EPⅠ×Ⅲ【蒸気機関車《steam×locomotive》】

 フェンチェスト・ストリート駅。

 小型の駅であり、終着駅としての機能も果たす。

 整備倉庫も点在しており、整備車両用の道もいくつかびていた。


 蒸気自動車に乗っているユーナたちは、みょうに生活しゅうがするれん倉庫へと向かう。

 倉庫に整備ちゅうの一等車が安置されており、それを初めて見るジタンは言葉も出なかった。


 雨のにおいが外からただよう。

 しかし倉庫内部は機械油や鉄のにおいが鼻をき、うすぐらかべぎわには整備用具やたなが置かれている。

 不自然なほど大きなたるに、びた水道管がつながれている。

 てんじょうからつるされた蒸気灯スチームランプは、夜を予感しているように光量を増やしていた。


 倉庫内はほこりっぽいが、かわいた冷たさがここよい。

 遠くから聞こえる汽笛や車輪の音は、少年にとって現実ばなれしているように感じてしまう。

 かんがいふけるジタンにも構わず、アルトが大声を出す。


「おーい、ピンボケおっさん。きゅうかんだ。謝礼に蒸気機関自動車をやるからでてこい」


 はんきょうした声がまわり、別の言葉を呼び起こす。

 

「年上に向かってそのことづかいはないだろうが。しかし自動車はしい、すぐに連れてこい!」


 窓から手が伸び、招くように動く。

 男性の声にまどうジタンだが、ユーナがかれの背中をして歩きだした。

 アルトは倉庫のかたすみに車をめ、コージに車のかぎわたす。

 

 車両の中に入った少年は息をみ、妹をきしめる手がふるえた。

 蒸気機関車の車内自体が初めてだが、そのごうさに目がくらむ。

 

 上品なかべがみじゅうたん、内部を照らす蒸気灯がこうこうかがやく。

 備え付けの机には、使つかまれたタイプライターや水差しが置かれている。

 赤いとんが心地よさそうなしんだいは、れるのもこわくなるほどふかふかだ。


 その車両を自分の家に使うような男が、白衣を旅行かばんから取り出していた。

 片眼鏡モノクルを装着するぎわは慣れており、目を細める姿が様になっている。

 

 男はかたの下まで伸ばしたくろかみげ、まえがみも整える。

 彼は広い額が印象的だが、禿げる心配のないぎわは見事の一言である。


「こちらはジュオンさん」


 けいかいを続けるジタンに対し、ユーナがやわらかく声をかける。

 

「人助けギルド【流星の旗】の一員であり、医師めんきょもお持ちです」

「小生よりもそっちのしょうかいが先だ。名前は?」

「じ、ジタン」


 小声で名乗った少年に対し、ジュオンは理知的なみをかべる。

 

「よろしくな、ジタン」


 おだやかなあいさつ。だが少年はユーナの背後にかくれてしまった。

 ねこきらわれた気分のジュオンは肩をすくめ、りょうようぶくろを旅行鞄から取り出す。


「そのうでかかえているのが急患だろう。この寝台に乗せる前に……体を洗った方が良さそうだな」


 メルのよごれたはだを見て、ジュオンはしぶい顔を浮かべた。

 こびりついたはいすいに、あかどろしゅうを放っている。住んでいたかんきょうれつあくさを物語る、ひどい姿だ。

 

 この状態のままでは正しいしんさつもできない。

 車両の外で話し合っていた青年二人に、ジュオンは声を張り上げた。

 

そばにあるおけに水を張り、湯をかせ!」

「え? 火の用意は……」

「ボタンを押せ。それだけでいい」

 

 樽に近付けば、最新どころが発表もされていないかし機能付きの蒸気機関風呂スチームバスであった。

 流通も整っていない製品の登場に、コージはおどろいた顔でかえる。


「こ、これは!?」

「マダム・ビヨンドからだ。実験体代わりに、この車両を短期間借用してるんだ」

「それって危険性があるのでは?」

「安心しろ。ミスター・ウォーカーの自信作だ」

「りょ、りょうかいした。相変わらずジュオンさんの人脈が計り知れない……」


 感心するコージの背後では、アルトが適当なボタンを押しておけを操作。

 こぽこぽ、とあわが立ち始める。ゆるやかに湯気がのぼり、冷たかった空気を暖めていた。


「ジタン、妹さんをおで洗いましょう」

「え……?」


 基本は冷たい水での行水しか体験していないジタンは、だいじょうかと視線でうったえる。

 妹は熱に浮かされる意識があやふやな状態だ。熱い水に触れさせて問題ないのか。

 下手すると死んでしまうのではないかと、妹を抱えたままあと退ずさる。


「風呂には保温効果があるんだ」

「?」

「湯冷ましは危険だが体を清潔にしないといけない」

「……?」


 説得を試みるジュオンだが、少年にとってみのうすい知識。

 視界に映るのは、疑問が消えない表情だけ。長いいきがこぼれた。


びょうげんきんが体に付着している状態が長引くだけだ。小生を信じなくてもいいが、助けたいなら動け」


 じゃっかん投げやりな結論をわたし、ジュオンは器具の準備を進めていく。

 ユーナはろたえる少年の背中を軽く押し、車両の外ヘうながした。

 

「洗い方ならばコージさんが教えてくれますから、妹さんのためにもお願いします」

「で、でも」

「あ、このせっけん使っていいですわ。ジュオンさんの私物なので、てきかおりがしますわよ」


 あまい香りが漂う石鹸にジタンはこうしんうずき、うなずいてそくにコージの元へした。

 しかしジュオンにとっては、首が痛むほどの速度でくにはじゅうぶんだった。

 

「小生のブランド石鹸!? ぐっ……仕方ない。今日だけ特別だ」


 うらみがましい目を向けながらも、ジュオンはしぶしぶじゅつの用意を調ととのえていく。

 車両の窓からうかがえば、アルトの姿は消えていた。

 しかし気にめず、平然としている少女に視線を向ける。あと少しで準備が終わる段階で、めんそうにたずねた。


「もうなにがあっても驚かないからな。この間なんか……」

「カンドていこくはっしょうのカルト教団であり、『破壊の女神レリック』をしんこうするザキル団ですわ」


 今までの事件を総ざらいし、文句を言おうとした。

 しかし聞こえてきた名前にどうようし、薬瓶を落としそうになる。

 新記録でも打ち出せそうな速度で受け止めるが、それ以上に動揺が治まらない。


「あんまりメルの体を見るなよ」

「善処する」

「好きになってもいいけど、れんあいだからな」

「そういう心配だったのか!? 幼子に手を出すほど女日照りに見えるのか!?」

 

 にぎやかな声が倉庫の中にひびき、少しだけ少年がコージに歩み寄っていた。

 初めての熱湯風呂にジタンは、年相応にはしゃいでいた。肌があわしびれる感覚を、温かいと知る。

 誤解されかけているコージは苦笑いだが、少年のじゃな様子はほほましいものだった。

 

 平和な光景に見えるが、妹の意識はゆめごこのままかくせいしていない。

 その意味を理解しているユーナは溜め息をつき、肩を竦めて説明を始めた。


「事の始まりはばんざるですわよ……安全ひつぎってわかります?」

「昔に流行した小説で見たぞ。めが題材で、きょうあおられた人々が開発した棺――くらいはな」


 小説の内容を思い出して、ジュオンはとりはだを立たせる。

 空気が消えて苦しくなっていく過程と、つぶされそうな恐怖のびょうしゃ

 その生々しさはひつぜつくしがたく、他人にすすめるにはおそろしすぎるものだった。

 

「とある墓場でめられて数年の棺からひびくんですよ、呼び出し鐘ベルが」

「……」

「チリン、チリン、と夜明けまでずっと……いっげつほど毎日続いたらしいですわ」

「うわぁ」


 暗い夜のきりの中で、れない小さなかね

 それを具体的におもかべたジュオンは、もう一度鳥肌を立たせた。


「それが一つならまだいいですわよ」

「複数かよ」

「十、十五……それ以上の墓が、鐘を鳴らしていたようです」


 げんなりしてきたジュオンにも構わず、話を続ける。


「チリリン、リリリン、と合奏。挙げ句の果てには、死体が動き回るとかいううわさまで発展したらしくて」

「いきなり気がる話だが、どう関係があるんだ? 全く繋がらない気がするんだが」


 体をれいに洗われた妹を、タオルでくジタン。

 彼の横には、いつの間にかもどってきたアルトが立っていた。

 かみぶくろを手にしており、えがかれているがらは有名な仕立屋のものだ。

 

 コージが驚いたように声をかけ、渡された領収書に悲鳴を上げた。

 さわがしい声が倉庫に響き、ジタンが「静かにしやがれ」とおこる。

 だがメルに目覚める気配はない。こんこんねむり続けている。


「約三か月前に死んだ工場主任」


 小さな新聞記事を取り出す。

 ポケットに入れていたせいでしわだらけだが、内容を読むには申し分ない。

 川に浮かんだ水死体。こうさつあとが残っており、警察が目下そう中だ。


「もしかしてジラルドさんか? あの人は良いおっさんだった」


 心当たりがあるジュオンは、しみじみとつぶやく。

 浅黒い肌が健康的な男で、やさしい笑みが似合う人物だった。


「子供が好きでな。工場の仕事が終わった後、学校に行けない子に計算や語学を教えていたからな」

「彼の墓も鐘を鳴らし始めたということで、ヴィクトリアさんからアルトさんへらいがありました」

「マダムの依頼か。難題をふっかけられたな」

「気軽にったのがちがいでしたわ」


 意地悪に笑うジュオンを見つめつつ、肩を落とす。

 

「いざ墓場に行ったらどこかの鹿ほうじんを描いて『どっかのなにかレリック』を引き出す予定だったようですわ」

「死体に残ったりょくを利用した青ほうの一種でいいのか? それとも緑魔法?」

「それについてはまた後に。とりあえずぼうがいはしたのですが、死体があふれかえっておそってきました」

「うわぁ」

「気持ち悪いというのに野蛮猿はおもしろがるし……つい、あれを」


 ジュオンの目に浮かぶ。

 霧が深い夜。冷たい地面からてきた死体が、くさった体で動き回る。

 アルトは器用にけながら、ユーナの感情をさかでするようなちょうはつを続けただろう。

 

 すぐにでもアルトをなぐりたいのに、死体がじゃして思う通りにいかない。

 最終的にきょうこう手段。全ての死体をしょうきゃくできるような――あわよくばアルトも始末できること。

 問題解決が可能な『破滅竜レリック』。それを魔法で呼んだのだろう、と。


「どうやら別事件があったようでして、ジタンはその時に警察の保護下に。そして今に至りますわ」

「本当にアルトがむ依頼はろくなのがないな。でもジタンを助けようと言いだしたのはお前だろう?」


 大体の事情をあくし、人助けのほったんである少女を軽くにらむ。

 

「妹を助けたい少年を、無下にあつかうのはわたくしの美意識に反しますもの。それにひとすじなわじゃないみたいですし」

「いつものことだろうが、それ」


 あきれた様子でぼやくが、むらさきいろひとみらがない。

 正義感で動いているならば苦言を渡せる。

 だが完全な自己満足で行動するため、説教も無意味だ。

 

 ジタンが妹を抱きかかえ、車両に入ってくる。きょうだいからは清潔な香りが漂っていた。

 真新しい服を着たメルは、ちがえるように愛らしい顔だった。

 しかし苦しそうにうめいている。呼吸も速く、あせも酷い。

 

 乾いたばかりの黒いかみは波打ち、肌に血の気はない。

 青いエプロンドレスでも、隠しきれない病気の深刻さ。

 ジュオンは少女の額に手を当て、様子を窺いながら白魔法を使う。


風邪かぜこじらせてるには、魔力の流れがおかしい。心当たりは?」

「額に第三の目が血で描かれていましたわ」


 お湯で消えてしまったこんせきだが、指先で額をなぞる。

 ぴりっと痺れる感覚が、かんとなって腕を伝った。


「血は黒き母へのおくものである。ザキル団がほどこしたならば――緑魔法の応用ですわ」

「……おい、さっきの件は魔方陣で引き出すと言ってたよな? まさか!?」

「確証はありません。だけど死体が勝手に動き出したなら、緑魔法で簡単に説明がつきますもの」


 舌打ちしたいしょうどうえ、白魔法で魔力の流れを変えていく。

 痛みの軽減により安定して眠る妹が、ジタンの目には映っていた。

 

 アルトと共にコージが、車両にゆっくり入ってくる。

 寝台で横になっている少女のりょうが始まっており、邪魔しないように二人は壁際に寄る。

 

 不安そうな顔をするジタンの肩を抱いて、ユーナは少し考えた。

 気付かれないように、つえがたなをジタンに触れさせる。

 急性的なひんけつに似たしょうじょうが起き、ジタンはあっという間に気絶した。


「コージさん、ジタンを横に」

「あ、ああ……」


 少女の強硬手段はとっぱつすぎるため、慣れているコージさえも少し戸惑う。

 空いている寝台に少年をかせようと、優しく運んでいく。

 

「緑魔法は『神など伝説上の存在レリック』を、自分の体にひょうさせる魔法ですわ」

「さっきの続きか。それで?」


 治療の手も止めず、ジュオンは聞き耳を立てる。

 

「死体が動いたならば、魔力に引き寄せられた『なにかレリック』がいるはずですわ」


 説明を続けたユーナに、非難の視線を向ける。聞かせたくないとはいえ、手段があらすぎた。

 ジュオンの睨みを無視して、少女は頭の中に仮定を組み立てる。


「どうも墓場の横に彼をさそんだのが、ぐうぜんではない気がしますわね」


 寝台で毛布にくるまるジタン。そのがおは幼く、コージが思わず頭をでるほどだ。

 

「それに追っ手。赤魔法を使ったやつもいました」

「火球を投げた者か。あれがどうして赤魔法と?」


 ぼくな質問に対し、あっさりとした返答。

 

素人しろうとに教えるならば、一番楽ですもの」


 魔法が楽と言われても、コージにはいまいちピンとこなかった。

 

「察知する前に飛んできた。つまり魔力に任せた、そっこうせいの魔法ですから」

「姫さんはザキル団に魔法を教授した奴がいて、そいつが主導権をにぎっていると?」


 アルトのまとめに小さく頷く。簡素だが、一番わかりやすい結論。

 しかし治療を続けるジュオンは、ぶっそうな内容に思わず口をはさんだ。


「追っ手はどうなった?」

「杖刀のかつやくにより、まとめてダムズ川に落ちましたわ」

「それは暴挙だ。絶対、その物騒なものを小生に近付けるなよ!」


 帯刀されている黒い杖刀。大人しく見えるが、今にも動きそうなあやしい気配を発している。

 それを恐れ、警告する。魔力を吸われては治療どころではない。

 

 魔力の流れをほぼ正常に戻したおかげか、メルは少しずつすこやかないきを立てていた。

 しかし熱による汗が酷く、額に手を当て続けているジュオンの手もれている。


「コージ、タオルを水に濡らしてくれ」

「わかりました」

「氷を魔法で作れるか?」

「もちろんですわ」

 

 人手が欲しい。足りないものはその場で補っていく。

 次々に指示を出していくジュオンは、ひまそうにしているアルトに声をかける。


「そこに米があるだろ。いの作れ。かったらぶっ飛ばす」

「なんでおれ様だけ強い口調なんだよ。リゾット風味にするか」


 ぶつぶつと文句を言いつつ、アルトはいっしょに置かれていた野菜に目をつける。

 秋の寒い風を肌が感じてしまうと、しるを求めてしまう。

 野菜スープを作り、そこに米を入れようとなべを探す。

 

「――海の果てで眠るひょうかいに願うは冷たきおんけいくだけたつぶいのりをめてすくげよう、白い風よゆうきゅうなれ――」


 ぼんの上に白の氷塊。こぶしだいほどで、そう簡単にけそうになかった。

 現れた氷の表面にはしもが降りていた。すると車両に寒風がんだ気がして、コージは身を震わせた。

 かんかんと屋根を打つ雨の音が、倉庫内のせいじゃくくずした。

 

「雨も降り始めたようだ。私は警察署と借家ギルドホームに電報を送ってくるとしよう」

「そうだな。今夜一晩は様子を見た方がいい」

「敵の心配は?」

「ここはマダム・ビヨンドが立ち上げた鉄道会社の駅だ。ゆうしゅうな警備員もやとっているから、しょうがきいているぞ」


 胸を張って語るジュオンだったが、そのせいでアルトのじゃあくな笑みに気づかなかった。

 電信機器を探すコージに、意地悪な耳打ち。


「んなっ!?」

「おっと。あせるなよ、男前」


 さけびそうになった口を押さえる。明らかに予測していた動き。


 しんな青年達の動向には、少女も察知していた。

 どうせろくでもないことだろうと考え、あっさりと視線をらす。


 コージが倉庫から出て行く。その足取りはとてつもなく重い。

 しかしアルトは鼻歌を口ずさみ、小型アルコールランプに火をける。

 ランプの上に鍋を置き、材料を入れていく。にやにやと笑いながらむ姿は、悪いじょのようだった。


 その晩は一等車両による宿しゅくはくをジタンに伝え、リゾットを食べる流れになった。

 それでもメルは目覚めない。まるでなにかにとらわれているように、兄の声にすら反応しなかった。




 雨はんだが、汚れた蒸気がめぐらされた薄暗い朝。


「え?」

 

 倉庫にやって来た警官達に、治療ほうしゅうの車をおうしゅうされるジュオン。

 コージが何度もあやまっているが、恨みがましい視線はアルトに向ける。

 

「善良な市民の報告により、車内に爆弾ダイナマイトが積まれているのがわかりました」


 実際にその様子を見せられては、言葉が出てこなかった。

 ジタンは警察にいい思い出があまりないので、一等車両内で姿を隠している。


「いやー、事故にう前でよかったな、ピンボケおっさん」


 陽気な明るい声。けいはくな態度は、腹立たしさをぞうふくさせる。


「これも警察コージに通報した善良な一般市民俺様に感謝しないとな?」

「お・ま・え・か! 最初からわかって、コージに警察署へ電報を送らせたな!」


 アルトにつかみかかろうとするジュオンだったが、背後からめにされてしまう。

 警察の前で事件を起こすのは得策ではないため、コージがけんめいに止めるのであった。

 

「本当にすまない。しかし警察としては危険物は見過ごせない。時間はかかりますが、なんとか上に計らいますから」

「これだからお前達はやっかい事ばかりなんだ! コージ、お前は悪くない!」


 悲痛な叫びに、ユーナは深く頷く。ただしかのじょも原因の一つであった。

 しかし助けられるようなことではないので、だまって成り行きを見守る。

 あっという間に車を持って行かれ、倉庫のゆかつんいで悲しむジュオン。


「仕方ない。看病もあるし、うか」


 そう告げたジュオンは、旅行鞄に荷物をまとめようと歩き出す。

 警察が去ったのをかくにんし、ジタンは一等車両から降りてくる。腕には妹を抱いていた。


「重いだろう。持ってやろうか?」

「やだ」


 打ち解けたと思っていたアルトだったが、首を横にられた事実を受け止められない。

 笑みが固まった青年に対し、少年からついげきが入る。

 

「アルトの話すことは面白いけど……信じたら痛いそう」

「はーはっははははは、ざまあみろ! 幼子にすらほんしょうかれていやがる!」

「うるせぇっ、キャラブレブレのピンボケおっさんが!」


 高笑いするジュオンに対して、耳を赤くしながらる。

 その様子を微笑ましいとながめていたコージだが、姿勢を正して振り返る。


「私は署に出勤するため、ここまでだ。後はたのめるか?」

「もちろんです。くわしいことわかったら、電報をお願いしますわ」

「了解だ。そちらもよろしくな」

 

 コージはごりしそうに背中を向け、整備倉庫から去っていった。

 たよりになる人物が一人消え、少女は少しだけ頭が痛くなる気がした。


「はい、そこ。機関車で借家にいきますわよ」

「おっさんが!」

「アルトが!」

「平手ではったおしますわよ」


 近くに置かれていたドラムかんたたく。

 手の平型の穴が空き、中に入っていた水がす。大道芸人がろうする水芸のように、勢いが強い。

 次は自分の番だと理解し、二人は顔を青ざめさせる。しゅくしゅくと従う道を選ぶのであった。


「野蛮猿、他にも隠していませんか?」

「どうだろうなー」


 駅の改札口に向かいながらユーナは考える。

 味方であるアルトだが、事件をややこしくする要因でもある。

 しかしかくしんに近い部分にいることも確かなのだ。


「ジタン、小生の白衣を掴むといい」

「でもメルが……」

「だったら小生が抱えよう。だれかの足にぶつかる不安もなくなるだろう?」

「……」

 

 観光客や労働者、しんしゅくじょ。混雑しながらも、不思議なゆうを見せる駅。

 小さなジタンは埋もれそうで、さきほどから何人かにうっとうしそうな視線を向けられていた。


「……落としたら許さない」

「わかってる。大事にするさ」

 

 腕の中で眠る少女に手を当て、白魔法による治療を再開する。

 動きながらも他人に魔力を流せるゆうと知識。そして大人なづかいに、少女は感心する。


「ジタン、ジュオンさんは本当にすごいですのよ」

「どこらへんが?」

「白魔法は他の魔法とちがい、魔力を使って体にかんしょうします」


 魔法の違いに詳しくない少年だが、体に作用するのだととらえた。

 見えない力で、体をやす。傷薬のようなものかと、雑に把握する。

 

「そのため体の構造にひたすら詳しいか、感覚で行うかの二極に別れますわ」

「だけど他人の体に自分の魔力で干渉するのは、前者じゃないと危険なこうなんだぜ」


 アルトの補足に、少年は用心深く睨む。

 だがジュオンは変わらぬ様子のまま、人混みをさっそうと歩いていた。

 

「動きながら誰かを治療するのは難しいですわ」

「……」

「ジュオンさんに感謝しとくといいですわよ」


 大半に要領を得なかった少年だが、感謝という部分で気まずそうな表情を作る。

 なおになれないのだろうと、ユーナはあえて見過ごす。

 

 しかもジュオンは「背中がかゆくなるからお礼はいい」と、背中しに声をかけてきた。

 ますますジタンは言葉を失くしていく。縮こまった姿は、どこにでもいる少年そのものだった。


「野蛮猿。あの車もむらさきすいしょう宮の魔導士をダシに、賭博ギャンブルで手に入れたとか言ってましたわよね?」

「うげっ。姫さん、おぼえてたのかよ」


 話題をえるための追求だったが、あからさまにアルトが動揺した。

 強く睨まれてしまい、軽い口がぺらぺらと動き出す。


「俺様も入手した後で爆弾に気付いてさ。それを調べてたら、ごうおばさんと同じ結論になっただけ」


 額に青筋が浮かんだ少女は、いやふくめて怒鳴る。

 

「つまり墓場からのあれやこれも、大体は把握済みと。帰ったら説教ですからね!」

「黄金ばあさんに比べたら、姫さんの説教なんてわいいもんよ」

「……」

「和国で魔法を広げててばんばんざいだわ。あの婆さんに勝てる奴なんていねぇからな」


 アルトの最後の言葉に、深々と頷く。

 遠い目で、駅構内に入ってくる機関車を眺めた。

 

 乗車から降車、そして徒歩まで。

 五人は問題なく、スタッズストリート108番の借家まで辿たどいた。

 

 帰って来た音を察知したナギサが、メイド服姿でむかえる。

 愛らしいがおだが、白い髪に混じるももいろかげは少し特異だった。

 黒い目は大きく、丸い顔とも相まって幼く見える。


 本人のしゅと敬愛する相手をて、ぎりぎりまでいどんだひざたけスカートの評判は悪くない。

 しかし今も転びそうになり、スカートがあやうい高さまでまくり上がった。


「お姉さま、お帰りなさいませ! ジュオンさんもお久しぶりです!」

「ああ、元気そうだな。ナギサちゃんはまだ感覚で白魔法を使ってんのか?」

「えへへ。たまにお皿を縦に割ったりしますが、元気です! あ、お子さんですか?」


 はつらつとした大声を浴びながら、ジュオンは子連れとかんちがいされたことにショックを受けた。

 

「ナギサちゃん相手じゃ怒れないが、違うんだ。おーい、ヤシロ。今すぐどこの準備を!」


 苦笑いしつつ、しょうしつを呼ぶ。

 予期していたように、ヤシロが階段を下りてくる。


「二階の居間。準備はできている」


 冷静な様子のまま告げ、執事は食堂の方へと歩いて行く。

 階段上からのぞむように顔を出した美少女が、ユーナを一目見るや階段をりてきた。

 少女に抱きつく彼女の後ろをゆっくりと追うのが、物静かな美青年である。


「大変よん! ヤシロくんが一晩がんってくれたけど、だんぼう器がこわれちゃったわん!」

「ああ、やっぱりですか」


 しんしゃしゅうげきと、ナギサのいちげきが効いたのだろう。

 予知できた内容に、少女はおどろくことはなかった。

 

「新しいの買うかで話し合っていたけど、どうするん?」

「リーダーはコージさんですから、一声かけたいですけど……チドリさん、制作ギルド【唐獅子】はなんと?」


 美少女に抱きつかれたまま、美青年へと問いかける。

 美しきふたは目のうるおいであり、強いげきともなっていた。

 

「直せないようなら新しいのをゆずると」

「あら? お優しいような……」

「ただし用件があるとのことだ。気になる依頼がんで、意見が聞きたいらしい」


 オイシイ話は存在せず、タダより高いものもない。

 それを痛感し、少女は簡単な予測を立てる。

 

「サハラさんが怪しむならば、意味がありますわね。マグナスさんは根がおひとしで、他人を疑いませんから……」


 抱きついてきた美少女になされるがままの体勢で、少女は用事が増えたと息をく。

 最中にジタンはれていた。二度目でも、目がはなせない。

 

 美少女――ハトリははなやかなドレスを着ている。ストライプ模様が波打つ、しゃた布地だ。

 美しいきんぱつが背中を流れ、愛くるしい表情で緑の目を輝かせる。

 いちごのようなくちびるから出てくる声は、かなの歌声とさっかくするほどだ。

 

 彼女の後ろにたたずむ美青年――チドリと顔が似ていたが、彼のかみいろは黄土色に近い。

 目の色も落ち着いた深緑。自前のしきさいは、美少女に比べればしずんでいる。

 ただし仕立てのいいスーツにストライプのチョッキなど。服装センスがこくしいた。


「俺様を忘れ過ぎじゃない? 挨拶くらいしてくれよ」

「アルトくんはさびしがりねん。アタシの胸なら貸してあげるわよん!」

「それじゃあお言葉に甘えて存分に!」


 少女から離れ、りょううでを広げたハトリ。

 その豊かな胸に、アルトの視線が全て注がれる。

 コルセットでも隠しきれないきょにゅうに、下心が盛り上がる。

 

 そんな彼と美少女の間に立つのがチドリである。

 無言であつをかけるが、青年は挑発するように少しずつ近づく。

 しようと美青年が道をさえぎり、どちらも譲らない。


 呆れた少女がジタンを連れ、メイドと共に居間へ歩いて行く。

 すでにジュオンは二階の居間に進んでおり、美少女も一進一退のこうぼうに背を向けていた。


 取り残された二人は、溜め息を吐く。

 その動作がそろったことにいやそうな表情を浮かべ、たがいに視線を逸らした。


 二階の居間は少しだけ様変わりしていた。

 蒸気機関暖房器の横に工具箱が置かれており、へこんだ跡が残っている。

 ナギサはあせを流しながら、それを見ないように努める。

 

 ヤシロが用意していた寝床は、二人分だった。

 一晩中修理していた執事と、それに付き添うナギサのために作った簡易的なものだ。

 それでもメルの体には、一人分だけでも大きいくらいだった。


「熱で長いこと食事を口にしていない」

「流動食やスープが適切か。うすあじにしておく」

「スプーンひとさじでもいいから飲ませたいが……意識が戻らん」


 食堂から軽食を持ってきていた執事だが、それをメイドに渡す。

 改めて食事を作るため、彼は階段を下りていった。

 

「妹さんもザキル団にせっしょくさせましたわね。そこで治療としょうして、あの血で描かれた目を?」

「う、うん。俺があたえられた仕事を成功すれば、次には永遠に病気にならない方法もさずけるって……失敗したけど」


 問いかけに答える少年だが、思い出すのさえ苦痛という表情を浮かべている。

 

「その時、他に変なこと言ってませんでしたか? 少しでもいいので、教えてくださいな」


 視線を合わせるように床へひざをつき、ジタンのりょうかたを抱く。

 強いむらさきの瞳が燃えているような気がして、ジタンは手の中に汗をにじませた。


「えっと『女神に選ばれた体ならば、大丈夫。すぐに治るけど、それは俺だい。前準備として、少々操作する』って」

貴方あなた次第? そういえばシーツに包まってげてましたけど、その前のじょうきょうを教えてくれますか?」


 おびえたような表情を浮かべるが、少女の力強い視線に負けた。

 昨日の新聞を求めると、すぐにメイドが勉強用の新聞を持ってくる。

 

 並んだ死亡記事、その内の一つをジタンは指差す。

 絞殺されたしょうがベットの上で見つかった。簡潔な記事で、それ以上は書かれていない。

 指先が震えるのを反対の手で押さえるが、体全体がしんどうしているせいで止まらない。


「ここに連れてかれた」


 小さな子供を連れて行くには、さわしくない場所。

 少女の内心にいかりのほのおが燃え上がり、ちりちりと広がる。

 それを理性でとどめながら、続きの言葉を待つ。


はだかになった子供には警戒しないとかで、ベットに。でも苦しそうな顔を見たら、無理だった」


 かすれて消えそうな声。

 少年の手を握りしめ、新聞を彼から離す。

 

「しかし殺されている――ということは、連れてきた相手が代わりにやったようですわね。野蛮猿、このしょうかんって有名ですの?」

「姫さんが俺様に下世話な意見を求めた!? 明日は雨じゃなくて雪か。どれどれ……うわ、かなりの高級娼館だ」

「わたくしはこういうのに詳しくないんですの。知りたくもありません! しかし今だけは感謝しますわ!!」


 怒りながらお礼を告げ、新聞を眺めていく。


 昨日の新聞一面には夜に急に現れた竜の恐ろしさを語る記事。

 他を見ていけば、上流階級によるカンド帝国への訪問記録がはなばなしくかざられている。

 和国への強気な姿勢による外交と条約、下の広告記事にはゆくめいむすめを探す声が多い。

 

 一昨日と今日の新聞を求めたユーナに、執事がいち早く察知してその手に届ける。

 やはり一般市民の要望もる広告記事に、情報求む声が溢れていた。


「一昨日と昨日はけいさいされているけど、今日はない。居場所がわかったから、不要になったのですね」


 ユーナの目にはおおぎょうな一面も、政治や経済の記事も映っていない。

 記者でなくても書ける場所。お金を出せば、内容問わず。

 はばひろく利用される下部の広告記事が、しょうてんだった。

 

「気軽にとう稿こうできるから、誰でも目にできる。だけど目標は目にも触れない場所にいた。貴方が立派に守ったのですわ」

「メルのことか? まさか!?」


 ジタンが苦心しながらも、広告の文字を読む。

 文体は違えども、同一容姿の少女を求める声が並んでいた。

 

 しかし今日の新聞にはいっさい載っていない。

 広告記事にけられた賞金額は、目玉が飛び出すと思ったほどだ。

 逆に不可解になるのは、どうして妹がこれだけ重要なのか。

 

 ジュオンは会話を聞きながら、白魔法の治療を続ける。

 そこにメイドが心配したように声をかけた。


「あわわわ、ぼくもなにか料理とか作りますか? 栄養満点のものなら、最近本で見ました」

「料理以外で頼む」


 メイドのかいめつてきな料理を知っているため、やんわりとこばむ。

 

「俺が簡単なのを作ってくる。姉貴は淑女らしく、なにもせず、大人しく、すわっているように」

「むー。アタシの方がお姉ちゃんなのにん! 双子ってじんだわん……」


 ねんしする弟の言葉に、姉はほおふくらませた。

 しかし美少女の料理も知っているジュオンは、美青年の言葉に深く感謝した。

 

「わたくしとジタンにもなにかお願いしますわ。野蛮猿のもついでに」


 チドリが「了解した」と告げ、コートけにスーツを吊す。

 メイドも手伝おうとちゅうぼうに向かうが、あっけなく追い返された。

 

 アルトは凹んだ暖房器に手を触れ、すさまじい力で殴られたことを察知する。

 暖房器を代わりにこしをかけ、今日の新聞――ロンダニア・デイズを読み始める。


「なあ、姫さん」

「カロック・アームズのネタバレはするんじゃねぇですわよ」

「飛空挺が出てきたことも?」

「この野蛮猿がっ!」

 

 楽しみにしていた特別出張れんさい版。警告を無視された少女は、怒りのあまりソファを持ち上げた。

 来客用の椅子はがんじょうで重い。それを軽々と持ち上げる光景に、ジタンは常識のを感じる。


「埃を立てるな。治療の邪魔だ」

「……すみません」


 集中を続けるジュオンに注意され、少女はソファを元の位置に戻す。

 わずかな震動がゆかいたに伝わるが、深い眠りをさまたげるほどではなかった。

 


「長引きそうだ。飯食ったら出かけるといいかもな」

「留守番は?」

「アルトとヤシロで充分だろう」


 たんたんと判断を下すジュオンは、額の汗を軽くぬぐう。

 底が空いたバケツのように、一時的に回復してもすぐ悪化する。

 

「わかりました。ハトリさん、よろしいですか?」

「ユーナちゃんとデート!?」

「……まあ、お好きにどうぞ」

「もちろん行くわよーん! ナギサちゃんも一緒に行きましょうよん!」

「は、はい! こ、これがトリプルデート……僕、なんだかドキドキしてきました」


 はしゃぐ女子二人に対し、アルトは自分も連れて行けと眼力で語る。

 だが少女も負けない視線で、戦力不足は許さないとかえす。

 

 メリットとデメリットを計算し、比類する女子の輪という華やかな空間をてんびんにかける。

 アルトはくやしそうな表情を浮かべながらも留守番を受け入れた。

 

 チドリがにしんくんせいと野菜を盛りつけた皿に、パンかごを持って戻ってきた。

 話の流れをジュオンから聞き、はしゃぐ姉に不安を覚える。


「俺も同行する」

「クインテットデートですか!?」

「一人多い。カルテットだ。いや、デートの頭数に俺を入れるな」


 ごわ好敵手ライバルの登場に、ファイティングポーズを構えるメイド。

 すみやかに辞退を申し出る美青年は、皿と籠を机の上に置く。


「お二人は揃った方が強いですから、お願いしますわ」

「ああ。姉貴は任せろ」


 言い草に多少の引っかかりを覚えたが、少女は深く追求しなかった。

 

「とりあえずコージさんに、戻ってきてほしいと電報を送らなくては」


 明らかに人員の差ができる。青年や執事が強者の部類に入るとはいえ不安になる。

 ジュオンは戦力としては数えていない。治療が第一であり、せんとうなど不参加で構わないのだ。

 

 お出かけ用の服をつくろいに、しょう部屋へ向かうハトリ。

 彼女の手伝いをしようと、双子の弟とメイドが付き添う。


「お、俺は……」

「気分てんかんに行ってくるといい」

「でもメルが」

「小生が見ておくさ。任せておけ」


 妹を治療し続ける男の言葉は無下にできず、ジタンは渋々頷く。

 アルトはその頭をあらあらしく撫で「安心しろ」と、頼りになる笑みを浮かべた。


「サハラさんがわたくしに意見を求めるって、魔法関連かしら?」

「むしろ姫さんに他でなにを相談しろと? 恋愛経験も薄いくせに」


 からかう言葉を聞き、しゅんに笑顔になる少女。

 やばいと思ったころにはおそかった。


「……そういえばお説教を忘れてましたわね、野蛮猿」


 逃げようとした青年の目前に、杖刀が降ってきた。

 床板にさり、かたかたと音を立てて震えていた。

 

「今すぐそこに正座! おばあ様に比べれば可愛い説教とやら、とくと味わいなさい!」

「せめて食ってからにしようぜ!? 色男の料理が冷めちまうぜ?」


 背後には少女、前方には杖刀。

 挟まれた青年は机の上に助けを求めるが、美青年が冷ややかに告げる。

 

「冷えているものばかりだ。存分に前菜としてたんのうしてこい。黄金律の魔女おばあ様よりも可愛いんだろう?」

「色男、このろう! 待て、姫さん! 物理は駄目だ。言葉でじっくりたっぷりねぶる感じで、いじるのが俺様好みつーか……」


 下品な言い方は焼け石に水だった。

 さらに腹を立てた少女は、怒りの一撃で背中を押す。

 杖刀に青年の体を触れさせ、魔力をうばって動きを止めた。


 その後は望み通り、まくやぶれそうな説教である。

 

 階下から戻ってきた執事が、赤魔法で音をしゃだん。ジタンなどはがいに遭わなかった。

 しかし家具を揺らすほど激しい大声は、青年から余裕をうばうには充分だった。

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