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陽光タワーの真下に、陽光放送の野外ステージがある。
土曜日の今日は、その野外ステージの客席が、子ども達とその親でほとんど埋め尽くされていた。
ただしその最前列には、なんとも違和感のある人間達が陣取っている。
博斗、遥達、遥が誘った稲穂、そして、玉次郎と、なんだかんだいってついてきたあずさだ。
ステージに緊迫した音楽が流れている。
「フハハハハッ、このマスターディスクは頂いた! これでお前達はマスターアップに間に合わん! 子ども達に勇気と平和を教えるこんなゲームはすべて処分だ!」
ステージの上でエイリアンのような怪物が、いまどきそれはないだろうという五インチのフロッピーをもって高笑いした。
「ふむふむ。観客から見やすいことを考慮してあえて五インチを使っているんだな。なかなか気配りの行き届いた主催者だ。怪物の造形も水準ライン、と」
桜は眼鏡をきらきら輝かせてなにかをメモっている。
その隣で、燕が、ステージに身を乗り出さんとばかりに、わくわくどきどきといった様子で手を握り締めている。
燕のさらに隣では、燕とほとんど同じポーズで踏み出した玉次郎が構え、そのさらに隣ではあずさが仏頂面をしている。
「お、お願いです、そのマスターディスクを返してください! もう発売を一ヶ月延期してるんです。今度のマスターアップを逃すと、会社が潰れてしまいます!」
机に向かっていた男が怪物にすがろうとした。
「やかましいっ! 引っ込んでろ!」
「うわあっ!」
男は怪人に突き飛ばされて机の陰に転がり、客席から見えなくなった。
「む! ここでアクター入れ替えか! なかなかタイミングがうまい」
桜がつぶやく。
燕は「まだかな、まだかなっ」と言いながらじっと待っている。
「まだ文句があるか?」
怪物が、まだ残っていた三人の男と一人の女に怒鳴った。
「ひぃぃぃぃぃっ!」
と悲鳴を上げて四人はステージから姿を消した。
「これでアクターの入れ替えはおしまい、と」
桜がまたなにかをメモる。
「ヌハ、ヌハ、ヌッハハハハハ! ではマスターディスクは頂いていくぞ!」
怪人が、これ見よがしにディスクを客席に見せつけた。
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