変身を解いた桜は、遥に向かい合った。

「ありがと。…来ないとばっかり、思ってた」

「えへへ。ほんとはね、司令室からずっと見てたんだよ。桜達のこと」

「ええーーーっ!」


「遥さん、大騒ぎでしたわよ、やれ博斗先生が桜さんの肩に触った、だとかどうとか」

「翠さんも、頭撫でたとか、色々騒いでましたよ」

と由布。

「そ、そうでしたかしら…」


「でも、どうして…。テストは、いいの?」

桜は聞いた。

「テストと仲間を比べたら、仲間のほうが大事に決まってるでしょ?」


「仲間、か…」

「そ。仲間。ごめんね桜。…あたし、きついこと言っちゃったみたいで」

遥がビッと右手をまっすぐ差し出した。握手ということらしい。


「ううん。いいんだ。僕も素直じゃなかったから…」

桜は手を伸ばして遥と堅く握手した。


「…まあ、その、なんていうのかな。ほんとなら、授業料取りたいところだけど、仲間だもん。特別に無料で、わからないところ教えたげるよ」

「きゃっ、ほんとっ? 助かるぅ」

遥が桜に抱きついた。

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