休みたいだけだろ」と笑いながら答える晃孝。


「バレちまったかそうだ少し疲れてそこにあるソフトクリームが食いてーよ」


とバレたから全て自分の思ってることを話したチェルノ。みんなは笑いながら休むことに決めた。


「美味ぇこのチョコレートソフトクリーム」


チェルノはソフトクリームを食べたのは初めてのようだ。


「また休んだら探そう。こうしてる間にも段々と悪魔達(ディアーブル族)は礼羽を探してるんだ。いち早く俺たちも新戦力を見つけないと!」


晃孝は少し怖いのか焦っていた。


その時「あ、礼羽だ!」と声がした。

その声の主は礼羽の親友の飯島愛いいじまあいだった。


「あ、愛ちゃん久しぶりどうしたの?」


「久しぶりじゃないよ!!一週間学校休んで!!心配したんだから!今日日曜日なのに遊ぶ約束覚えてないでしょ!!」


「あ、ごめんすっかり忘れてたごめん…許して」


「全然いいけどそれよりたくさんの男の人と友達なんだねなんか1人凄くでかい人いるけど…」


「うん…そう!今日はこの人達とちょっとね

えっとあっと」


どう説明するか悩んで口がうまく回らない礼羽。


「わかった。なんか隠してるんだね!1週間も学校来なくておかしいと思った!礼羽いっつも戸惑うと私の前だと口回らないもんねー」


「うぅー全部お見通しなんだ…でも愛ちゃんには迷惑はかけられないだから教えられないごめんね」


「何言ってんの!?親友なのに私のこと頼ってよ!この人達より私の方が長い付き合いじゃない!この人達も凄くいい人達に見えて安心したけど私も協力するから!」


「愛ちゃんは私のこととなるともう止められないからなぁ~どうしよう晃孝…」


晃孝に困った様子で助けを求める。


「本当に危ないから人はあまり増やすのはよくないよデメリットしかない!僕は反対だよ」


ベリトは反対のようだ。


「いいんじゃないか?礼羽も友達が1人でもいれば気が楽だろ礼羽が狙われてるから危ないこともないんじゃないかな…」


と軽くいって仲間に入れた。


「わかる人もいるのね!!私も絶対に力になるよ!それで何をすればいいの?」


晃孝は信じて貰えないと思いながら自己紹介と話の全てを話す。


「それはとても信じがたい話ね…礼羽がまさか異世界人とのハーフだったとはじゃあ今はその多重人格者を見つけるっていう事ね協力するわ!」


そうして夕方まで捜索は続いた。


「暗くなってきたな」

とチェルノボグがいった。


「そうだな。今日中に探すのは難しそうだな…」と了もこたえる。


「分かんないもっと探そう!絶対に見つかる運命なひとなんでしょ?」

と諦めず探す愛。


「でももう人もいないよ多重人格者っぽい人も見つからないし今日はもう無理なんじゃないかな…どうする晃孝、礼羽さん」


全く人がいなくなって夕日で煌めいてる中ベリトは言った。


「うん…今日の所は帰ってまた今度探しにどこか回って見よう…そんなに早く見つかる訳ないもんね」

と諦めて礼羽はみんなと引き上げて帰ろうとする。

が突如何者かに礼羽は掴まれてしまった。

きゃあと礼羽は悲鳴をあげた。


「なんだ!大丈夫か!礼羽!!!誰だ!もう追ってに気づかれたのか!?」


晃孝が驚いて振り返る。


そこには下半身が蛇の女が礼羽を掴んで立っていた。


「お前は誰だ!?悪魔か!?悪魔なのか!?」

と動揺する了


「今すぐ礼羽さんを離せ!!」


そうだそうだと他の人も同調する。


「話すわけなかろうが愚かな者達よそうだ私は悪魔だ」

「フゥーふっふっふっふっふっフゥーふっふっふっふっふっ」


フゥーふっふっふっふっふっとねっとりとした笑い方をする。


「早くこの女を殺し血を舐めたいのぉ~はぁはぁはぁはぁ」

「あなた達の血も実に美味しそうな匂いがするわ~血は私と子供同様大好物なのフゥーふっふっふっふっふっ」

はぁはぁはぁはぁとフゥーふっふっふっを繰り返している。


「こいつやばいぞ絶対にやばい絶対に礼羽を取り返さないと!」

焦る晃孝。


「晃孝。僕に任せて!何とかしてみるよ!」

とベリトは答えた。


チェルノボグも「俺も手を貸すといって」戦うことを決意した。


「何やる気なの?なんか凄い不満…怒りをおぼえるわ!フゥーふっふっふっふっふっ。はぁはぁはぁはぁ。」

「いいわじゃあ私の子供達と戦いなさい

うふふふふふふふ私のかわいいかわいい子供たちよ来なさい。はぁはぁはぁはぁ」


そういった途端突如湖の水が湯気を出し始め勢いよく蒸発し始めた。そして一気に火の湖へと急変してしまった。

そこには3匹のこの世の生物とは思えない巨体な者が立っていた。それは9つの首を持った大蛇、3つの首をもった犬、鯨の胴体に犬の頭部をもった3匹の生物だった。


「何なんだこいつらデカすぎる…勝ち目が無さすぎる…」

と絶望する晃孝。同様に了と愛も絶望する。


「何とか僕は1体やれる。だからチェルノも1体引き受けてくれるかい?」

と戦う準備をするベリトとチェルノボグ。


「ほぉうこの子達をみて驚くやつと驚かない奴がいるのねェーフゥーふっふっふっふっふっはぁはぁはぁはぁ」

「ちなみにねぇ蛇の子はヒュドラって言って女の子なのよ。うふふ」

「3つの首の子はケルベロスって言って男の子はぁはぁはぁはぁ」

「鯨の子はケートスと言ってこの子も男の子ぉぉぉぉぉあぁぁぁぁどの子もほんとにかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい」


「こいつ親バカにも程があるぞ!!礼羽を襲いやがって今すぐ助けてやる!!」

怒りをおぼえる晃孝。


「1番弱そうなのに威勢がいいのねぇそういうの興味あるのよぉぉぉぉぉフゥーふっふっふっふっふっ」


「見た目で決めんじゃねェーよ!!」


エキドナめがけて拳を作り走り出した。


「ヒュドラちゃんはぁはぁ相手してあげなさい!!」


ヒュドラが晃孝の目の前に出てきて晃孝は尻尾ではねとばされてしまう。


ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

チェルノボグと戦った時とは全く別次元の痛みを食らって晃孝の意識は吹っ飛びかけた。そしてすぐに晃孝は追い詰められてしまった。

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