第十八話「大爆発五分前」 残暑怪人ハナビムー登場
第十八話「大爆発五分前」 1
ミラームーにスクールウェーブを破られてから数日が経ち、さらに強さを増すムーの怪人に立ち向かうため、新必殺技の開発は急務であった。
博斗とひかりを含めた七人は知恵を絞り、熱く議論を交わし、ようやく、スクールウェーブの弱点を補いつつ、さらなる威力の強化を図る新必殺技の条件をいくつか出すところまでこぎつけてきた。
桜は早速、新必殺技のための武器の開発を開始し、四人は技の詳細を詰めはじめた。
しかし、さて、いよいよ、技を編み出し、実際のテストに入ろうという今日になって、博斗とひかりは五人から締め出しを食らってしまった。
司令室への出入り禁止。
いま、司令室では、燕曰く「ひみつのとっくん」が行われている。
「なんで俺達が締め出されなきゃならないんです?」
博斗は愚痴をこぼした。
「しかたないですよ。私達がいると五人の連携が乱れるのかもしれませんし」
「そうは言ってもなあ…なんか、納得できないなあ」
「博斗さん…あの子達を、信じてあげましょうよ。きっと、なにか考えがあってのことですから」
「ぶーぅ…ずずずず」
博斗はむくれたまま茶をすするしかなかった。
「でも、確かに、どんな技が生まれるのか、興味はありますよね」
ひかりが言った。
「スクールウェーブのもっていた弱点を克服する新必殺技…彼女達自身が考え、創り出す技ですから、きっと、素晴らしいものになるのでしょう」
「ならいいけど」
博斗は茶を飲み干すと、ぐっと、背筋を伸ばした。
保健室のドアを開けて、遥以下五人が顔を出した。
「ひかりさーん、なにか、手当てしてくれませんか?」
五人の体は擦り傷とあざだらけ。
「苦労したよ。約一名、なかなか息の合わないのがいてさ」
桜は肩をすくめた。
「誰のことですかしらね?」
「…司令室も、ちょっと焦げたり、壊したりしちゃったんで、へへへ、あとで、点検しといてください」
遥が舌を出した。
「やはり、先生達を外に出したのは正解でした。もし、あの中にいたら、いまごろ、骨の三本ぐらい折れていたかもしれませんね」
由布が苦笑いしながら言った。
「ね、博斗さん。彼女達は、ちゃんと私達の安全を気遣ってくれただけなんですよ」
ひかりが博斗に笑いかけた。
「そうか、それで、俺達を追い出したのか。んなら、そう言ってくれりゃよかったのに」
博斗は舌打ちした。
「んで? 必殺技は、出来たのか?」
「…ふふふ。ひ・み・つ」
桜の眼鏡がきらーんと輝いた。
「ところで、明日、なんの日か知ってます?」
「誰かの誕生日か?」
「ちがーう、そうじゃないですよ。明日は、海浜公園の花火大会なんです」
「で? それがどうかしたのか?」
「もう、鈍いなあ。だから、あたしと、一緒に行きません?」
「あたし『達』と、ですわ」
「花火か…よし、いいだろ。ね、ひかりさん?」
「え…私もですか?」
「そりゃもちろん。こういうのは大人の女性が一緒じゃないと」
「はあ…私でよろしいのですか?」
「なに言ってんですか。ひかりさんじゃないと駄目ですよ」
「そ、そうですか。それでは…お言葉に甘えて御一緒させていただきます」
博斗は遥達を見た。
「よし、んじゃ、明日は花火見物としゃれこもう! …って、あれ? 遥君、なんか、怒ってない?」
「べっっつっっにっっ! 怒ってないですっ!」
と言いながらも、遥は博斗の脛を思いきり蹴飛ばした。
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