【舞台設定】美桜市について

~全体の概要~


 美桜みさくら市……この物語の舞台。地域振興と再開発が併行する、ほどほどの地方都市。百貨店やオフィスビルが林立し再開発の進む都市部と、駅前の商店街の裾野に広がる閑静な住宅街とに大きく分かれている。市内には自然公園や遊園地等のレジャー施設もあり、休日に訪れる家族連れやカップルも多い。各界に著名人を輩出していたり、かつて宇宙開発に力を入れていた名残で巨大な研究施設があったりと学術都市の雰囲気をも湛えている……ものの、これといって目立った名所や名勝があるわけでもなく、都心からの来訪客は少ない。この街を拠点とした巨大コンツェルン、朱鷺山ときやまグループが瓦解してからは特にその傾向が顕著で、近年では都市部への人口流出も問題となっている。



~各施設の設定~


光桜女学院こうおうじょがくいん……三神麻里亜、法条結花、霧崎道流が通う高校。法条暁、鷺宮紗希は本高校のOG。伝統ある名門女子校であり、その威光は遠く離れた都市部にも轟いている。別地域から進学してくる生徒も少なくなく、その人気は学院裏にある絢爛な女子学生寮からも窺い知れよう。世間では高嶺の花の箱入りお嬢様が通う高校として認識されることが多いが、実状はそうでもない。ゴスロリ風の制服が可愛いと評判。偏差値73。


美桜南みさくらみなみ高校……朱鷺山しぐれ、御厨翼、金牛宮が通う高校。市内の学校の中では最低位であり、「名前を書けば誰でも入れる」とは専らの噂。暴力行為、薬物売買、援助交際等で風紀は著しく乱れており、美桜市の悪評を一身に背負っている。偏差値56。


鳳月ほうづき学園/鳳月学園大学……如月葉月が退学し、天城真琴が卒業した高校。規律が重んじられる厳格な女子校である光桜女学院とは対照的に、自由放任な校風の共学校であり、市内の才媛の間では光桜と人気を二分している。進学実績でこそ光桜の後塵を拝しているものの、生徒の自主性を貴ぶ独自のカリキュラムのお陰か各界に名士を輩出。系列の大学も優秀な実績を残していて、連城恭助、鷺宮紗希、六道やよいはそこでの同窓。偏差値68。



桜杜さくらもり自然公園……市内唯一の自然公園。林道に囲まれた中央部には美しい噴水があり、有名なデートスポットでもある。


・美桜市民ホール……市民の四分の一を収容できるとの謳い文句を伴った二つのコンサートホールを擁する、美桜市の公共施設。といっても殆ど使われておらず、税金の無駄との苦情の声が上がっている。遠い昔「伝説のアイドル」が一夜きりのライブを行った場所。


・遊園地……葉月と周がデートした遊園地。Ep.24-1の過去回想は当然葉月のもの。


畔上あぜがみ通信……オフィス街の中でも天を穿つように一際高く聳える高層ビル。成瀬が勤めていた。


・三神麻里亜のマンション……三神麻里亜の住む、お高級なタワーマンション。麻里亜の部屋は二十八階に位置する。何故彼女はこんなマンションに住んでいたのか。交通事故の莫大な賠償金と、叔母である鷺宮紗希の援助……。それだけでは足りないだろう。ことによると、麻里亜本人でも自覚のなかったブルジョワ志向によるものだったのかもしれない。


・霧崎邸……霧崎道流の住む、正に「邸宅」と呼ぶに相応しい古色蒼然とした趣の洋館。地下室には今も、道流によって無惨にも手折られた少女たちの儚き命の断片が眠っている。


・朱鷺山ビル……半ば廃墟と化した複合商業施設。朱鷺山グループの瓦解と共に一つの時代を終え、残骸として取り残された。市民の間では有名な心霊スポット。


・連城探偵事務所……連城恭助の構える私設興信所。建付けは頗る悪い。


・法条弁護士事務所……法条暁の営む弁護士事務所。建付けは頗る良い。


・如月家……如月葉月、皐月が住む二階建ての小綺麗な一軒家。


・展望台、霊園……市の外れに位置する墓地。如月葉月と皐月の母親、如月やよい(旧姓:六道りくどう)が眠っている。小高い丘の中腹に位置し、麓からの道には街を一望できる展望台がある。葉月はその景色を昔から気に入っている。


・美桜市立病院……加賀美アリス、法条結花が入院している病院。周囲を森に囲まれ、宛ら刑務所のような外観である。かつて医師であったときの連城恭助の勤務地。


・警察署……市内の中心部にある警察署。ここ数年にかけて強盗殺人や通り魔事件が頻発し、治安が悪化した影響を受けて警備が強化された。主任は鷺宮紗希。


・電波塔……御厨翼が制圧し、各所にハッキングを仕掛けた電波塔。当然、容易に侵入経路を確保できたのは警備員や管理者に能力を用い、彼らから権限を譲渡されたから。


・美桜宇宙開発センター……郊外の広大な山間部を切り拓いて建設された巨大研究施設。周囲を峻険な山に囲まれ、余所者を拒む雰囲気である。出入り口は東通用口と西通用口の二ヵ所のみで、内部は迷路のように入り組んでいる。両通路の端が合流する回廊の中心部に施設が集中している。開発途中で放置されていた宇宙ロケット、アーベントレーテは今や無辜むこの市民を脅かす弾頭と化した。第二十六節から第四章ラストまでの主な戦いの舞台。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る