プロローグ

インターネットで応募して、数日後。

ボクはとある町の怪しい雑居ビルに来ていた。

胡散臭い男に案内されて、小汚いビルの2階に連れてこられた。

「さあさあこちらへ」

「わかった」

部屋に入ると、パイプ椅子に座らされた。

生身のボクは、携帯端末で、いまやもう相棒とも言える関係となったロボットのAIに連絡する。

「イプシロン、一丁目の雑居ビルに来て」

『ハイ、了解デス。今スグ向カイマス』

片言の合成音声が携帯端末から流れる。

10秒後、がしゃんがしゃんという音がして、それは到着した。大きくとられている窓から侵入したようだ。

しかし、見たところ何もない。それはそうだ。透明になって擬態しているのだから。

怪しい案内人は、おどけた口調でこう言う。

「おやおや、オトモダチですか~。悪い子ですねぇ」

「違う。これはボクの武器のひとつだ。勘違いされては困る」

人型対魔道厄災用起動兵装のひとつ、イプシロンである。

これの搭乗者として選ばれて以来、闘い続けていた。イオとまた会うために。

「そうですかぁ・・・・ま、立ち話もなんだし座っていてください。起動兵装さん」

『アリガトウゴザイマス、案内人サン』

普通に会話している。さすがは異世界の会社の人だ。

そして、5分ほどたち、案内人は時計を見て、

「そろそろですね」

とつぶやいたそのとき、部屋の中に光が充満する。

LEDでは絶対にない、やわらかくまぶしい光。浴びたことのない種類の光だ。

そして、光が収まると、知らない部屋にいた。パイプ椅子や案内人などの位置関係は変わらないが、部屋自体はさっきの窮屈な埃まみれの部屋から、イプシロンが暴れまわっても問題ないぐらいの部屋になっていた。

「さあ、実験の概要はいいですね?では、また会いましょう」

前にあった扉から案内人は出て行った。扉は上に閉まり、少し上に浮く感覚が訪れた。

心の中で、(もう会いたくない・・・)とつぶやいた。

どんどん武器を準備していく。

さまざまな最新式の強力火器や武器を磨き、イプシロンに装備させる。

そして、最後の一分で、僕はイプシロンに搭乗、ヘッドセットなどを装着し、最終確認を行う。

残り30秒のアナウンスが入った。

最後に、ディスプレイを確認し、掛け声。


「人型対魔道厄災用起動兵装、TYPE”Εイプシロン”、発進!」


ボクは旅立った。もう戻れない異世界への旅へ・・・

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