数週間が過ぎ、新年度の始業式がやってきた。


博斗はひかりから渡されたファイルに目を通していた。生徒会役員の自己紹介書だ。


「会長、中津川遥(なかつがわはるか)。2-3。生徒会を志望した動機は…日本を変えるには陽光市から。陽光市を変えるにはまず陽光学園からです! 私が会長になったからには、必ず陽光学園は青春の波止場に生まれ変わります。そのため、第一に(紙面の都合上、以下割愛)…な、なんか、激しいな」


「副会長、豪徳寺翠(ごうとくじみどり)。2-4。志望の動機は…世界にはばたく豪徳寺グループが、陽光学園を世界の陽光学園に変えてみせますわよ。…んー、豪徳寺ってまさか、あの豪徳寺グループか! うひゃあ、お嬢様とは、扱いにくそうだな」


「副会長、烏丸由布(からすまゆふ)。2-1。志望の動機、何か生きる目的がないとわたしは生きていられない…。な、なんだこりゃ、なんか暗いぞ。しかし、これは、憂いを秘めた美少女というか、むむむ、かなりいい線だな」


「書記、豊岡燕(とよおかつばめ)。2-2。…た、楽しそうだから? そんなんで生徒会やるのか、この子も変わってるな。おや? 成績不振につき厳重注意、か。でもまあ、元気そうな子じゃないか」


「会計、佐倉桜(さくらさくら)。2-5。さくらさくら? す、すごい本名だな、親の顔が見てみたい。動機は、部費を増やすため? こいつは公権力をなんだと思ってるんだ? 顔は…眼鏡っ子か。ビール瓶だな。ま、こういう子は眼鏡を外せば可愛いと相場が決まってるものだ」


一通りファイルを眺めた博斗は、ふと気がついた。

「まともそうな子が一人もいないじゃないか!」

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