6
突然、木々の間から青服の戦闘員達が躍り出てきた。
「さっそくお出ましか!」
「キャップ達は、あたし達の後ろに!」
遥達は、博斗、ひかり、理事長を内側にして、円形の陣を組んだ。
戦闘員達が四方からそれを囲む。
五人が姿を変えた。
「スクールファイブ!」
そのとき、いままでとは比較にならないほど激しい風が吹いた。
「くっ!」
博斗は目をつぶり、近くの木の幹に掴まって必死にこらえた。
ひかりと理事長も同じ木に掴まっている。
変身した五人はその場で足を踏ん張り、風に耐えた。
轟々と荒れる風が止んだとき、戦闘員達の前に、二人の新しい影が立っていた。
どちらも、体があるのかないのかよくわからない。
なにしろ、胴体に当たる部分は渦を巻く風の塊なのだ。
左側の怪人が拳を突き出した。
「俺の名は、サイクロム!」
右側の怪人が左側の怪人に手を重ねた。
「私は、ハリケーム!」
二人の怪人が揃って手を突き出した。
途端に、ぶおっと風が吹き出し、博斗は再び顔をしかめた。
「二人揃って、夫婦怪人ダブルタイムーン!」
「なんなんだ、こいつらは。怪人も結婚するのか?」
博斗が指示を出そうとしたときには、すでにレッドとイエローが飛び出していた。
「任せて! キャップ!」
「あなたに先は超させませんですことよっ!」
レッドはサイクロムに、イエローはハリケームに、それぞれつかみかかった。
怪人を中心に風が吹き荒れ、雨足が強くなる。
「この雨と風は、この怪人の仕業なんですよ!」
ひかりが叫んだ。
四方から躍りかかってくる戦闘員を、ブラックは剣でなぎ払い、ブルーはまとめてぶんぶんと放り投げ、グリーンは片っ端からしばき倒し、博斗達の元にたどり着かないように奮闘している。
「レッドリボン!」
レッドが突き出したリボンは、サイクロムの体に弾かれた。
「俺様の体はどんなものでも弾き返す! お前の攻撃など効かんぞ!」
イエローの放ったスマッシュはことごとくハリケームの体に吸い込まれ、あらぬ方向にはじき出された。
「私の体はどんなものでも吸い込むのよ。お前の攻撃など効かないわ!」
ここまでの戦況はほぼ互角か、ややスクールファイブがおされているというところか。
なにしろ怪人が二人だ! これは手強いに決まってる!
「瀬谷君!」
理事長が叫んだ。
「これは我々を頂上に行かせないための単なる足止めだ」
博斗は辺りを見渡した。
ひどい雨と風で、スクールファイブも戦闘員も入り乱れて混戦となっている。
そのなかで、ちょうど博斗達三人だけが、すっかり取り残された格好になっている。
行くならいましかない。
博斗はスクールファイブを見た。決して戦況は芳しくない。
「キャップ」
ひかりが濡れた髪を払いながら博斗を声をかけた。
「あの子達は、キャップがここでグズグズしていることを望んでいませんよ」
博斗は頷いた。
「…頼んだ、みんな。負けるなよ」
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