五人は、音の出所だったと思われる場所に到着した。


「あーあ、これはひどいわ」

遥は鼻をつまんでみせた。


路肩のゴミ収集場所から、生ゴミが辺りに散乱している。

青いゴミバケツが転がっていて、ゴミ袋の中身が撒き散らかされているのだ。

おまけに、新聞紙や発泡スチロール、そして、さっきからここまで続いている空缶まで、全部ごちゃごちゃになって転がっている。


「ぶんべつしないとおこられるんだよ」

燕が言った。

「ほんと、こりゃひどいね。良心のかけらもない」


由布は飛び出した。

「あ、由布、どうしたのっ?」

四人がその後に続く。


影は、角からわずかに姿を覗かせただけですぐに姿を消したが、由布はためらわず追った。


角を曲がったところで、由布は、影の正体に出くわした。

「スクールファイブ?」


めいめい空缶を手に持ったスクールファイブの五人が立っていた。

赤、黄、黒、青、緑。

遥達を前にして、五人はおろおろと慌てふためいている。


だが、遥達も動揺した。

「ど、どういうこと?」

「ははあ。こいつらが騒ぎの原因なんだな。ゴミを荒らしたり空缶を並べたりしてたのは、こいつらだ」

桜は言った。


「でも、よく出来てるわね。ほんものそっくりじゃない」

遥はまじまじと五人を見た。


「ええ? どっこが?」

桜は反論した。


「どこから見ても」


「手袋とプーツの色が違う! 僕らは白、あいつら金ぴか! 僕らは白いスカーフしてるのにあいつらは赤! どっからどう見たってバレバレじゃん!」

「よく見破れますわね、桜さん…。すごいですわ」


由布は苦笑した。

「誰でもわかりますって…」


「まったく。せんせ達も、誰も気づいてくれないんだから」


「でもそれなら話は早いわ、あいつらニセモノなんでしょ。懲らしめてやらないと」

「そうですわ。ニセモノですわ! 名誉毀損ですわ!」


「ニセモノ? よーしっ!」

燕は、手に持っていた空缶を地面に置くと、ジャンプして一気に間合いを詰め、おろおろしているにせレッドにまわし蹴りを浴びせた。

「たあっ!」


「ムーっ!」

にせレッドは吹っ飛ばされ、衝撃でバイザーが外れた。その下から出てきたのは、戦闘員の青い覆面だった。

続いて、他の四人のニセモノも戦闘員の姿に戻った。


「ああっ!」

遥は、驚きの声を上げた。


「んな、驚くことかい。わかりきってたことじゃないか。ほら、さっさとニセモノ片づけて帰ろうよ!」

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