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「…あれ? …雨が、止んだ!」
グリーンは空を見た。
「やったんだ! レッドとイエローが、勝ったんだ!」
見る見るうちに、黒い雲が消えていき、青空が戻っていく。そして、射しこみはじめた陽の光が、タイタンを鮮やかに輝かせた。
グリーンはサイドドアからアンドロメダ号に転がり込んだ。
「ひかりさん、左隅の黒いカバーを開けて、スイッチを上に!」
ひかりは指示された通りにスイッチを入れた。アンドロメダ号のルーフが開き、グリーンが急ぎで取り付けた手製のパラボラ型アンテナが頭上に突き出した。
「私は、何をすればいい?」
理事長が首を後ろに向けた。
「とにかく、ブレーキ踏んでサイドブレーキひいてハンドル押さえて、動かないようにして! たぶんそれがいちばん大変なんだ!」
「よし」
理事長はサイドブレーキを目いっぱいひきあげ、ハンドルを両手で堅く握ると、ブレーキをきつく踏みしめた。ハンドルを握る手にはじっとりと汗が浮かぶ。
「私も、君達とともに戦うことが出来るとは、光栄だよ」
理事長は笑った。
「こういうときに笑うなんて、理事長さんにも、博斗さんの影響が現れてきているみたいですね」
ひかりがくすりとした。
グリーンは手元のハンディコンピュータを覗き込み、目にも止まらぬ速さでキーを叩いた。
「現在の座表計算終了、目標移動による最終調整は手動、出力誤差0.000006%以下。照射、五秒前!」
ひかりは窓から身を乗り出して頭上のタイタンを見た。タイタンは、ゆっくりと右腕を突き出している。
「また、あの武器を使うつもりですね!」
「させない! 照射、開始!」
ぶうんという、虫の羽音のようなかすかな音とともに、アンテナがぐるりと方向を変えてタイタンに狙いを定めた。
アンテナの先端から勢いよくピンク色のスパークが放たれ、一直線にタイタンめがけて伸びていった。
まず足から、そして腰へ胴体へとピンク色の火花がタイタンを包んでいく。だが、手を包もうとしたところで火花はバチバチと弾かれた。
「ひかりさん、出力は!」
「125!」
「150まで、上昇!」
グリーンはキーを叩いた。
がたがたと車が震え、落ち着かなくなってきた。きな臭い匂いが立ち込める。
「だ、大丈夫なのか!」
ハンドルを必死に押さえ、理事長が叫んだ。
「知らない!」
グリーンも負けずに叫んだ。
「もう、あとは気力だよ! 最後は人間の根性がものを言うの!」
アンドロメダ号はがたがたと震え、悲鳴を上げた。そして、その何十倍という大きさをもつ巨大なロボットを、必死に押さえつけていた。
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