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「博斗さんのいまの様子では総帥には勝てません。そして、いまのスクールファイブでは、ピラコチャにもホルスにも勝つことはできないでしょう」
「…そうだな。その計算は正しいだろう」
「ピラコチャとホルスは、それぞれ四神官と同じ力。なにしろ、ただのコピーですからね。したがって、もし、四神官を打ち破ることが出来ないのであれば、いずれにしても私たちに勝ち目はないでしょう。私はそう判断したのです。だからこそ、四神官をこのまま甦らせます。そして、甦った四神官を、叩きます。この戦いを乗り越え、スクールファイブと博斗さんの強さを、さらに高めます」
「その計算には致命的な誤りがある」
「なんですか?」
「四神官は四人同時に甦る。四人同時ではスクールファイブの手に余るだろう」
「確かに、四神官がほんらいの、つまり私たちと同じ力で甦れば、そうでしょう。しかし、四神官は、力を抑圧された状態でしか甦ることはできません。四神官が、自ら力を取り戻そうとする前、そのわずかなタイミングが勝負の賭けどころですよ」
「…そうか。可能性はあるな。だが、四神官が甦ってから行動を開始するまでに、そんな余裕があるかな? 四神官を封印したあの神殿まで、お前はともかく、他の連中がどうやって行くつもりだ?」
「方法はありますよ」
ひかりは、意地悪く笑った。
「あなたも、一緒に来ることになります」
「修学旅行という奴か」
シータは眉をひそめた。
「ええ。四月から理事長さんにお願いして、行き先を生徒にも外部にも伏せていました。今年の陽光学園の修学旅行の行き先は、あの神殿のあるセルジナに決まりました。王子には少々無理をしていただきましたけれどね」
「なるほど。お前の正体を明かすこともなくスクールファイブを神殿に近づけさせることができるわけか。そういえばお前、タイタンのときも…」
シータは、不意に恐ろしい可能性に気づいた。
「まさか、お前は…タイタンや四神官を、わざとホルスが発見できるように…」
「ええ」
ひかりはうなずいた。
その表情に微笑みはなかった。
「博斗さんの、自分の力の強さに気づかせるためには、タイタンが必要でした。そして、スクールファイブがさらに一段高みにすすむために、四神官が必要です」
シータは、戦慄という、もう長いこと感じたことのなかった感覚を覚えた。
「恐ろしい女だな、お前は。なにが、お前をそこまで駆り立てる?」
「私は、すべてを終わらせるために、行動しているのです」
ひかりは、微笑を浮かべた。だが、その瞳には哀しみが浮かんでいた。
「また来る。スクールファイブの一人は私がエネルギーを奪ったぞ。それを心しておけ」
シータは、ふんと鼻を鳴らすと、苛立たしげにドアを開けて出ていった。
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