③舌打ち

何日か前、雨の日。

学校帰りの僕は最寄りの駅を降りてガード下を歩いていた。

普段めんどくさがりな僕は雨の日があまり好きじゃない。傘をさすのがめんどくさいから。

だからその時は少しでも気が楽になるように音楽を聴きながら傘をさし歩いていた。

早く家について欲しいとばかり思いながら下を向いて歩いていた。

そして…いや、だからと言うべきか、横断歩道を渡ろうとした時、女子学生とぶつかってしまったのである。

そして普段の僕であればすぐに謝れるはずなのに、

なのに僕は謝るどころか舌打ちをしてしまった。

きっと学校でよくないことがあったのだろうか、「雨」というストレッサーと重なることでイライラがたまり、つい「舌打ち」をしてしまったのだ。

数秒後、ものすごい罪悪感と後悔を覚え、後ろを振り返って小さな声だがすいませんと言ったのをすごく覚えている。


もしかしたらその女子学生は僕の舌打ちが聞こえなかったのかもしれない。

ただ「舌打ち」をしてしまった事実、そして罪悪感と後悔は願っても心から取り消すことができない。

この出来事は将来大人になっても忘れることのない気がする。

「自分は人に当たったりしない人間」という思い込みを裏切るように出た舌打ち、ダメージはものすごい大きいものだった。

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