13

それ以上ゆっくりと考えている暇はなかった。

ツチノコ怪人が、ぶるっと身を震わせて短い尻尾を振って、レッドの体に横から強烈な一打を与えた。


「う、きゃあああっ!」

ものすごい勢いで弾かれたレッドは、勢いよく谷側に向かって発射された。

びゅんと枯れた枝を折りながら木立の間を飛ばされ、そして山の斜面から放り出される。


「きゃああああああああああああっ!」

このままだと、麓までまっさかさま!? いくら変身していてもそれはさすがに…!


予期していたよりもずっと速く背中に衝撃が走った。

堅いがやや弾力がある。


レッドが体を裏返すと、自分がレッドアローの椅子の上に横たわっていることに気付いた。


レッドアローは麓近くまで降りて、木々の間を抜けて地面に滑りこんだ。

「助かったわ。でも、呼んだわけでもないのに、どうして?」


レッドアローは答えない。

ただ、ププッと軽くクラクションを鳴らした。


「わかるんだよ、レッドアローには。自分のパートナーがどこにいて、どうしてるか」

別の声がした。グリーンの声だ。


木陰から見慣れた四人が現れた。


ブラックが刀を構えながら言う。

「話をするにはまだ早いようです」


雪崩のようにツチノコ怪人と戦闘員が降ってきた。

「今度こそおしまいだぞ、スクールファイブ!」


「おしまいは、あなたたちのほうですわ!」

「よし、いっちょう、やってやろうじゃない!」


戦闘員は一蹴された。

スクールファイブ一人を相手では善戦しても、五人が相手となるとやはり敵ではなかった。


残された怪人が、牙をむき出して襲いかかってくる。


頭で考えるまでもなく、自然に動きが構成され、五人の息はまったく乱れることがない。

「スクールスティックよ!」


レッドは、赤々と燃える赤いボールを取り出して、宙に放り投げた。


残る四人が怪人の頭上に跳躍し、錯綜しながらボールをスティックで交換し合い、怪人を翻弄した。


「アターック!」

炎を帯びたボールが怪人の頭を直撃した。

業火はあっという間に怪人を焼き尽くし、黒焦げた蛇の抜け殻が枯れ葉の上に残るだけとなった。


五人は地面に着地すると、腕を突き合わせた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る