第28話

「はーい、じゃあ今日の授業はここまで!」


教団に立つソニア先生がそう言うと同時に校内に授業の終わりを告げるチャイムが鳴り渡る。


十日前、ヴァルク先生が言っていた言葉

(僕らの目的はただ一つ、精霊を殺すことだ)

その言葉は今でも脳裏によぎっている。

精霊って確実にあの日俺が俺が会ったのと同じやつらだよなぁ。だからヴァルク先生は俺に招待は告げたのかな?

だったらこの学園にはもう1人精霊に関わっている人がいるってことなのか?


考えれば考えるほどに新たな疑問が浮かびあがってくる。


「先生もそんなに考えなくていいって言ってたし考えるだけ無駄なのかな、、、」


物思いに耽ってると突然横から顔を覗かれ声をかけられる。


「先生がどうかしたの?」


「うわぁ!?なんだ、ミアか。びっくりしたぁ」


声をかけてきたのはミアだった。

ただいつもとは違い顔に眼鏡をつけておりいつもとは違った雰囲気を感じられる。


「ミアって眼鏡かけるんだね」


「うん、私だいぶ目が悪くてね。授業の時はいつもつけてるんだよ」


「そうなんだ、気づかなかったよ。それで、どうしたの?急に」


「あ、うん。最近ジーク君考え事ばっかりで暗い感じがしたから心配で、、、」


なるほど、、、側から見てもわかるほどに考えこんじゃってたのか。でもまぁ、悩んでる内容は話さない方がいいだろうし適当にはぐらかすのが無難だよなぁ。


「ごめんね、心配させちゃって。お察しの通り少し考え事はあったけどもう解決したようなものだから」


「ほんと?」


「うん、ほんとだよ」


実際事実だしな。これ以上考えたって先生の言ってたように何にもならないだろうし、そもそも俺がそんなに深く考えるべき問題なのかもそこまでわからないし。


「それならよかったぁ。ほんとに心配してたんだからね。もし何かあったら言ってね?できる限り協力するから」


そう言い残し教室から去って行った。

それにしても数日前から入試の時とは別人の様によく話かけてくれるようになったなぁ。あの日の緊張しまくって噛みまくってたミアとは思えない。


(なにか、、、変わるきっかけがあったのかな?)


少なくとも入学しての数日は孤立していて誰とも話せない、そんな状況だった。そんなミアは今は色んな人に積極的に話しかけていた。だからこそきっと何かがあったのだろう。


俺も乗り越えないとな。


未だに魔法は誰もいない場所でも使えない。

なぜ試験当日では使えたのか、それはよくわからない。きっかけさえあれば、、、

そんなたらればを期待したってどうにもならない事はわかってるんだけど。


「はぁぁ、帰るか」


これ以上考えてたら脳が壊れそうだし、もう寝よう。

そう思い寮へと向かう。その足取りはいつもより少し重く感じられた。



「あぁぁ!疲れた!」


部屋に着くなりベッドへダイブ。柔らかいマットレスが俺を優しく向かい入れる。


「はぅぅ、お前が俺の癒しだぁぁ」


そんな側から見たら変な人としか思われない言葉を発しながら深い眠りに落ちるジークであった。





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