第5話

ある、月の美しい夜

小さなおじいさんが来た

淡々と聞かれた

どこかへいきたいかね

僕も4300も言葉を失う

行きたい

でも僕らはポスト

どこかへ行く手紙を

受け止めて放つ仕事

動けない

だいたい動いてしまったら

この先だれがそれをやる?


小さいおじいさんはわらう


誰かがやるよ

現にそのお嬢ちゃんも

違う誰かさんの後釜じゃろう?


確かに




じゃあ、

おねがいし…


ますと言い終わる前に僕らはふわりと宙に浮いた


僕らが植わっていたアスファルトそのものが魔法の絨毯化してた

端っこにはえてる草花ごと、僕らは飛んで行ったんだ


海を越え

空に染まり

高いビルの上も静かな農村の上も

地球は丸くて広くて

同時に思いきり小さかった

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