第15話 顔
次の日の朝、前の日の反省も踏まえて2人は隣の駅で待ち合わせをした。
少し学校までは遠くなるが人通りが無いため気兼ねなく歩ける。2人は手を繋いで歩いた。
「試験だいじょうぶ?」
「大丈夫じゃない。ゆいは」
「わたしも」
今日は試験の最終日だ、2人は出会ってからろくに勉強していない。
「ひなた頭いいんだよなぁ。いつもわたしより上」
「そうだっけ?」
「うわ、興味なさすぎ」
「ははは、今回はダメ。0点だよ」
「余裕なくせに。いいよ、0点とったらお仕置きだよ」
ひなたは、本当に0点を取って見たくなった。
「明日から休みだね。どうする?」
ひなたは、気持ちが盛り上がってしまいそうだったので、話をかえる。
この学校は、試験が終わってから終業式まで1週間休みになる。その間、何日か登校しなければいけないが、授業などは無い。
「休みだね。ひなた何したい?」
自分で話を振っといて、それでいて“何したい?”と聞かれて真っ先に思い浮かぶのがアレだった。
「すごい!ひなた顔に書いてある!」
「えー。やだよぉ、くっきり出ちゃうよ」
多分本当に書いてあるぐらい顔に出てる。ひなたは、空いてる手で顔を隠した。
「まったく。エロひなた、可愛い」
ひなたは何も言えなくて顔を伏せた。
「ねえ、ひなた。だったらホテルに行って見ない?」
「ホテル?ラブホ?」
「そう。好きな人出来たら一回行って見たかったんだよね」
そういえば、ひなたもホテルは行ったことない。
「って言うことは泊まるの?」
すごく魅力的な提案だけど、親とか諸々ハードルが高い。
「それがね。世の中にはフリータイムって言うのがあるのよ」
「フフフ、何それ?」
ゆいが、急におじさんみたいになって、ひなたは思わず笑ってしまった。ゆいは、構わず続ける。
「泊まった方々がお帰りになられた後、夕方のお盛んな方々が見えられるまでの間、8時間くらい休憩出来るんだよ」
「そんなに長い時間?」
「そう。お風呂もベッドも使いたい放題」
「すごい。楽しそう」
「そう、やりまくりだよ」
「ひどい、何それ」
「やりまくりたいって書いてあるよ?顔に?」
またか、ひなたは落ち込む。落ち込むひなたの頭をゆいはポンポンした。
「明日は、ホテルでやりまくりだけど、今日はまたウチくる?」
「いくいく」
正直今すぐ行きたい。
「オッケー。あ、でも今日少し用事があるから待ってて貰ってもいい?」
「うん。いいよ」
何の用事か気になったけれど、それよりも今は一刻も早くゆいに抱かれたい衝動を抑えるのに必死だった。
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