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こうして、セルジナは陽光学園を去っていった。
「なんか、この二週間は、大騒ぎだったな」
博斗はふうと息をついた。
そんな博斗を見てひかりがくすりと笑う。
「そうですね。…とても、いい方でした」
博斗はひかりを横目で見た。
夕陽を受け、ひかりの顔が染まっている。
…やはり、美しい。
いまさらながらに、ひかりは美しいということを再認識した。
だが博斗は、その美しさに、どこか寂しげな影が射すことがあることも知っている。
いまも、そうであった。
「博斗さん?」
そのひかりが、博斗のほうを向いた。
「は、は、はい?」
「そろそろ建物に戻りましょうか」
ひかりは微笑んだ。
さきほどまでの影はもう見えない。
夕陽に照らされた二つの長い影が、校舎に吸い込まれていった。
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