Md01「ライヴ開始。そして乱入者」

Side by 総満 叶音


大盛り上がりのライヴ会場で、既に観客はテンションマックス。

隣の旭も楽しそうに叫んでいる。

次に舞台に上がるのは千浦叶音だ。


このイザナミーの海上ステージは、半球上になっており、そのうちの半分くらいがガラス張りになっている。天井から壁に沿うように備え付けられた遮光カーテンで、必要なライティングを確保する仕組みだ。

ステージの後ろにはガラス越しに海が広がっており、射し込む夕陽が、海面と叶音の衣装に当たってキラキラと輝いている。


叶音「みんなー楽しんでるー?次は私が歌うよー!」


大きく手を振りながら、マイクに叫ぶ叶音。

それに呼応して、観客達は歓声を上げた。


総満「これがライブか…楽しいな!」

旭「な?来て良かっただろ?」

総満「だな!」


会場の盛り上がりは最高潮だった。


叶音(綺麗なステージにお客さんのノリも良い!私もまだまだ行けるね!)


ところがそうも行かない。

非日常と言うのは、いつだって唐突なのだ。


「スリー、トゥー、ワンッ!」

「ブリーチングッ!」


甲高い爆発音と吹き飛ぶガラス片。

同時にステージに乱入する三人の無法者イレギュラー


軍服「全員動くなッ!」

白ラン「フハハハハハ!…アイドルか…崇拝されるべき偶像が崇拝されると言うのは」

白ラン「だが、この場所は我々が占拠したッ!」

白ラン「…で、良いんだったか?ガンちゃん君。」

ガン「あぁ、次もそれで頼む。」

何やらノリの軽いテロリストである。


叶音「え?何?水曜日?○ニタリング?」

道化服「悪いけど、今日は土曜だしモニタリングじゃないよ。人質さん」


白ラン「ふははは!ではここはひとつライブバトルと行こうではないか!…で会ってたかな?ガンちゃん君」

ガン「違う、そうじゃない。

……さて、見ればわかるとおりだ。我々は武装している。下手に動けば死ぬぞ。こちらの要求を聞くまではじっとしててもらおうか」

叶音「人質…お客さんは帰してあげられませんか?」

白ラン「逃がすわけがないだろう」

叶音「ライヴでもラップでも受けて立つからさっ☆」アイドルスマイル(¥0)

ガンちゃん「その気持ちはわからなくはないが、政府に喧嘩売るんだ。"不特定多数の市民"ほど、わかりやすい人質はないだろう」

白ラン「ちなみに逃げた奴は靴の中に画鋲を入れてやる!新品のやつだ!」

叶音「なんて恐ろしい事を…」

ガン「レイ、殺せ。嫌がらせはしなくていい。ただ殺せ」

レイ「それもそうだな」


旭「え、なんだコレ?演出?」

総満「...どうしたもんかな?」

総満(聞き取り難いけどいろんな意味でヤバい事言ってるな画鋲とか)


レイ「おっと、自己紹介が遅れた。…日ノ岳レイと言う、お嬢さん。お名前は?」

ガン「自己紹介なんかするなバカ」

叶音「千浦叶音!自分で言うのも悲しいけど大人気バラドルよ!」


市民A「ちくしょう!何なんだコレついていけないぜ!冗談じゃねぇ!俺は逃げるぞ!」

レイ「そぉれ」

市民Aはレイの放った火球で黒焦げだ!


叶音「!ちょっとアンタ何してんの!?」

ガン「これで我々の本気は理解していただけたかな?他に逃げたいものは逃げて構わんぞ。順番に黒焦げにしてやる。」

叶音「ドッキリにも限度ってものが」

レイ「有言実行!僕の好きな言葉だ」


総満「ナ...!?あいつらざけんなよ」

旭「オイオイオイ……冗談だろ……?」


レイ「僕の炎は全てを焼き尽くす!この前は焼き塩に使われたぞ!」

ガン「頼む、少し黙っててくれ。30分で良いから」

レイ「仕方ない…S○GAが新ハードを出すまで黙っていよう」


叶音「…あっちゃーやっぱりそっちレネゲイド絡みかぁ…」

叶音「もっかい聞くけどドッキリじゃないんだよね?」

ガン「我々は威座涛コンツェルンに対して不当な圧力を受けた団体に雇われた傭兵だ。」

ガン「報復活動として、こちらの条件を代表である海神氏が飲むまで拘束させてもらう」

ガンの裏で、無言で火球をお手玉しているレイ。


総満「ウワァ本物だ...どうスッかなぁ?」

総満は旭に対し苦笑いをしてみせた。

旭「冗談じゃない!どうして俺がこんな目に!」

総満「諦めろ。みんな同じ事考えてる」


叶音「あー最悪だ…仕方ないしめんどくさい…」

叶音「こんなのにっ私のアイドル人生潰されてたまるかー!」

叶音はワーディングを展開した。

叶音「私のアイドル力は53万だ!」


ガン「チッ、いるとは思ったがアイドルだとはなっ!」

ガンも応えるようにワーディングを返す。

会場一体に不快感を催す高音が響き渡った。


レイ「…やる気みたいだよ?彼女」

ガン「待て、まずは交渉だ。」

ガン「そこの女、別に俺は殺り合うのは構わん。だが、その場合他の二人が何をするかは保証できん」

レイ「例えば…このお手玉ならぬお火玉を…この中に投げることもできる」

レイ「君の行動次第で生かすことも殺すこともできるってわけさ」

ガン「そういうことだ。大人しくしてくれるとこちらも助かる。」


叶音「それで?大人しくしてたら台無しにしてくれたライヴの保証はしてくれるの?」

ガン「少なくとも人命は保証しよう」

叶音「足りないわね」

ガン「悪いがこちらが一方的に有利札を持っている。足りるか足りないかは君が決めることではない。」

叶音「別に悲劇のヒロイン路線でも私は構わないの」

ガン「やりあうなら付き合うぞ。レイ、そこら辺から一人連れてこい」


叶音(時間稼いでみたものの救援とかは…期待できないよね?)


レイ「そうだな。ど、れ、に…し、よ、う…か…よし、君に決めた!」

レイは総満を引っ張ってくる。

レイ「軽いな君!ご飯ちゃんと食べてるかい!…って返事できないか」

叶音「今度はその子を燃やす気?」

ガン「盾にさせてもらう。」

レイ「うーん、弾除けにもならなそうだ」

ガン「下手に動けば自分の手で殺すことになるぞ」


総満(選ばれたんならせめて...俺だけを犠牲にしてほしいなぁ)


叶音「無抵抗を傷つけるのはアイドル的にNGだからなー」

叶音「仕方ない…大人しくしてるからさっさと済ませてね?」

ガン「それは海神氏に言うことだな。」

ガン「こちらブラボー。任務完了。命令があるまで待機する。」

レイ「僕達ブラボーだったんだ」

ガン「頼むからボロを出す前に黙ってくれ」

ガン「見てみろウィスプを。セリフ一個だけだぞ」

ウィスプ「ガンちゃんの邪魔したくないから」

レイ「うわほんとだ」


どうやら相手は思っているよりずっと凶悪な傭兵ではないようだ

これなら隙があるかもしれない。

その時をジリジリと待てば、勝機はある。


叶音(昔飼ってた金魚に似てるからイマイチやりづらいんだよなー…)



※リプレイの分量が凄まじいため、殆ど手を加えずそのまま上げています。読みづらい点が多いことをお詫びします。byGM








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る