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理事長はさらに一気に続けた。
「ムーは全世界を席巻し、近宇宙にまでその力を及ぼした。だがあるとき、そのようなムーの圧政に疑問を呈した若者がいた。彼は、彼を慕う五人の少女たちを従え、ついにクーデターを起こした。若者のかつての師は、彼を支持し、ムーのエネルギー動力室の鍵、パンドラキーを奪い、宮殿を海中に沈めることに成功した。抵抗する間もなく、ムー総帥以下四人の権力者は宮殿もろとも海中に没した」
「その若者の子孫が、博斗先生、あなたなのです」
「私は、その若者の師、つまりパンドラキーの持ち主の子孫だ。そしていまもパンドラキーは私のもとにある」
博斗は、何が何だかわからずただ口をぱっくりとあけていた。
「な、なんか、突拍子もない話ですね。さっぱりですよ、ははは、は」
「事態は猶予ならないところまで来ているのだ。…これを読みたまえ」
博斗は新聞を受け取ると、読んでみた。
「…東都大学人文学部葉山考古学調査団が、すでに消息を絶ってから一週間以上が経過していることが東都大学の届け出で分かった。助教授らは、海底遺跡の調査に行くとだけ言い残して突然日本を発ち、予定の期日を一ヶ月以上経過してもまだ戻っていない」
「この調査団が、おそらくムーの遺跡を発見し、知らずのうちにその封印を解いてしまったのだ」
「どこにそんな証拠があるんです?」
「私がその証拠だ。私は、一ヶ月前から、はっきりと感じているんだ。ムーの気配を」
「博斗さんは、なにも感じないのですか?」
「ああ、なーんにも。だいたい、俺は生っ粋のハマっ子ですよ。ムーとか、ルルイエとか、ノンマルトだとか、そういう海底人の親戚なんていやしませんよ」
「それは、博斗さんが知らないだけです。あなたは、色濃くムーの血をひいています」
「そのとおり。だからこそ、博斗君、君の力が必要なのだ。生徒会こそ、ムーと戦う戦士達なのだよ。生徒会顧問の任務は、彼女たちを指揮することなんだ」
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