第2話「国殺し」
十年前、風の強い
当時は北では火山
その病は
しかし病は
最後には
あらゆる医師が
しかし
あのね、お母さんが咳をしたら火の精霊さんが胸の中で燃えたの。
その言葉の意味を最初は理解しかねたフィルは、国王であり父でもあるバルドランドに進言した。
病の原因は精霊に何かしらの問題が起きているのではないかと。精霊術師に入念な調査を
最初はその言葉を聞かなかった国王だが、病の感染が止まらないのを見て精霊術師
精霊とは空気に
空気中に内在する精霊を
つまり多くの視る才能がある者には不可能であり、天才の中でも
病の原因がわかれば感染経路や根幹の解決へと
灰は風で流されていく間に
その精霊が風によってさらに勢いを増して国中に広がった結果が、原因不明の病の正体であった。
対策としては北風に
雨によって弱まった火の精霊は大地に
灰から生まれた火の精霊は大地にとって後の栄養分として豊かな
そうして国殺しと言われた病は精霊術師と
ヤーも当時の
だから解決された時は事態を収めた精霊術師という職業に尊敬を覚え、聖獣や精霊に興味を持ち、今の研究への道へと進む決意をした。
研究の指導を受けるなら病を解決に導いた精霊術師にあやかりたかったのだが、残念ながらその術師については
ハクタは小さくため息をついて動かないままのミカに視線を向ける。
「他にもミカは国王直下にいる精霊術師ですら視えなかったのが視えていた」
「国王直下って……
「だからミカはすごいんだよ。で、フィルはミカをこの件に関わらせたのかもな……もしくは」
「なによ?」
「いや、なんでもない」
そのまま口を閉じるハクタはそれ以上話さないかのように
ヤーもミカに才能があるとわかって
気付けば
その匂いをいち早く察知したヤーは「
食欲
女主人が
マリの誘いでヤーは宿屋に設置された大浴場に入っていた。あまり入浴習慣のないユルザック王国では
来客用に改装されているのか、
筒の上にはスイッチがあり、
ヤーはさっさと体を洗い流して湯気の立つ適温のお湯が満たされた湯船につかる。細身の体なのでお湯が
頭に
その様子をマリは
玉のような
その視線に気づいたマリは顔を真っ赤に染めつつ
マリは
服を着て仕事している時は
そしてなによりヤーの視線は湯船に
着やせするタイプかと判断してからヤーは自分の体に視線を移す。
研究ばかりで食事もおろそかにしているせいか肉付きが悪く、良く言えば細身で、ダイエットに
だがこうも明らかな女性としての差が目の前に現れたらやはり気になってしまう。そして
体の
「ひゃあ!?」
「む、アタシの手では掴み切れない!?」
明らかに手からはみ出る
二人が暴れてしまうせいで湯船からはどんどんお湯が
まず両手でも片方は掴み切れない、これでは男性の手でも肉がはみ出てしまうだろうという大きさ。
マシュマロという形容では表しきれない
これは
少年は
謝罪一つもなく、照れる顔すら見せず、ただ機械的に今は
マリの胸を
「いたたたたっ、ヤーさん、痛いです!」
「あ、んの……人形王子がぁ……」
だがヤーは
その内容にマリは
湯気の立つ体を必要最低限の下着とシャツ、動きやすい短いズボンで隠しつつ二階へと
するとしっかりと服着たミカがベットに
「アタシが何言いたいか、わかるわよね? わからないとは言わせないわよ?」
「すまん。
そのことを良く知っているハクタは長旅で
ハクタはまだ武術などで体力をつけているが、ミカはそうではない。思い出せる限りでは運動神経は良かったが、ここ五年の間は
無表情だがもしかしたら内面は
ミカを先に向かわせた数分後。剣の手入れを
しかし道中で明らかに数分前と変わらない姿のミカと浴場の
その前にゆっくりとした動きでミカが浴場への入り口横に
そこには時間制による男女交代のお知らせ。混浴禁止、現在女性時間と書かれた看板。そして
ハクタは内心
「ヤーとマリか?」
無言のミカは
お湯によって温められた体は
服装によって
「今はアンタの謝罪を聞く前に、そこの人形王子っ、アンタよ!!」
飛ばされた
至近
「
否定の一つでも飛んで来ればヤーは
しかしミカは何も言わないままヤーを見ている。ただし
部屋の壁。向こう側にある
それに気付いていないヤーは否定しないことを
殴られた部分が赤く
眺めていただけのハクタの方が痛々しい表情を浮かべるほど、ミカは一切の反応を見せなかった。
ヤーは信じられないと言わんばかりに目を丸くして、胸ぐらを掴んでいた手を
「なんで、ここまでされて、無反応なのよ!? 生きてるんでしょ、人間なんでしょ!?」
「っ、ヤー。今日はもう
「ハクタ、ちょ、
背中を押されて部屋から追い出されるヤーの
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