6
三人は飛ぶように森を抜け、とたんに広い空間に飛び出した。
「来たか、ここだ!」
博斗が頂上で手を振っている。
グリーンはじめ三人は、頂上に立っていた博斗たちにすぐさま合流した。
「レッドとイエローは?」
「まだ怪人と戦っています。私達を逃がすために、たった二人で…」
「キャップ、時間がありません」
ひかりが口を挟んだ。
「ああ。とにかく、俺達は、あのロボット三等兵を宇宙に返さなければならない。それが最優先だ」
博斗は頭上に悠然と浮かぶタイタンを見上げた。幸い、まだ動き出す様子はない。シータがホルス達に話しかけて、うまく時間稼ぎをしているのだろう。
「私達はどうすればいいのですか?」
ブラックが尋ねた。
「するべきことは二つ。一つは、このテーブル石を壊して地下に侵入して、タイタンの制御機構をのっとること。もう一つは、タイタンの制御をのっとるまでの間、なんとかしてその動きを封じること」
「石をこわせばいいのね!」
ブルーが、答えるやいなやテーブル石に手刀を振り下ろした。
テーブル石はものの見事に粉々に砕け散った。
「こわしたよ!」
「君は、こういうことの理解は早いな」
博斗は苦笑した。
「瀬谷君、二手に分かれよう。地下に向かうものと、タイタンを食い止めるものと」
理事長が言う。
博斗はこくりとうなずいた。
「僕はこっちに残る」
グリーンが言った。
「それと、二人、人手がほしい」
「私と理事長さんが残りましょう。地下にはホルスとピラコチャがいます。できるなら、スクールファイブと博斗さんがいいはずです」
「ひかりさんが一緒に来てくれないんですか? 無理ですよ、俺にはタイタンを操るなんて!」
「博斗さん、あなたにはきっとできます」
ひかりは博斗の目を見据えた。
「瀬谷君…酒々井君が君を信じているように、君も酒々井君を信じたまえ。君には、力があるのだから」
「キャップ、迷ってる時間はないんでしょ。…心配しないで。地球が滅びたらキャップのこと恨んであげるからさ」
「はやく~!」
ブルーがテーブル石のあったところに開いた穴に足をかけている。
「行きましょう、キャップ?」
ブラックが博斗に並んだ。
「自分の意志を、信じることです、キャップ」
ひかりが博斗にうなずいた。
「だが、タイタンの動きを止めるなんて、できるのか、グリーン?」
「やってみる。科学者の端くれとしての誇りにかけてね」
グリーンは左の手首に装着された小さな腕輪に向けて叫んだ。
「アンドロメダ~っ!」
「なんだ? アンドロメダというのは?」
「来た来た!」
小さな黒い影が、こっちをめがけてまっすぐ接近してくる。
次第に影は大きくなり、その正体が明らかになった。
「あ、あの車…アンドロメダっつー名前だったのか?」
「そ! 桜様発明の万能カー、アンドロメダ号だよ!」
突っ込んできたアンドロメダ号は、ぶわっと床下から逆噴射すると、スピードを緩めて頂上の平らな地面に着地した。横には水平翼が突き出し、屋根には小さな尾翼まである。
「この車はなんなんだ、いったい?」
「いいでしょ。この一台があれば、水・陸・空どこにだって行き放題。それどころか、特別オプションのドリルをつければ地底にも…さらにニトロエンジンのエネルギーをリークさせて自爆すれば、一点収縮型の超高密度な空間破壊爆弾にも早変わり! タイヤには…」
「わかった、わかった。たいした発明品だ。んで、これでどうやってタイタンを止める?」
「うん、アンドロメダには電磁バリヤー生成用のアンテナがあるんだけど、その回路を変換して、頭上に放射させる。たぶん、五分…いや、十分ぐらいは、耐えられると思う」
博斗は無言でうなずいた。
「みんなの期待が、かかっているぞ」
理事長が博斗の背に声をかけた。
博斗は後ろ手に手を振ると、ブルー、ブラックに続いて、暗い穴に身を投じた。
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