「なんだ、あの変な光は! タイタンの動きが止まったぞ!」

ピラコチャはホルスの肩を揺さぶった。


「こしゃくな! 破れ、破るんだ!」

ホルスは半狂乱になって水晶に念じ続けた。額にも首筋にも、じっとりと汗がにじむ。

「タイタンは無敵だ! この水晶さえあれば、どんな敵にも勝つ!」


「そう、その水晶さえあれば、な」

部屋の入り口から声が響いた。


見張りに立っていた二人の戦闘員が、床に放り出された。


「馬鹿な! スクールファイブ! どうしてここに?」

シータは叫びながら、仮面の下で必死に笑いをこらえた。


「邪魔はさせん!」

ピラコチャは背に担いでいた斧を取り、どすどすと突進してきた。


四方十メートルもない小部屋に、ピラコチャの体は大きすぎる。

ブラックは博斗を後ろに送り、ピラコチャの斧を刀で受け止めた。


「馬鹿な、俺の斧をそんな棒切れで止めるとは!」

「わたしの刀には、魂がこもっている」

ブラックはそれだけ言うと、刃を返し、ピラコチャに斬りつけた。


ホルスは、水晶を包んだまま、ひたすらに念じていた。

「タイタン、タイタン、動け、動くんだ!」


そのホルスの肩をブルーがつかみ、ぐっと水晶から引き剥がした。

ホルスはブルーに投げ飛ばされ、壁にぶち当たり、意識を失った。


ブラックの攻撃に威嚇され、一歩二歩とさがったピラコチャは、シータに腕をつかまれた。


シータはもう一方の手に、気を失ったホルスを抱えこんでいる。

「無念だが、タイタンはあきらめるしかない。このままでは、我々自身がスクールファイブにやられるぞ」


「だ、だか…!」

「生き延びることだ。このままここで三人とも朽ちてみろ。スクールファイブは倒せず、タイタンは奴等に阻止され、すべて台無しになるだけだぞ」


「…くっ。わかった。ここは退く」

ピラコチャ、シータとホルスの順に、ムーの者達は姿を消した。

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