五人のバイザーの通信に声が響いた。

「聞こえるか、みんな?」

「キャップ?」


「みんな無事か? 怪人は?」

「まずいね。このままでは勝ち目なし」

茫然自失としているレッドに代わって、グリーンが博斗に応じた。


「悪いことってのは重なるんだな。…もっとまずい知らせがある」

「さっきの、衝撃のこと?」

「そうだ。ムーの兵器が復活しかけている。なんとしても完全復活を阻止しなければならない。君達の力がどうしても必要だ。空を見てみろ!」


グリーンは天を仰いだ。

ほぼ真上に、鈍く輝く影がぽっかりと浮かんでいる。


同じように上を仰いだブラックが呟いた。

「巨人…」


「やっぱり、幻じゃなかったのよ! イエロー、しっかりして!」

レッドはイエローの頬を叩いた。


イエローは我にかえり、レッドと顔を突き合わせた。

「その通りですわ! 復活を阻止すべきですことよ!」


レッドのまわりに、四人が集まった。

「どうするの、レッド? こいつらを倒さないと先へは進めない。でもどうやって倒す? スクールウェーブは効かないよ?」


「先に行って」

レッドは低く、だがはっきりと言った。

「あたし達、なにがなんでもこいつらを食い止めるから、三人は、頂上に急いで」


「あたし達って…ま、まさか?」

イエローが一歩下がろうとして、レッドに襟首をつかまれた。


「あんなこと言われて、癪じゃないの? あたし達がスクールファイブの足を引っ張ってるなんて」

「そ、それは…」


「だから、見返してやろうじゃない。あんた、負けるの嫌いなんでしょ?」

「…」


グリーンが二人の間に割ってはいった。

「駄目だよ! 五人でも勝てるかどうかわかんないんだよ? 二人で勝てるわけないじゃ…」


「うるっさいですことよっ!」

イエローがグリーンの頭の上から雷を落とした。

「まったく、外野がうるさくて戦えやしませんですわ。いいですこと? これは二対二のタッグマッチなのです。他の方々はさっさとどこかに行ってくださりませんですこと?」


イエローは突然ボールを放り投げると、三人に向けてスマッシュを繰り出した。


「うわっ、わかったよ、行くってば」

グリーンはブルーの手をつかむと、引っ張って駆け出した。

「早く、ブラックも!」

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