第29話
「はぁ、、、はぁ、、、こいつで最後か」
真っ黒に焦げている一体の生き物であったであろうモノから剣を抜く。
多くの木々に囲まれた小さな人工池。教師達でさえほとんどが知らないその場所は今はただただ焼けただれている、そんな場所で俺は横になる。
「これであいつが、、、ジークが精霊の加護を受けることはない」
この学園に入学してからずっと探して、ようやく見つけた精霊の住処。見つけたのならすべきことはあと一つ、精霊を殺すだけだ。
ジークに精霊の加護を与える元凶さえ消してしまえばジークが精霊に関わることはなくなる。
「今度こそは、、、絶対あいつを、、、」
「ありゃ〜、みんなやられちゃったかぁ」
「っ!?」
背後から突然かけられた声。すぐさま振り返るとそこには少年の容貌をしている精霊が浮遊していた。しかし見るからに今までの精霊とは格が違う。今の俺じゃ確実に勝てない。
「なんだ?同胞を殺した俺を殺しに来たのか?」
「それに関してはどうでもいいよ。あいつら程度いくらでも変えが効くからね。それに君は加護を受けてるからね。殺すなんてもったいないよ」
「じゃあ、お前の目的は何なんだ?」
「君以外にも加護を与えられた少年がいるみたいだからそいつを一目見に来たのさ」
「な、、、もう一人だと!?」
「お、どうしたんだい急に絶望したような顔をして。そういう顔は僕の大好物だよ」
そんな、すでにジークは、、、
いや、まだだ。あいつが加護を受けるのはまだ一月は先だったはずだ。
きっと別のやつが、、、
「まぁ、いいや。じゃあ僕はそいつの所へ行くから。じゃあまたねー」
そういい飛び立つ奴の背中を俺は眺めることしかできなかった。
☆☆☆
「腹が、減った、、、」
寮の自室に帰って即寝たため深夜の変な時間に起きてしまった。それに夕ご飯も食べてないからお腹も空いてるし。
はぁ、、、お腹空きすぎて寝ようにも寝れないし何か買ってこようかな。
でもルート先生が深夜の徘徊はダメって言ってたし、諦めるしかないかな。
「はぁ、お腹空いたなぁ、、、」
「僕もお腹すいたよ〜」
・・・
「んんん!?誰!?」
「おっと、突然失礼。みんな大好き精霊くんだよ!癒しを届けに来ちゃったぜ!」
そう言い目元で横ピースする精霊。見るからに男の癖に何をやっているんだと。
「あ、精霊に性別なんてないから。そこんとこしっかりね」
ちゃっかり心読まれたし。それにしても精霊か。先生の話しを聞いたばっかりだしなんかなぁ、、、
「先生の話?この学校の先生っていうとヴァルク辺りかなぁ?」
「あの、勝手に心読むのやめてくれませんかね」
「嫌なの?」
「嫌です」
「じゃあ、やめないぜ!僕は人が嫌がるのが大好きだからね!お、その顔いいねー!」
すっごい、イラっとする。先生が消したいって言っていたのと理由はもちろん違うんだろうけど、単純にウザいな。
「うんうん、もちろんヴァルクが、いや魔王達が僕達を消したい理由はそれはそれは聞くも涙語るも涙の物語があるのさ」
「魔王さん達を知ってるんですか?それにその話って、、、」
「聞きたいかい?」
急に真顔になり今までふざけていたそんな精霊とはまるっきり違う。きっとそれほどまでに壮絶な話なのだろう。
「、、、はい」
「まぁ、話さないんだけどねー!今日は君を一目見に来ただけだし!んじゃねー!」
そう言い一瞬で消えてしまった。
なんだろう、このすごいイラっとする気持ちは。とりあえず一発殴りたい。
「はぁ、結局なんだったんだよ、、、」
イライラして無駄に疲れて空腹も忘れて二度寝に突入したジークであった。
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