11
「どうあろうと僕達を裏切る意志に変わりはないと、そういうのですね、イシス?」
「あなた達をというより、あなたを、というべきなのかもしれません」
ホルスの眉が釣り上がった。
「私は、あなたを甘やかしすぎたのだと思います。肉親であろうと、人として誤った道に進もうとしている者に手を貸してはいけなかったのです。いえ。肉親だからこそ手を貸してはならなかった。私のその甘えが、いままで続く狂気を創り出してしまったのです」
ひかりは、哀れみの眼でホルスを見据えていた。
「その眼はやめろ! 僕を見下すようなそんな眼をすることは、妹のお前には許されない!」
「じゃあ、俺なら許されるか?」
博斗は、ひかりの横に進み出た。
「オ、オシリス…! また性懲りもなく…」
「は、博斗さん…」
「ひかりさん。いや、イシスと呼んだほうがいいのか?」
ひかりは、はっと体を硬直させた。
「やはり…ご存知だったのですね?」
「まあ、ね。でも、そんな昔のことはもう忘れたよ。俺はとにかく、ああいうタイプの男は嫌いなんだ」
博斗は、ビッとホルスをグラムドリングの柄で指差した。
「いいか! ひかりさんは、もうイシスなんかじゃない! いち地上人、酒々井ひかりだ」
博斗はグラムドリングを構えた。
「お前に、俺とやりあう覚悟があるか?」
「く、くっくっ。くかっはっはっはっ!」
ホルスは大口を開けてげらげらと笑い出した。
「ヒャーッハハハハ、こうなるだろうとは思っていましたがね。いいでしょう! 僕は最後の警告をしました!」
ホルスはやにわに腕を振り上げると、時計塔を指した。
「見なさい! 明日の同じ時刻、このプロフェッサー・ホルスが生んだ最強最後の怪人が、お前達を血祭りにあげるでしょう! もうパンドラキーなどどうでもよい! お前達を殺す! それだけが僕の目的です!」
「な、なにいぃっ!?」
「明日が、お前達の最後の日です! せいぜい今宵、最後のひとときを楽しむがいい! ヒャーッハハハハハハッ!」
ホルスは耳障りな笑い声を上げ、瞬時に姿を消した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます