第2話 秋子さんと消えたトマト

(1)人気のような、そうでないような

 広橋郡八色町ひろはしぐんやいろちょう。人口3万2千人。1958年に越青こしあお赤江里あかえり茶江里ちゃえり黄多須磨きたすま水宮みずみや与紅島よこしま黒原くろはら紫尾備むらおびの一町七村が合併し現在の八色町となる。古来より竜宮の庭先と呼ばれるほど豊かな漁場を有する港町として知られ藩政期には藩主保護の元、湾内でのカツオ釣り漁、アジ・サバなどの沿岸漁業が隆盛を極めていた。現在では漁法の変化や水産資源の衰微によりかつてのような漁獲高は望めないが、それでも漁業が住民生活の一端を支えていることに変わりはない。

 一方、昨今注目され始めているのが観光業である。海岸線沿いの開放的な景観と、水底の砂まで見渡せる透明度の高い海が、写真家やダイバーの間で話題になり、タレントの日高陽葵ひだかひなたがSNSに投稿した写真が切っ掛けとなって一気に世間に知られるところとなった。紅葉の名所である呉葉神社や、景勝地として知られる依姫ヶ浜よりきがはまなど観光スポットも点在し、訪れる観光客は年々増加している……らしい。

「というわけで、ここです!」

 ばっ、と秋子さんが腕を振るった。示された先よりその勢いが気になった。でも一応は腕の先にも目を向けてみる。石造りの建物があった。見た目の印象は地中海風。それも漠然としたイメージに過ぎないが海沿いの風景には違和感なく溶け込んでいた。一階と二階の中間付近に鉄製の突き出し看板が設置されていて板面には『BAR:Rituale di Vento』の文字。リースで飾られたアンティークドアの足元でブラックボードが文字を連ねていた。『今朝は少し涼しかったですね。肌寒くていつもより30分早く目が覚めてしまいました。二階の窓から海を眺めると見慣れない大きな鳥が飛んでいて娘と一緒に首を傾げてしまいました。あれは一体何という鳥なのでしょう? 珍しいものが見られて少し得した気分。本日の日替わりランチ700円 若鶏のロースト(トマト煮込みのカチャトーラ)、野菜たっぷりのミネストローネ、フォカッチャ、プラス100円でエスプレッソ……』 途轍もない変化球が繰り出されなければ極々一般的な喫茶店のようだった。ふむ。

 二階の窓を見上げ、訊き返した。

「何が、なの?」

 秋子さんは、待っていましたとばかりに目を光らせた。

「見てください、後ろを!」

 テンション高いなと思いながら指示に従った。県道があり、砂浜があり、海があった。

 見慣れない鳥とやらは飛んでいない。

「素晴らしい見晴らしでしょう?」

「さっきからずっと見てるじゃん」

「白い雲、青い海……。雄大な景色を臨みながら優雅なひとときを過ごせるお洒落スポットとして地元のひとのみならず観光客にも人気のような、そうでないような」

「そうでないんだ」

「まあまあ細かいことはお気になさらず。お腹空いたでしょう?」

 ご機嫌な様子でハンドルを握った。海ではしゃいだ高揚感が抜けていないのかも知れない。

 駐輪所は入口の右手にあった。しかし雨避けの下にはもう停めるスペースがない。どうしたものかと眺めていると秋子さんは駐輪所を過ぎて店舗の裏手へ回っていく。隣地には店の駐車場があった。建物の脇にカーポートが設けられていて一台の軽トラックが駐車されている。秋子さんは勝手知ったる様子で車の脇に自転車を停めた。どうやらここに置いても構わないらしい。俺も倣ってそこに並べた。

 彼女はバスケットから二つの荷物を取り出した。一つはトマトが詰められた籠バッグ。もう一つは布でできた手提げ袋。サイズはさほど大きくない。せいぜい縦横30㎝程度。茅野がスマホに収めていた巫女の絵だ。別れ際なぞなぞを解決してくれたお礼にと譲ってくれたのだ。無名とは言えプロの画家が描いたもの。無償で……しかも作者の承諾もなしに受け取るのはさすがに悪い。両手を振って断ったのだが茅野は気にするなの一点張りだった。まあ、駄目なら返せば良いだろう。

 表に戻り、木造りのドアに手を当てた。ベルの澄んだ音が響き「いらっしゃいませー」と声が続いた。きんきんに冷やされた空気に包み込まれ天国に足を踏み入れた心地を知る。深く息を吸うと胸にコーヒーの香りが沁み込んできた。格別だった。BGMの類は一切なく、食事を楽しむ声と、食器の触れ合う音だけが耳に届く。

 店内は丁度Lの字を反転させたような形になっていた。内側にカウンター席、窓際にテーブル席。入口から見て左手が二人席で、右手が四人席だ。そのいずれにも客の姿があり、和やかな表情を見せている。地元ふうなひともいれば、そうでなさそうなひともいた。

「夏休みのお昼時ですからね。普段はもっと閑散としていますよ」

 確かに、と架け時計の針を見る。時刻は十二時四十五分。最も慌ただしい時間帯だ。空いた席も見当たらないので予約表のペンを取ると配膳から戻ってきたウェイトレスが足を止めた。

「お、なんだ。秋子じゃん」

 トレイで肩を叩きながら片眉を上げる。秋子さんと同い年ぐらいだろうか。すらりと背の高い女だった。女は、秋子さんの前で腕を組み、口許を緩めた。

「いらっしゃいませ」

「はい慶衣けいさん。いらっしゃいました」

 そうして二人でふふふと笑う。

 何か笑うところがあったろうか?

 俺の疑問を余所に、彼女たちは会話を繋いだ。

「忙しそうですね」

「ま、この時期はこんなもんでしょ。さっきコウのやつも来てたよ。あんたのこと待ってたみたいだけど鬱陶しいから叩き出したった。回転上げなきゃいけない時間にコーヒー一杯で粘るなっつーの。何がシェケラートだよ。バカじゃねあいつ?」

「午後なら別に構わないんですけどねえ」

 毒づく慶衣と呼ばれた女。苦笑する秋子さん。会話に入っていけない、俺。

 秋子さんは身体を傾け、カウンターの奧を覗いた。首を伸ばした先には厨房がある。カタカタと鍋を叩く音が聞こえた。

「手、離せなさそうですね」

「パパ? 今はね。用事?」

「いえ、用事という程のことでは」

 と肩越しに振り返る。慶衣の意識がこちらに向いた。怪訝そうに尋ねる。

「さっきから気になってたけど何その子? 男の子……でいいんだよね?」

「ええ、休みの間こちらにいらっしゃるそうで。町を案内させて貰ってます。高砂成海さんです」

「高砂……?」

 秋子さんは、こちらをご覧くださいとばかりに手のひらを上に向けた。

「成海さん、こちらは景色慶衣けしきけいさん。私の同級生で夏の間はここのウェイトレスさんです。珍しいでしょう? 景色って苗字なんですよ」

「ハジメマシテ、景色です」

 ぞんざいに左手を差し出してくる。握り返し「高砂成海です」と一礼した。何かスポーツをやっているんだろうか。手の皮が少し厚いように感じた。

 彼女は彼女で、気になることがあるようだ。「間違ってたらアレだけど」と切り出した。

「高砂って……もしかしてキミ、あのクソジジイの孫か何か?」

「あー、たぶんそのクソジジイの孫です」

 ふうんとじろじろ観察される。鋭い目つきであちこちを刺され、居心地の悪さに身じろぎをした。慶衣さんは握る手の力を緩めた。腰に手を当て、明け透けに言った。

「ジジイの筋肉の絞りカスみたいな子だね。なんか女みたい」

 何それ。自分でもわかるからつらい。

 慶衣さんは、はてと首を傾げた。

「……どっかで会ったことある?」

 あっ、と秋子さんが掌を合わせた。

「慶衣さんもそう思います? 私もどこか見覚えがあって。どこでお会いしたんでしょう?」

「いや、わかんないけど」

 二人して俺を覗き込み、うーむと唸る。

 益々居心地が悪い。そろそろ席に座らせて貰えないだろうか。って言うかこのひと働かなくていいの? などと考えていると、

「どうしたんです二人とも。そのお客さまがどうかしましたか?」

 と、彼女たちの背後から声がかかった。

「ああ、マスター」

 慶衣さんが振り返った。現れたのは彼女よりもさらに頭一つ分高い男性だった。俳優を名乗られれば否定する理由は見当たらない。それくらい端正な顔立ちをしていた。齢は……わかりづらい。二十代から四十代のどの範囲でも通用しそうだ。黒々と艶のある長髪が若さを漲らせている一方、落ち着いた物腰は老練そのものだ。三十代前半だろうかと当たりを付けたが的中している自信はなかった。

 マスター。そう呼ばれたのだから彼がこの店のマスターなのだろう(俳優ではない)。慶衣さんと秋子さんが俺を取り囲んでいる状況を見てトラブルを連想したのかも知れない。胡散臭いとまでは言わずとも少しばかり身構えていた。

 疑問に答えたのは慶衣さんだ。

「この子、源三じいさんの孫なんだって」

「ほう、貴方が」

 分かりやすく態度が軟化した。軽く両手を広げる。

「そうですか。話は源三さんから伺っています。近々市内からお孫さんがいらっしゃると。確か成海さん、でしたよね? ようこそおいでくださいました。娘が何か失礼をしたのではありませんか?」

「するわけないじゃん、ねえ?」

 慶衣さんはからからと笑い、秋子さんに水を向ける。秋子さんは「ねー?」と調子を合わせていた。初対面で祖父をクソジジイ呼ばわりされたが事実なので失礼ではないだろう。マスターは嘆息した。

「するわけないじゃありません。秋子さんとあなた、それにコウくんが加われば何をしでかすか分かったものじゃない。去年の夏のことを忘れたのですか?」

「あっ……あれはもう時効でしょ。って言うかさ。あたしらとコウを一緒くたにしないでくれる? 甚だ不本意だわ」

「何が不本意ですか。幼馴染のいたずら三人組でしょう」

 二人はなおもやり取りを続ける。身内同士の会話を聞かされても手持無沙汰になるだけだ。ただ二人は親子なのだと、漠然とそれだけが頭に残った。兄妹と言っても通じそうだが、やはりそれなりの齢なのだろう。

 俺の所在なさを察したのか、マスターが慌てた様子を見せた。

「ああ、失礼。大事なお客様の前で見苦しい姿を。ええ、と」

 マスターは満席の店内に視線を巡らせ「ああ」と安堵の声を漏らした。二人席で年配の女性らが立ち上がろうとしていた。やっと席で落ち着ける。砂漠でオアシスを見つけたと言えば大袈裟だが木陰を見つけた程度にはほっとした。

 ところが、

「御馳走さまあマスター。今日も美味しかったわあ」

 座っていたおばさんたちが行く手を阻んだ。無遠慮に割り込みマスターを捕まえる。

「豚ロースのグリルとラザーニャのどっちにしようか迷ったんだけど、豚ロースにして正解だったわ~」

「バカねえ、みいちゃん。どっちを選んでも正解よ。ねえマスター?」

 マスターは「ありがとうございます」とにこやかに応じた。俺が見ても魅力的なスマイルだった。マダムたちは上機嫌でおほほと笑った。それから招き猫みたいな仕草を秋子さんに向けた。

「あらあ? 秋ちゃんじゃないのお。なになに今日はお友達と一緒なの? きゃあ~可愛い子ねえ。どこ行ってたの? ビーチかしらあ。いいわねえ。羨ましいわ~。おばさんも秋ちゃんぐらい色が白かったらいいんだけど、すぐに真っ黒に焼けちゃうのよお。この季節はそれが嫌だわあ」

「何言ってるのよバカねえ。あたしらと秋ちゃんじゃあ元の造りが全っ然違うんだから。勝負になんないわよ~。あんたは典型的なアジア人種なの! それよりまずは痩せなさいよ。豚ロース食べてる場合じゃないわよ。ねえ秋ちゃん?」

 そうですね。目に余るので痩せてください。……とも言えないだろう。秋子さんは無言のまま目を細め、口の端を動かした。苦虫を噛み潰すように見えたのは気のせいだろうか。おばさんはと言えば「そうそうマスター聞いてくれる?」と既に秋子さんを置き去りにしていた。「うちの息子がねえ」と再び招き猫の仕草。大学行かずにうんたらかんたら。専門学校がなんたらかんたら。声優に成りたくてどーたらこーたら。二分も聞かないうちに「うるせえ!」と叫びたくてたまらなくなったのだが、この店のひとたちには普通のことらしい。マスターはいかにも深刻そうに「そうですか」を繰り返しているし慶衣さんは肩をすくめただけだった。

 まだまだ終わりは見えてこない。うんざりしていると慶衣さんが顎をしゃくった。俺たちはそろりとその場を離れた。

「ま、十五分ってとこだね」

 空き皿を重ねながら慶衣さんが嘆いた。秋子さんは足元に荷物を置きつつ苦笑する。

「そんなにかかりますか。あの話、三回目ですよ」

「いーや賭けてもいい。十五分だね。これから東京に越した息子夫婦の自慢が始まるから。あーあ、あたし一人で回さなくちゃならなくなるからヤなんだよなあ。で、注文は?」

 その流れで訊かれても頼みにくいな。

「私は日替わりで。成海さんは?」

 メニューを開き、頁の上で目を滑らせる。ローマ風サルティンボッカ。鶏肉のカチャトーラ。エンドウ豆のミネストローネ。マルゲリータ。プロシュート。ベーコンと卵のカルボナーラ。ペペロンチーノ。ニョッキ。リゾット。えとせとら……。横文字が何の料理を意味しているのか絵面が浮かんでこなかった。カプリチョーザって何だっけ?

 頁を閉じ、そっとスタンドに戻した。

「俺も日替わりで。あと食後にアイスコーヒー貰えますか?」

「日替わり二つに、アイスコーヒーね。秋子は?」

「私もアイスコーヒーで。あとチョコバナナサンデー欲しいです」

「スペシャルのほう?」

「スペシャルのほうです。それとビスコッティを一緒に持ってきてください。食べ終わったらセミフレッドを一つとアッフォガートを一つ、あとティラミスとパンナコッタを一つずつお願いします」

 マジか、このひと。

 慶衣さんはさらさらと注文を書き取るとカウンターの奧へ消えていった。

 やっと一息吐けた感じがする。

「すみません、何だか騒がしくて」

 恐縮した様子で眉を下げた。別にいいよと窓を見やる。

 雲が晴れ、空と海はすっかり夏らしい色に変わっていた。

 午後は熱くなるだろう。

 帰路を考えると他人事でもない。でも他人事のようにそう思った。

 涼やかな窓辺から眺める海。贅沢な景色だ。騒がしい客さえいなければ文句はないのだが。

 苦く笑い、目だけを反対に動かした。秋子さんは心中を察したような表情を浮かべた。

「もうちょっとちゃんと紹介したいんですけど、話しかける隙が……」

「マスターのこと? まあ、あの様子だしね」

 店のどこかでオーダーの声が飛んだ。厨房の奥から小走りで現れる慶衣さん。明るい色の髪を目で追いながら、ふと思った。

「八色高ってどこにあるの?」

 秋子さんも同じように視線を動かした。

「ここから自転車で十五分というところでしょうか。海からは離れていますよ。山のふもとにあって、のんびりしてて……。呑気なひとが多いですねえ」

 そのひとりが自分だと言わんばかりの調子だった。自覚はないんだろうが。

「でも、今年は吹奏楽が強いです。四月に顧問になった先生がとても優秀な方だそうで。県大会で金賞取って、秋には支部大会で演奏するんだとか。夏休みも返上みたいです」

「秋子さんは何か部活やってるの?」

「私は天文部です」

「へえ、星を見るんだ」

「慶衣さんと、あとコウくんって男の子と一緒に。でも、自分たちでも何の活動しているのかよく分かってないんですよね」

「いや、天文研究でしょ?」

 そんな取り留めのない雑談をしばらく交わした。

 五分程度だろうか。下腹にある感覚を催した。店内を見回したが目当ての設備が見当たらなかった。

「……秋子さん、ごめん、お手洗いどこ?」

「ああ、見えにくいですよね。カウンターの向こうです。行けば分かりますよ」

 礼を言って席を立った。秋子さんの言う通り、店の奥へ進むとカウンターが途切れたところに通路があった。薄暗い先にぼんやりとトイレマークが浮かんでいる。通路の右手には階段があり二階建てだったことを思い出した。脇の柱には『STAFF ONLY』のプレート。表のブラックボードの内容からするに二階はマスターと慶衣さんの住居だろう。横目に見ながら奥へ向かった。

 便座に座り息を吐いた。喧騒が途絶え静かになる。でも、それも一瞬だった。今度は静寂が音を運び込んでくる。空調が低く唸る音。鍋が突かれる音。椅子が引かれる音。階段を昇り降りする音。

 この店は酒を出すこともあるんだろうか。木製のドアに飲酒運転撲滅のポスターが張ってあった。紙面を飾っているのはじいちゃんの大好きなアイドルで、こんな仕事もしているんだなとぼんやり考えた。

 瞳を閉ざす。裏側に浮かんだのは朝の記憶だ。穴を掘ったり、犬を追いかけたり。彼女が現れてから、てんやわんやだ。

 執筆の時間は取れなかった。

(俺、何をどこまで書いてたんだっけ……)

 一文字も思い出せなかった。

 秋子さんが、虹へ向かって走って行く。

 不思議だった。どうして俺はこんな知らない場所にいるんだろう。この店も、海も、青い瞳の女の子も、昨日までの生活にはなかったものだ。なのに、こうやって腰を落ち着けている。 

 帰って続きを書かなければ。焦る気持ちがないわけではない。だが、それもまた他人事のように実感がなかった。肉体労働で疲れているのかも知れない。目を瞑り、身体の内側に意識を向けた。疲労感は心地良かった。


 席に戻った。日替わりどころか、お冷もまだ運ばれてきていない。さてはセルフかと視線を這わせたが給水機は見当たらなかった。友達だから後回しにされているんだろうか。背後を振り返りながら椅子を引いた。

「……すごいね、まだ解放されてないんだマスター」

「慶衣さんの言う通りになるかもですね」

 どんな重要な議題があるのだろう。『旅行』『おかあさん』『ショートステイ』というフレーズが耳に届いた。マスターは相も変わらず「そうですか」を連呼していた。

 さすが客商売。俺なら五分で卒倒してる。

 店の大きな架け時計に目をやり、それから対面に向き直った。

 秋子さんが腿の上に手を乗せ、行儀よく座っていた。

(……あれ?)

 違和感を覚えた。

 テーブルの上から手元を覗き込み、さらに足元を覗いた。

 やはりない。見落とすようなものでもないはずだ。一体どこに?

 顔を上げ、尋ねた。

「秋子さん、荷物どこ?」

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