EPⅡ×Ⅳ【舞台の火《stage×fire》】

 ライムシア劇場午後六時。座席は空きが目立つものの、程々な来客数を個室席から見下ろすユーナとカナン。横には監視役の劇場関係者。

 十月三十日の昼頃、ユーナが魔法で劇場の壁を壊したせいで経営側から警戒されているということだ。襲ってきた赤帽子レッドキャップについては説明していない。

 というのも壁ごと吹っ飛ばしたからだ。今頃ロンダニアの街でうろうろしているかもしれないが、これから観劇するユーナにとっては関係ない話である。


 横で車椅子に座るカナンは、軽食を監視役の男性に頼んで軽く睨まれてしまう。肩を竦めてから、壁際の二階に位置する座席である利点を生かして劇場を見回す。

 眩い光に照らされるであろう舞台は赤い幕で隠されており、その前には中流階級以上と見られる紳士淑女が観劇する正面ストール席、後ろは二階となってバルコニー席。

 値段が安くなるほど舞台は鑑賞し辛くなるため、ドレス・サークル席やアッパー・サークル席からは服装も並ぶように品質が落ちていく。さらに上は天井浅敷ギャラリー席だが、劇場図面には載らず、ユーナ達がいる二階の席からでも遠い位置だ。


 個室席は一階も含めてユーナ達がチケットで取った場所以外は空席である。前評判が相当悪かったらしく、道理で幼いシェーナが個室席を買い取れたわけだと納得する。

 要は劇場関係者に少しでも集客に協力してもらおうと、関係者割り引きが大盤振る舞いだったのだろう。しかし劇場の仕組みから、個室席から見られる舞台はほぼ中央だけである。

 二つの劇場眼鏡オペラグラスを車椅子の座席下収納庫から取り出したカナンは、一つをユーナに渡す。常備しているのかと、ユーナは少しだけ驚いた。


「今日の劇は竜退治がテーマなんや。悪竜を操る魔女を勇者が打ち倒して平和を得るっちゅー、まあ王道やな」

「……なーんか、どこかで野蛮猿が関係者に吹き込んだのかと疑ってしまう内容ですわね」

「あははは。アルトんは演劇よりミュージックホールやん。飲食付きに大声で飲んで騒いで暴れる方が好きやしね」


 アイリッシュ連合王国では格の高い劇場の飲食禁止自体が暗黙の了解であり、中流階級向けの劇場でもクイーンズエイジ1843を契機に劇場法が改正されて、劇場内での飲酒を禁止とされた。

 これは正劇と呼ばれるシェイクボウガンの演目を、小劇場にも許可する代わりに行った制限である。一日の労働を酒で癒やす労働階級の者には大きな衝撃を与え、どうにか酒を飲みながら楽しめないかと画策した。

 その結果がミュージックホールである。演劇は上演許可証ライセンスが付与されないと行えないが、そこを誤魔化していくのが民衆の知恵である。


 音楽演奏も基本は許可証が必要だが、持っていない店は従業員のサービスとし、踊りと音楽は無償提供の形となって、誰もが知っている陽気な歌を客と店員全てが店内で合唱する。

 これには許可証の発行を担う行政局も手出しができず、爆発的にミュージックホールは増えることに。今も街角ではグラス片手に飲んで騒いで楽しむ時間が繰り広げられているだろう。


「目に浮かびますわね。あの野蛮猿が何処の誰とも知らない男性と肩を組みながら、陽気に歌って寂しさを紛らわせている姿が」

「アルトんは僕と同じで、寂しいと死んでまうんよ、きっと。ま、せやからこの劇は昔ながらの王道物語に音楽性を取り入れた歌劇ミュージカルに近い物や」

「……なんでこんなに集客が少ないのかしら? そんなに劇の内容が変なのかしら?」

「悪竜操る魔女は吸血鬼で、日光で滅ぶから夜中に奇襲しかけて朝まで持久戦を仕掛ける勇者の話が面白いと思うん?」


 疑問に疑問で返された形だが、ユーナは大いに納得した。つまりはスピード勝負の後半が延々と引き伸ばされる戦いを見る羽目になるのだろう。

 しかも、勇者汚い、と言わんばかりの姑息な作戦である。戦略という単語を使われたとしても、小狡いと一刀両断できる内容だ。英雄物語としてはあまり良い内容ではない。

 さらにどうやら魔女の吸血鬼設定から広がる世界観が、勇者の生い立ちや悪竜に繋がるわけでもなく、設定過多で開いた風呂敷を回収しきれない内容だということも追加で説明された。


「それでもシェーナんには大事な劇やん。コーラスでずっと心が折れそうな勇者を励ます精霊の役目とか。女にフラれて落ち込む勇者を歌で慰めたりするらしいんよ」

「女性問題で駄目になる勇者など辞めてしまえばいいのに!! そこらにいる近所のおばさまがフライパン片手に挑んだ方が勝ち目ありますわよ!」

「あ、それ面白そうやん。ええなぁ、フライパンにボッコボコにされる悪竜と魔女。さらに勇者へ説教するおばちゃん。世界の平和はおばちゃんが掴む、斬新ストーリーやね」

「そこまで膨らまされると……わたくしとしても反応できませんわよ……聖剣フライパンとか、喜劇コメディでしか通用しませんわ」


 監視役の男性が唇を一文字に引き結んでいるが、肩を震わせている。予想よりも笑いのツボに入ったらしく、咳払いで誤魔化そうとしていた。

 そんな話で時間を潰している間に開演の報知音ブザーが劇場内で鳴り響く。幕が上がり、勇者らしき俳優がのどかな村を背景に、目が痛くなるほどの照明スポットライトを浴びている。

 舞台に立っている本人も眩しいらしく、瞼を薄開き状態の情けない表情である。あれで本当に世界を救えるのか、観客の心が一つになる瞬間でもあった。


「め、目が痛い……蒸気照明スチームライトではないのです?」

「どうやら昔ながらの灰光灯ライムライトみたいやね。とある鉱物を利用した、高温による可視光やん」

「ライム……ああ、だからライムシア劇場なのかしら? わたくしてっきり果物の名前かと勘違いしてましたわ」

「そこまではわからんけど、蒸気灯が主流となっている中でこだわりがあるなんて、好感度高いわぁ」


 劇場眼鏡で俳優達の動きや劇内容を観察しながら、ユーナは舞台の上を照らす光源に違和感を持つ。カナンも同じことを考えたらしく、一番右の照明に目を向ける。

 村を旅立つ勇者がそこを通りかかった際、他の照明が強い分はっきりと浮き出る影が、照明の一つが消えていると明らかにしていた。照明係の不手際かもしれないが、設備関係となると公演後に点検するしかない。

 真っ白な光に照らされた俳優達は次々と動いていき、時には背景に沿うように合唱する子役達が舞台装置を動かしているのも目に見えていた。


「合唱隊が黒子くろこの役目も担っていますのね。勇者に起きる不思議な偶然や奇跡は、精霊である彼女達が起こしている、と」

「せやな。演出としては問題ないけど……物語が全てを台無しにしている感が半端ないなぁ。こりゃあかん」

「たまに照明の色が変わるのはどうしてかしら? 今も勇者が血に染まったところで赤くなりましたわ」

「それは色付きの透明紙セロファンを使ってるんや。最近では包装として人気あるやろ? 飴の包み紙もあれに変化しつつあるんや」


 ユーナは街で見かけた菓子販売店を思い出す。確かにここ近年、透明な包み紙が色鮮やかな飴を包んでおり、飴細工や水飴を染料することが増えている。

 この時期だとグイ・バッカス・ナイトで、端切れ人形を作った子供に渡すための飴玉袋が好調のはず。百貨店デパートでも女性への贈り物を包装する材料として勧められる。

 時には青い照明で夜を表し、赤で凄惨な状況や夕焼け、黄色では華やかな場面など。俳優達が流す汗さえも色鮮やかに変わっていた。


「そういえば舞台は暑いと聞きますけど、どういうことかしら?」

「照明のせいや。特に灰光灯は酸水素炎だけで2800℃。けどこれだけだと青白い弱い炎やん。そこに石灰ライムを含ませて、熱放射でスペクトル域の可視光を放つんや!」

「……つまり超熱いから、暑いということでよろしいかしら?」

「ユーナん、興味ないからって笑顔で流されると若干悲しいんやけど」


 カナンの目を輝かせた説明に対して、ユーナは笑顔で雑にまとめた。それに対してカナンは弱々しい抗議を出したが、素通りされる。

 もしもユーナがまとめなかった場合、軍艦の投光器まで発展させようとしたカナンとしては肩透かしである。男の浪漫は女の無価値であると実証された瞬間だ。

 舞台は進んでいく。ミレットは情けない勇者を奮い上がらせる姫役らしく、勇者が幼い姫を見て絶望しているのを、精霊である合唱隊が励ましている。


「しかし舞台で動いていると……本当にミレットさんは可愛いですわね。あの癇癪が嘘のよう」

「あははは。さすが女優ってことやん。それにしても前半にひたすら情けない勇者の姿を見せられ、後半は勇者の持久戦という名の小賢しい作戦を見る……どう思うん?」

「なんかもう姫役が勇者蹴り飛ばして伝説の剣を片手に挑んだ方が清々しい流れになってきましたわね。正直、あの勇者は村人Aでよろしいかと」

「村人A……出世物語にしたかったんやろうなぁ。これは脚本家の技術不足やけど、プロの仕事に素人は口出しするのはマナー違反やん。困ったもんや」


 主役の勇者よりもいきいきと動く姫役のミレットに観客の視線が集まる。灰光灯に照らされた姿は、生まれながらの女優を思わせた。

 しかしそのせいで勇者役の肩身が狭くなっていくようで、ミレット自体もまだ舞台の経験が少ないのだろうと印象づけるには充分である。

 上手く連携も取れていないようで、精霊役の合唱隊が役目によってはぶつかる時もある。席を立ち上がって途中退場する客も一人や二人ではない。


 そして劇は前半の終盤に差し掛かる。勇者が女神像へ向かって祈りを捧げ、そこに精霊が水を注ぐことで、浄化された女神の恩恵を与えられる場面である。

 照明によって光沢を得た女神像に視線を向けるカナンの目は厳しい。ユーナは舞台端で糸のように細長い物が光り輝いた異変に気付くが、それも合唱隊の声と共に消えた。

 水を注ぐ役目の精霊はシェーナらしく、女神への祈りである独唱ソロを歌いあげながら、手に持っていた桶の中身を像に少しずつかけていく。


 女神像が、燃えた。


 観客席から悲鳴が上がる。舞台の上では照明に負けないほど燃え盛る女神像が、勢いを止められないまま炎の柱を立ち上らせていく。

 一番近くにいたシェーナは白の衣装に火が燃え移り、祈りを捧げていた勇者役の男は悲鳴を上げて舞台袖へと走って逃げていった。

 ミレットが予備として残されていた桶を手にし、服が燃えて動転しているシェーナへと勢い良くかける。その火は消えたが、女神像の炎は止まらない。


 燃焼によって崩れ始めた像が傾き、ミレットとシェーナの方へと落ちていく。シェーナが濡れた体でミレットを抱きしめ、自分自身を盾に背中を像に向けた。

 カナンが嫌な予感を覚えて横を向いた時には遅かった。個室席の手摺りに足をかけたユーナが白魔法で身体能力を強化し、壁を走りながら舞台へと落下していく。

 二人の少女を突き飛ばし、腰に付けていた黒い革ベルトの留め具を外す。途端に抑え込まれていた黒の杖刀がユーナを守るように動き出し、落ちてくる女神像へ剣先を突きつける。


「ユーナん! 証拠品を壊したらあかん!!」

「っ!? 杖刀、わたくしを弾き飛ばして!!」


 人々の悲鳴に負けない大声で警告してきたカナンの言葉に従い、ユーナは杖刀に行動の変更を命じる。杖刀は一切迷わずに剣先をユーナへと向ける。

 長い杖のような刀身を活かし、回転してユーナの体を舞台袖まで飛ばす。そしてその体に付き添うように杖刀も飛んでいく。燃えた女神像は誰もいない舞台上で倒れ、消火されるまで炎の勢いを弱めなかった。

 炎は水をかけても勢いを増すことがあったが、念入りに大量の水を投入したおかげで鎮火する。その頃には座席に残っている観客も関係者の誘導に従い、劇場の外へと移動していた。


 エリックは一番遠い席からわざわざ舞台へと駆け付け、水に濡れたシェーナの安否を確かめようとするが、激昂する男の真っ赤な手の平で突き飛ばされた。

 目を回して倒れたエリックに駆け寄ったシェーナ、そんな彼女の服を掴む男。その顔は鬼のように怒りに満ちており、明らかな悪意が宿っている。


「お前が像を燃やしたんだな!! せっかくの舞台を壊しやがって!!」

「ち、ちが……アタシじゃ」

「なにが違うんだ!? あの時、燃える直前、細工できたのはお前だけなんだ!! お前しかいないんだ!!」


 怯えるシェーナに詰め寄るのは勇者役の男性だ。涙目になっている少女の胸倉を掴み、揺さぶるように怒りをぶつけていく。

 舞台に立っていた他の役者達もシェーナへと疑いの目を向ける。あの時、近くにいたのは祈りを捧げる勇者役の男性と、精霊役として水をかけるシェーナだけだった。

 そして勇者役の男は両手を組み、頭を下げて祈っている役を演じていた。彼は一切像に手を触れていなかったことが、ますますシェーナを追い詰めていく。


「さあ白状しろ!! 誰を狙った!? この薄汚い犯罪者が!!」

「ち、が……」

「言い訳など聞きたくねぇんだよ!! 何十、いや何百人が今夜の舞台に関わっていると思う!? 今日の観客を含めたら何千人だ!!」

「あ、たしじゃ……ちがうのに……」


 シェーナの声が小さくなっていく。尖っていく多数の視線に晒され、眼前には怒りの形相を浮かべる主役の男。

 体は震えるのに、心臓よりも奥の部分が凍りついていく。体内部が不自然に動きを止めたかのように、声が出なくなっていく。

 たった一回のアクシデントで何千人にも影響を与えるのが舞台だ。そのことを承知しているシェーナは、事の重大さと状況に押し潰されそうになる。


「こっちにこい!! 正直に話すまで倉庫に閉じ込めてやる!! 三日も入れば反省するだろう!」

「い、いや!! いやぁああああああああああああああああああ!!」


 手を抗えないほど強く握られ、激しい熱さまで感じて痛いほどの力で引きずられていく。その先に待ち構える恐怖に叫び声をあげた。

 しかし手を伸ばしてくれる人は皆無。水に濡れた冷たい体で十月のロンダニア、寒風が入り込む倉庫に閉じ込められてしまえば凍死する。

 力が入らない体と抵抗できない状況の中で、男の前に立ち塞がる人物がいた。紫色が照明によって鮮やかになり、髪に輝く黄金蝶が視線を奪う。


「邪魔すんなっ!! こいつが犯人なんだ!! 庇うならお前も閉じ込めるぞ、部外者風情がっ!!」

「どうぞ御自由に。ただし……わたくしは倉庫で大人しく震えているくらいなら、魔法で全て壊しますわ」


 静かな声を出しながら男を睨み上げるユーナ。その紫色の目に男は本能的に怯えた。とてつもない威圧が、自分よりも小さい目の前の少女を大きく見せている。

 ユーナは普段隠している魔導士の証明である鉱石のブローチを男の顔に投げつける。その形は竜、紫水晶の竜が勇者であった男の頬に浅い傷を作った。

 魔導士の証明として造形された鉱石、下位なら卵、中位は魚、上位は鳥。そして世界に七人しかいない最高位には敬意を表して竜の形が与えられる。


 男は顔面を鋭く横切って舞台上に落ちたブローチへとゆっくり振り返る。最高位魔導士、紫水晶、その全てが目の前の少女が誰かを伝えていく。

 それはシェーナも、ミレットも、エリックも、舞台にいた俳優達からも言葉を奪っていくには充分な衝撃だった。照明の下で輝くブローチはなにも語らないが、存在が全てを明かす。

 ユーナは見惚れるような笑顔を男へ向ける。顔が青ざめていく男とは正反対の、恐ろしいほど清々しい笑顔である。


「それでは倉庫とやらへ御一緒に案内してくださるかしら? この紫水晶宮の魔導士ユーナ・ヴィオレッドを」

「……………………」


 無理である。偉大なる女王に一字を与えられた最高位魔導士。その中でも最高の問題児と称されるほどの正体不明人物。

 ただし彼の者の行動は新聞で報じられる。多くの破壊痕跡と弁償金の支払い、数多の事件に名を残す、一般人には程遠い人物。

 そして思い出すのは歴史ある劇場の壁を魔法で壊した人物。不名誉な事実が、薄暗い黴に塗れた倉庫が吹き飛ばされる未来を如実に物語っている。


「それとも怯える少女は閉じ込めることができても、わたくしは無理だと? 随分な卑怯者ですこと」

「ぐっ、そ、そうじゃない!! こいつは犯人だ!! 逃がすわけにはいかない!! だから……」


 シェーナの腕を掴んだまま後退る男は焦燥の色を隠そうとしない。シェーナは男の力強さに涙を浮かべる。

 掴まれた部分から先の手は白くなりつつあり、濡れた衣装が着替えられない体は寒さで震え始めた。顔は青白くて生気がない。

 そして彼女へ向けられる視線の意味は変わらない。舞台を壊した犯人。その意味が少女から言葉を奪い、窮地へと追いやっていく。


「だからなんや? 真実を掴まんまま、全て舞台裏に隠そうとするんは卑怯やろ」

「だ、誰だ……って、また部外者か!? 車椅子野郎はお呼びじゃないんだ!! あっち行け!!」

「それはこっちの台詞や。アンタみたいな真実を白日に晒さないまま決めつけるん輩が、僕は一番嫌いなんや!! 男優アクターなら正々堂々と舞台で語れや!!」


 鼓膜を痺れるほど空気を震わしたカナンの大声に、シェーナ達だけでなくユーナも目を丸くした。肩を上下させるほどの大声を出して、カナンは太腿の上を擦る。

 額に汗を浮かべたカナンは深い息を吐き、車椅子の背もたれに体を預ける。しかしカナンの言葉に発破をかけられた二人が、男からシェーナを放そうとする。


「そ、そうよ! アンタは舞台から逃げたわ! でもこの子は逃げずに私を守ってくれた! ドレスも直してくれた! この子が犯人じゃないわ!!」


 ミレットが噛みつく勢いで男の腕を掴む。針子もしたこともない白く綺麗な手は、震えながらも強気なまま男を睨む。

 フリルから直したドレスは濡れていた。それはシェーナが像が倒れてくる際にミレットを抱きしめたからだ。動揺が広がる。


「お、俺は関係者じゃないけど……シェーナがこの舞台を壊すはずがない! だって独唱の部分を何度も暗記して、頑張ってたのを知ってる! 大抜擢だって喜んでいたのを知ってるんだ!!」


 エリックも男の指を剥がそうと両手で抵抗する。しかし男の力は強く、エリックが顔を真っ赤に染めながら力を込めてもびくともしない。

 それでも空気が変わる。言葉が、幼い二人の子供が、状況をひっくり返していく。そしてシェーナのことをよく知っている裏方の劇場関係者が、顔を見合わせて話していく。

 あんなに良い子が舞台を燃やすなんてあり得ない。なにかがおかしいのではないか。ミレットがあそこまで他人を気遣うなんて、明日は雪かしら。などなど。


「じゃ、じゃあ誰が犯人だ!? こいつ以外にいるはずがない!! 観客全てが証言者だ! 俳優も、関係者も、その全てが見ていたんだ!!」

「何千人の証言が揃おうとも、たとえ幾万の言葉が吐き出されようと、決定的な証拠一つが全てや。それが事件、それこそが真実……そして探偵の本領発揮や!! 僕が覆したる、この状況を!!」


 まっすぐ人差し指を男に突きつけたカナンの宣言と共に、シェーナの腕が解放される。エリックがシェーナを背に庇い、横でミレットが男を睨み上げる。

 同時に警察が現場へ到着した。ドバイカム・グレープ警部は眼前の状況と、またお前かとユーナがいることに辟易したのであった。





 警察の調査が始まる際に、カナンは現場を荒らさないという条件前提にドバイカムから許可を貰う。代わりにドバイカムが監視役となって傍で見張る役目に。

 多くの警官が像を囲んでは状況を見聞していき、使われた小道具や舞台に立っていた俳優からも調書を取っている。

 ドバイカムは優れない顔で全てを出し尽くすような息を吐く。証言者は観客全て。数千人相手に十人単位の警官を動かしていくのだ。


「相変わらずお前が現れると面倒ばかりだ、魔導士め!! さっさとブローチを出せ! 管理ギルド【魔導士協会】に与えられた道具で、魔法利用経歴を調べる!!」

「その舞台上に転がってますから御自由に。けど今回はわたくし、監視の人がいましたから魔法を使ってませんわよ」

「む? そう、なのか……って、どうせ事件が起こる前にも一騒動くらい起こしたんだろう! 誤魔化されんからな!!」

「名推理ですわ、警部! 御褒美に証人を差し上げますわ! こちらがわたくしとカナンさんの無実を示す御方!!」


 そしてドバイカムの眼前に差し出された監視役の劇場関係者は、困った顔でユーナとカナンは個室席で観劇していたと証言する。

 しかしユーナは像が燃えた後に個室席を飛びだして舞台に上がったこと、その際に壁走りを見せたのも話していく。

 ドバイカムの目つきが鋭くなり、やはり魔法を使っていたじゃないかとユーナを睨む。だがユーナは平然とした顔で素知らぬ振りをする。


「まあまあ、警部。ユーナんはずっと僕の横にいた。壁を走ったのは白魔法で、魔導士証明には刻まれん。つまり午後二時からの経歴が表示されん場合、ユーナんは魔法を使ってないということや」

「何故白魔法は経歴に出てこない!! あれは人体に作用する魔法のはずだ! 昔それで人体爆発事故が連続で起きたんだぞ!」

「それは常に白魔法で体を最高の状態に保っているからやん。そして白魔法は人体に作用するけど、物体には作用しない。つまり像を燃やす、なんてのは無理や」

「む、むぅ……そうか……やはり魔法など理解できん。だからコージ外勤主任も……」


 魔法が苦手なドバイカムは愚痴りながらも、監視役の男の証言でカナンが無実だと判明する。ちなみにユーナの疑いはまだ晴れない。

 紫水晶のブローチには魔導士として、魔法を使用した際に記録が残るように細工された一種の道具である。鉱石が年月を積み重ねていくのを利用した技術とも言える。

 黒魔導士以外の魔導士全てが証明を手にしていることにより、たとえ魔法による事件が起きても記録が根拠となる。ただし魔法記録はかなり曖昧である。


 ドバイカムの部下が魔方陣が刻まれた小型台座の上にブローチを置き、ボタンを幾つか操作していく。数十秒後に、光が台座から溢れる。

 その光がブローチへと収束し、竜の体全体が発光して空中に赤い文字を浮かび上がらせる。浮遊する文字には10/30・14:36としか書かれていない。

 光が消えた後は台座から巻物のように紙が伸びていく。台座に入力した期間の魔法使用履歴が紙に印字され、最新の利用経歴が魔法の色となって浮かぶだけなのだ。


「ふむ……確かに今日の午後二時三十六分に赤魔法使用以後、使用された魔法はないらしい……具体的になんの魔法を使って、なにをしでかしたんだお前は?」

まさかり担いだおばあさんを暴風で吹っ飛ばしただけですわ」

「なにをしでかしたんだお前は!? むしろそっちを何故通報しないんだ、お前は!!」

「警察の手を必要としないからですわ! 自己防衛です! ほら、コージさん最近忙しそうでしたし、悪いかなーと」


 同じギルド仲間であるコージの忙殺された姿を思い出し、ユーナは気遣うような気配を見せたが、ドバイカムの怒りを増長させるだけであった。


「そんな危険人物を吹っ飛ばして街に放つな!! いや……魔導士とはいえ一般人が危険人物に立ち向かうな! 助けを呼べ!!」

「おお、最後の最後で常識に辿り着きましたわね、警部。だって斧ですわよ? 助け呼ぶ前に殺されるくらいなら、吹っ飛ばした方が健全かと」

「全く話にならん! もういい! とりあえずお前は容疑から外れた! 探偵の助手でもなんでもやってろ!」

「ではお言葉に甘えて……現場へ向かいましょう、カナンさん。絶対あの勇者男こと、バルトン・グロッカに真実を突きつけましょう」


 やる気を見せるユーナと同調するようにカナンも大きく頷く。舞台で勇者の役を得た男、舞台から逃げた男、幼気な少女に大声で罪を被せようとした男、怒る理由はいくらでもある。


「あんな美しくない男にぎゃふんと言わせますわよ!」

「真実を無視した暴行、絶対許さん! いくで、ユーナん!」


 しかして二人の怒りはある意味見当違いな方向に進んでおり、到達地点が同じというだけで現場へと足を踏み入れる。

 舞台の真ん中には焼け焦げた像が倒れている。水に濡れた姿は木材で形を整えただけの簡素な物であり、見た目以上に軽いようである。

 周囲には白い粉や石のような塊、そして丸まった黄色の透明紙セロファンが散らばっている。カナンは車椅子の左肘掛けの操作盤で車椅子の車輪を機械腕アームへと変化させる。


「……それってマグナスさんの趣味ですか?」

「僕がお願いしたんや。指紋がつかない繊細な操作できる腕が欲しいって。面白いやろ?」


 言いながら車椅子の肘掛けに装備されている手袋を装着するカナン。車輪の鉄組みの部分が骨や関節となり、タイヤのゴムが裏返って皮膚の代わりにと変化していく。近くにいた警官が目を輝かせた。

 手袋の動きが車椅子の腕と連携し、機械とは思えない微細な動きで焦げた床の上に落ちていた白い塊と黄色の透明紙を掴む。それを眼前に持ってきたカナンは虫眼鏡ルーペを取り出す。


透明紙セロファンは熱で反る性質があるんや。ということはこれは像が燃えた際に一緒にあったんやな」

「でもそれは照明に使う物ですわよね? なぜ舞台の上に?」

「個室席から見ても光沢があった像……僕は光の反射を光沢と勘違いしたんやろな。つまりこれは像を包んだ透明紙や」

「しかし像は白かったですわ。決してこのような派手な黄色ではなかったはず」


 機械腕に摘み上げられた黄色の透明紙を見つめてユーナは疑問の声を出す。舞台上にあった像は白かった。同時に思い出す。


「そういえば像が燃える前、舞台袖に消えていく輝く糸を見ましたわ。それと関係あるのかしら」

「糸? ……せやな、きっと関係あるんや。けど重要なのは色やなくて透明紙やろなぁ。ユーナん、像をよく見てみ」


 言われてユーナは燃えた像を注視する。木の骨組みで造形した顔が半分以上焼失している。しかし表面らしき物はない。

 激しい炎と熱であったため、燃え尽きたのだろうかと考えるユーナの横で、透明袋に白い塊と透明紙を別々に入れるカナン。

 機械腕を車輪の形に戻し、上へ顔を向ける。そこには一番右端の灰光灯の明かりが消え失せた状態で暗がりとなっている。


「これは小道具担当と照明担当に話聞いた方がいいなぁ。いつから消えていたか、あの像の仕組みについてもや」

「カナン・ボイル、証言を聴取するならば私がメモを取ろう。警察の前で話せば正式な証言書となるはずだ」

「それは助かるわ。ほな、いこか。舞台裏」


 変形したとは思えない車輪が滑らかな動きで舞台の裏へと足を進める。役者達の動揺は治まらず、劇場関係者の中でも販売員は客の返金騒動で慌ただしい。

 暇そうなのは道具や照明の担当である裏方達で、一切容疑がないとわかっているからか、噂話で盛り上がっている。もちろん誰が犯人に相応しいかが一番の話題だ。

 特に小太りの青年と、細身の女性が深刻そうな顔で話し込んでいる。カナンはその様子に目を付け、いつもの調子で気さくに話しかける。


「なあ、アンタ達は誰が犯人だと思うん? できれば根拠もあると良いなぁ」

「え? あ……えっと……」

「あ、すまんな。僕はカナン・ボイル。私立探偵や」

「は、はひ! わ、わたひは、いえ、私は照明係のムルムでふゅ、いえ、です!」

「オイラは仕掛け道具係のドンタコスだよぉ。ああ、お腹空いたなぁ……この後ステーキ屋に行きたかったのになぁ」


 自己紹介して相手の素性を自然と聞き出すカナンは、変わらぬ調子で話を続けていく。


「ムルムさん、随分痩身やけど大丈夫なん? なんか心配事でもあるんか?」

「いえ……痩せてりゅ、いえ、るのは食生活を切り詰めて小銭稼いでいちぇ……いえ、て」


 何度も言葉を噛むムルムの外見は羽ペンよりも軽そうな痩せ型の女性だ。白髪交じりの髪型だが、年齢は二十代ほど。

 唇も渇いてひび割れしており、体も骨に皮を張りつけたようにしか見えない。動きやすい服装のせいで、逆に細さを際立たせている。

 何度も噛むのは少し伸びた前歯が舌の邪魔になるらしい。口元を隠して話すせいか、声も若干聞き辛い。


「あー、歯の矯正は高いもんなぁ。そんでもって腕の良い歯医者がいいもんな。せやけど、照明の熱で汗は出るんやから、ちゃんと食べなあかんよ」

「うっ!? どぉ、どうしてわたひ、いえ、私が歯の矯正しようと……いえ、探偵ですからわかりましゅ、わかりますよね……しゅいません」

「そういうわけじゃないけど……けど噛むのは滑舌のようやから、これを使うといいで」


 そう言ってカナンが取り出したのは和国で食事に使用される箸という道具と、折れ曲がるストローである。カナンはその二つの使い方を指示する。

 舌先にストローの折れ曲がった部分を当ててサ行の単語を告げる。箸を舌全体に押し付けながら言葉を出す、など変わった方法を教えている。

 素直に頷いたムルムはカナンに指示された通り言葉を出していく。すると次第に聞こえやすくなる言葉に、傍らにいたドンタコスが目を丸くする。


「うわぁ、ムルムさんいつもなに言っているかわからなかったのに……じゃあ僕の悩みはわかるかい?」


 興味を持ったドンタコスは小太りだが、指先は綺麗な形をしている。黄色の服のボタンも外れたのを縫った跡があり、清潔そうな外見だ。

 しかし脂汗の臭いが近づくと濃くなるのが難点だ。茶色の髪も脂で光っており、鼻息も少々荒い。足元の靴はペンキで鮮やかに汚れている。

 カナンは一通り観察した後、納得したように何度も頷いてから笑顔をドンタコスに向ける。


「痩せたいし新しい服買うお金も欲しい、やろ?」

「な、なんでわかったのぉ!? うう、そうなんだよぉ……恋人も欲しいけど、今のままじゃ駄目なんだ」

「そんなの食べる量を減らせばええんや。ムルムさんが食生活切り詰めて小銭稼いでいる言うてたやろ? 二人で協力しながらやってみい」

「あ、そうか!! ムルムさん、是非僕と一緒に!!」


 ムルムの両手を握って熱心な瞳を向けるドンタコス。ムルムは顔を真っ赤にし、何度も逡巡してから小さく頷く。


「ありがとう、探偵さん! お礼になんでも答えるよ! さあ好きなだけ聞くといい!」

「せやったらドンタコスさんは像の仕組み、ムルムさんは一番右の照明について教えてくれん?」

「お安い御用さ! えっとね、あの像は……光るんだ!!」


 ドンタコスは近くにあった紙へ簡単に女神像の仕組みを書いていく。器用な指先で大まかながら理解しやすい図柄をものの見事に再現した。

 仕組みは木の骨組みに黄色の透明紙を貼り付け、その上に石膏を砕いた粉で白く偽装し、さらに上から色のない透明紙を貼りつける。

 一番上の透明紙には細長いピアノ線をくっつけて、舞台の進行で像が観客の目から隠れるタイミングを見計らって引っ張る仕掛けを施していた。


「ピアノ線で左右から引っ張ると一番上の透明紙が破ける。これは手切れ性と呼ばれる透明紙の特徴で、飴紙でも試せるよ」

「じゃあわたくしが見たのは透明紙を破るための仕掛けでしたのね。でも何故?」

「石膏の粉が運ぶ際に服に付くと下の仕掛けが見えるからね。保護するためなんだ。それで使うのは二水石膏、いわゆる溶けやすい石膏なんだ。ただし石膏ボードにも使用されているから、耐火性があるはずなんだけどなぁ」

「豪快に燃えていましたけど……だけど一番下の黄色の透明紙はどういうことですか?」

「そりゃあ女神像が光るんだよ? 青や赤じゃ微妙じゃないか! だから派手で豪華な黄色が良いんだ! それを全ての照明を動かして輝かせるんだ!!」


 熱弁するドンタコスの目がユーナの髪飾りである黄金蝶に向けられている。服やお金問題といい、どうやら黄色が好きな様子である。

 本当は像の骨組みの内側に光源を仕掛けて、内部から光らせたかったらしいが移動の問題や遠隔操作の技術不足から断念したとのこと。


「でも確かに照明が一つ消えてたのはおかしいなぁ。今日の昼、リハの時は問題なく使えてたよね?」

「あ、はい。でも……本番前に点検してたら、中に配置していた石灰棒が消えていて、それを報告しようとしたんですけど壁が壊れたとか、ミレットさんが暴れてりゅ、いえ、るとか」

「そういえば今日は騒々しいことばかりだったもんね! バルトンさんが準備を手伝ってくれたけど、珍しかったよね」

「バルトンさん、いつも裏方には厳しいですから……役者がいるから舞台が成り立ち、それでお前達に金が入るんだと怒られた人も少々」


 ムルムと今日の内容、そして普段のバルトンについての噂が広がっていく。ドバイカムは微妙な顔をしながらその全てをメモしていく。

 バルトンは劇団ギルド【一角獣ユニコーン】のメンバーらしいが、普段は冴えない役しかないという。今回はたまたま代役で勇者になった経緯があるらしい。

 ライムシア劇場では劇団ギルドと劇場に属する俳優を混合し、舞台を作ることが多い。そのため道具係も混ぜていった。ムルムとドンタコスはシェーナと同じく、劇場所属だ。


「あの人、いっつも相手を見て偉ぶるから僕嫌いなんだよね。でも今日は優しくてさ、昼食を抜いてるだろって像の仕掛けを代わりにやってくれたんだよ」

「そういえば私も照明装置の仕組みを勉強したいと、お食事に誘われました。もしかしてこの劇場を少しだけしゅ、いえ、好きになってくれたのかな?」

「……桶の水もバルトンさんが用意したんか?」

「いいや。子役の一人が蹴って零しちゃってね。仕方ないから予備を作りつつ、新しく汲んだ正真正銘の水だよ!」


 ドンタコスが自信をもって告げた言葉にカナンが笑みを浮かべた。


「ありがとな、お二人さん。おかげで大体の目星がついたわ」

「あ、あの……本当にシェーナちゃんは犯人ではないですよね? あの子が頑張ってるの皆知ってるんです」

「そうだよ! 五年前から劇場の下働き初めて、二年前に舞台へ! まだ主役は貰ってないけど、絶対にめげないんだ! 偉いんだよ」

「ほら、それは……薔薇の人がいりゅ、いえ、るから」


 ムルムが告げた言葉にユーナが大きく反応する。それは恋の気配を察知した乙女としては正しく、目をぎらつかせるのは乙女としては不正解である。


「もしかしてシェーナさんが片思いしてる人って、贈り物に薔薇をくれる人ですの!?」

「え、ええ……千秋楽の日、五本の薔薇をシェーナちゃんが立った舞台の袖に置くんです。手紙で励ましてくれるんでしゅ、いえ、すよ。あとで尋ねてみるといいかもしれません」


 ドバイカムは事件に関係ないだろうとメモをしなかった。カナンも興味深そうに頷くだけでそれ以上は追及しない。

 二人に別れを告げてカナンは車椅子を動かしながら笑みを絶やさない。ユーナは薔薇の人という単語に気を取られ、事件のことを頭から忘れていた。


「くくっ……こうなったら犯人に赤っ恥かかせたろ。ドバイカム警部、表に避難した観客全てを劇場内に!! 事情聴取はもう必要あらへん!!」

「わかったのか!? い、一体誰が犯人なんだ!?」

「簡単やん。これは舞台を立つ前には全て準備が終わってたんや……そして水をかけるのは誰でも良かった! これは無差別の濡れ衣なんや!」

「よくわからんが……言う通りにしよう! これ以上の残業は御免だからな!! 必要な物は警官に指示してくれ!!」


 ドバイカムは慌てて劇場の外へと走りだす。千人単位の事情聴取を終了させ、再度劇場内へと案内する。その手間には時間がかかる。

 謎解きまでの時間を味わうようにカナンは車椅子を揺らす。獰猛な笑みが温厚な彼の表情を一変させていた。ユーナは探偵の横顔を覗き込み、同じように笑う。


「意地悪な人。嫌いじゃないですわ、そういうの」

「ユーナんも言うようになったなぁ。さあ、ここからが反撃の時間や!」

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